第七十四話:魔法少女が口から光線吐くなんて些細な問題だと思うよ。
大気圏から、 火炎魔鳥獣アグニの放った紅きプラズマ熱線と、
地上の高層ビルの屋上から魔法少女の尊厳を泣く泣く捨てて、
ノラが口から怪獣の光線のように放った無属性神通力を超圧縮し
解放した波動砲が上空でぶつかり合い鬩ぎ合う。
その、衝撃で衝撃波が都市を襲い窓ガラスなどが砕け散り人々は
逃げ惑う。
だが人々は隕石が空中で爆発した衝撃波だと勘違いしていた。
そんな、人々が逃げ惑う中、ノラは必死にアグニの紅きプラズマ
熱線を押し返そうとしていた。
ノラ(心)「くっ、このままだともうすぐ、私の波動砲が尽きて
しまうっ、あと少しでいいからもってっ!!」
アグニとノラの放つ光線と波動は拮抗して、一進一退を繰り返す。
そして、ノラは波動砲が切れそうな状態の中、ノラは踏ん張りながら
気合で無属性神通力を何とか生成し続ける。
だが、それも限界だったノラは変化に使用している神通力が切れて、
ノラの体から光の粒子が発生し変化が解除されていく。
ノラ(心)「どうやら、これまでみたいね…ここで私の人生も終わりか…」
ノラが自身の死を覚悟したその時だった。
アグニの紅いプラズマ熱線もノラの波動砲と同時に、放出を終えた、
そう、ノラは何とか耐え切ったのだった。
ノラは変化が解け、その場にへたり込む。
ノラ「流石に疲れたわ。」
へたり込んだノラにバイオレンス・ティラノドラゴンが駆け寄る。
バイオ「ノラっ、よく耐えたっ!!」
ノラ「なるほどね、神通力をほぼ使い切るから、変化が解除されて
戦闘を続行出来ないから、危険というわけね。」
バイオ「ああ、今の状態でアグニに襲われた場合は確実に死ぬからな。
だが、アグニもしばらくは、あの熱線は撃てないだろう、
まあ直接襲いかかられたらひとたまりもないがな。」
ノラは空を見上げて微笑む。
ノラ「心配ないわ、きっと後のことはマイ達が何とかするわ。」
そして、ノラの見上げた満月の輝く夜空では、熱線を放出したアグニの
頭上から光の弾丸が降り注ぐ!!
光の弾丸を受け、少し怯む、そして弾丸が降って来た頭上を見上げる。
そこには、両手に白い光沢のあるサイズの大きな拳銃のような銃口に
レンズが付いたレーザー型拳銃を構え、高速で飛びまわるサニアの姿があった。
サニア「やっぱり、たいして効果が無いみたいね、だったらこれならどうっ!!」
サニアはレーザー型拳銃を捨て、巨大なレーザー砲を出し、真横に構える。
サニア「いっけぇーーーーーっ!!」
そして、レンズで出来た銃口が光った瞬間、既にアグニの右上の翼の
一枚を直撃し、アグニが呻く。
サニア「貫通は、無理かっ!!だったら手数で押し切るまでっ!!」
サニアは高速でアグニの周りを飛行しながら高出力のレーザーを放つ。
そんな、サニアの姿を離れたとこからエレメントドラゴン達が見守っていた。
エレメントドラゴンがセイクリッド・ヴェノムドラゴンに言った。
エ「高機動の飛翔で光属性の光線型呪術をぶち込む、セイクリッド家
伝統のスタイルだがお前、このスタイル嫌ってなかったか?」
ヴェノム「ああ、胸糞悪いよ、俺は基本、あの一族が嫌いだから
本来サニアにもこのスタイルは教えたくは無かったが、
俺の嫌悪が原因でサニアが危険になるのはもっと嫌だ
からな。」
エ「丸くなったな、お前。」
ヴェノム「うっせぇよっ!!…だが、このスタイルは欠点だらけ
だから教えたくは無かったんだけどねぇ。」
サニアが高速で飛翔し空中を縦横無尽に動くが、アグニも
高機動な飛行でサニアの後ろを取る。
後ろに付かれたサニアは振り向きざまに、アグニの眉間めがけて
高出力のレーザーをぶち込むがアグニに直撃することなく、
レーザーが逸れた。
エ「まあ、今回は特に相手が悪い、風属性と火属性持ち相手だと
熱レンズ効果で光線型の攻撃は捻じ曲げられるからな。」
ヴェノム「そうなんだよ、基本、人界と違って飛び道具は狙撃とか
じゃないと、すぐ防がれるからなぁ、まあバイオの
無属性神通力を使った、バイオレンス・デストロイ
キャノンとかは別格だけどな。」
エ「あれは、同出力の攻撃をぶつけて相殺するか、初動から判断して
避けるくらいしか対策ないからなぁ。」
レーザーを逸らし、アグニは巨大な嘴を開き、サニアに向って
火球を放とうとする。
ヴェノム「まあ、このスタイルも敵を適度に怒らせて引き付けるのには
使えるけどな。」
アグニが火球を放とうとした、その時だったアグニの下から
凄まじい速度でアグニに何かが襲い掛かった。
その、速度と不意打ちにアグニは対応出来ずにアグニの腹部に
めり込む。
その正体は、跳び蹴りと体勢で突っ込んできたアンだった。
アン「サニアっ、引き付けご苦労様。」
アグニが痛みで悶え苦しむ。
アンはサニアの方に駆け寄る。
サニア「しかし、凄い蹴りね、何をしたの?」
アン「えーとね、リニアキャノンの要領で自身を撃ち出したんだよ
、まあ、リニア・キックとでも名づけるかな。」
サニア「あと、アグニの纏ってる業火の熱、なんとも無いの?」
アン「一応、無属性神通力で多重構造の層を形成して、その上に
風属性神通力で大気の層を形成、更に水属性神通力で
表面に水を纏っていたから、短い時間なら大丈夫かな。」
サニア「用意周到ね。」
悶え苦しむ、アグニの目が見開かれ、サニアとアンを睨み、嘴を開け、
火球を放とうとするが、サニアとアンは余裕の表情だった。
そして、アンがアグニの方に向って喋る。
アン「お望みの隙は作ったわよ。」
すると、アグニの首筋のとこから返事が聞こえる。
?「ありがと、サニアちゃん、アンちゃん、十分だよ。」
アグニが自身の首元を見る。
そこには、黒き鱗で覆われた舞がアグニの首に手の平を密着させて
構えていたのだった。