ファイナルパン子
吹奏楽のコンクールは無事に終了した。
結果は予選敗退。
全国に出場することはできなかった。
それでも、私と遥の顔はとても清々しく、全てを出し切ることができたのだと思う。
「ユメ、私、次の目標ができたよ」
それは、高校を卒業したら、ケイコさんの店で働き、ゆくゆくはのれん分けして、クレイジーブレッドの2号店を出す、というものだった。
お店は相変わらず繁盛しており、品数も少しずつ増えていってる。
ケイコさんはまた突拍子もないパンを考えるんだけど、不思議とハイクオリティなものに仕上がるから、やっぱりセンスはあるんだと思う。
「今日は自分の進路を提出してもらいます」
その日は、文系に進むか、理系に進むかの、一次希望を提出する日だ。
「進路か……」
今までそんなことは考えたこともなかった。
自分のことだけど、別にその時考えればいいか、なんて思っていた。
でも今は、目標にする人物がいる。
それは、ケイコさんだ。
ケイコさんは失敗もするけど、体をはって私たちの前を歩いてくれている。
ずっと後ろをついていく訳にはいかないし、いつかは自分が前を歩かなければならない時が来るだろうけれど……
今は進路は分からない。
でも、どんな道を歩いていても、この人格好いいな! って思われる、そんな人に私はなりたい。
栗井夢。
終わり
終わりました!
感想とかダメ出しあれば、嬉しいです。




