夢の奮闘
私は急いで家から飛び出した。
スマホで遥にかけ直す。
「会場までは近いから、私、教えてくる!」
試合の様子は遥に見ててもらい、ケイコさんと木村さんの試合が始まる前に、ケイコさんに先行を取るよう伝えれば良い。
しかし、
「ユメ、ケイコさんの試合始まったよ! これで勝ったら、次は木村さんとの勝負になる。 早くしないと間に合わない……」
調理の時間が無いため、試合の結果はすぐに出る。
会場までは10分。
駐輪スペースに来ると、自転車を引っ張り出し、急いでまたがった。
「行くわよっ!」
しかし、こぎ始めた瞬間、思い出した。
「わっ、パンクしてたんだっ!」
随分前に、パンクしたのを機に自転車には乗らなくなっていた。
修理に出すのを面倒くさがったばっかりに……
間に合わないと知りつつ、それでも私は走った。
「はぁっ、はぁっ…… どうしよ……」
木村さんのカレーパン (辛ぇパン)は、恐らく香辛料で味を分からなくさせる。
何か、それをリセットする手段はないかしら?
「……ミント」
私は、家にある芳香剤を思い出した。
ミントには匂いを浄化する作用がある。
そして、噛めば沈静作用もあったはずだ。
「そうだっ!」
私は、コンビニでミント味のアイスクリームを3つ購入した。
「ユメ、ケイコさんが勝ったよ! 木村さんとの試合が始まっちゃうから、急いで!」
「あっ!」
その時、私は石に躓いた。
アイスを入れた袋が宙を舞い、道路に落ちる。
グシャリ、とアイスは車にひかれ、潰れてしまった。




