投げやりな気持ち
私がこの状況を打開するために選んだ道、それは……
「部活、もう辞めるよ」
そうすればバイトをする必要もなく、金成遥とも関係が切れ、帰ってから無理して勉強する必要も無くなる。
「辞めるのはいいけど、勉強……」
「あ、ご心配なく~。 私、元々成績良くないんで、勉強しなくても維持できますから」
この時の私の目は、死んだ魚の様だったに違いない。
「夢、時間が余るんなら、塾に行ってみたら? 父さんと昨日話し合って……」
「入りませーん」
母親の言葉を遮り、私は部屋に戻った。
部屋に戻ってスマホを取り出すと、投げやりにメールを打ってその場に投げた。
宛先はケイコさん。
もうバイト辞めます、とだけメールした。
「はぁ、これで楽になったわ」
心の中で何かが引っかかっている気がしたが、もうどうでもいい。
しばらくして、ケイコさんから返信があった。
辞める前に、せめて理由を聞かせてくれよ?
私は経緯を説明した。
すると、こう返事が来た。
要は、勉強と吹奏楽を両立させりゃいいんだろ?
何とかしてやれると思うぜ。
私は10年後のあんただからさ。
……は?
ケイコさんって、未来から来たの!?