夏海の暗い過去
翌朝、僕は山中先生に呼び出された。
「片平先生、荘野先生の件だが、君が彼女の精神的支柱になってほしい。」
もちろんです。荘野先生の同期なんで。
「片平先生、お疲れ様です。」
しかし、荘野先生の腕は血まみれだ
「すみません、消毒液とガーゼをお願いします。」
古傷が痛んでしまって…。
僕がいます。自分の命を粗末にしないでくださいね。荘野夏海と言う女性精神科医を
頼りにする担当患者さんもいるんですから。
僕の腕の中で荘野先生は泣き出した
もちろん、人けのないフロアーでのことだ
その後、僕は彼女の話をとことん聞いた。
さんざん泣いた後、やっぱり片平先生って男前なんですね。と言った
担当の女性患者さんがうらやましい。
今は夏海さんの恋人としてここにいます。海のような存在として頼ってください。
なんでも受け止めるんで。
一体夏海さんの過去に何があったのか。
夏海さんは学生時代、荒れた学校に行き、壮絶ないじめを受けたことを明かした。
そして決定的なことが、研修医時代に起きた。
自らの腕を医療用のはさみで刺したのだ
第一発見者は高岡先生。開口一番、荘野先生を苦しめたのは誰だ!!と叫んだ。
良いんです、先生。
良くはないよ。荘野先生。
あなたと言い、片平先生と言い、私の弟子なんだ。
高岡、今ここで犯人探しはやめておけ。俺も一枚かませてもらうが。
これは山中先生だ
医大の諮問委員会も動くこととなる




