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第四十二話:はじめての給料

七月八日、舞の通う中学校の屋上でスフィアフォンで、エレメントドラゴンは

直属の上司セイントニーズに定期報告を上げていた。


セ「なるほど、とりあえず現在、派遣したヴェノムとバイオさんは問題なく

機能しているみたいですね。」


エ「はい、私もびっくりするぐらい機能しています。

  あと、新しく混沌型の魔族を非正規神竜としてヴェノムの

契約者につけました。」


セ「そうですか、まあそちらの判断はエレくんにまかせますよ、

私は他の長老達に話をつけておきますから、存分にやってください。」


エ「助かります、あっ、それとですね。」


セ「?、なんですか。」


エレメントドラゴンは苦笑いしながら報告する。


エ「あのですね、うちの舞ちゃんが海外の方に応援に行ったんですが

…その、パスポートとか無かったので、観光も出来なくてそのまま

帰るしかなくて、…そのせいで恨み言言われてます。」


セ「災難だったねー、エレくん、しかし実体化した状態で今後海外での

活動もあるでしょう…判りました、確か給料の支払いで宝くじの

売り場と当選番号を教えていましたね。」


エ「はい、既に舞ちゃんにも知らせてあります。」


セ「では、その当選番号は、無しで、今からパスポート発行にかかる

費用も含めた金額の当選番号を知らせますから、あと今日発表の

分を買うようにしてくださいね。」


エ「了解です。」


セ「あと、バイオさんにも知らせておかなければなりませんね。

  では頼みましたよ。」


そして、通信を終了した。



エレメントドラゴンの報告終了後、ベットに寝そべりながらパソコンで

ヘビメタバンドの映像をノラは楽しんでいた。

その横でヘビメタの激しいビートに乗って、ヘッドバンキングしている

バイオレンス・ティラノドラゴンのスフィアフォンに知らせが入った。

ヘッドバンキングを止め、スフィアフォンをバイオレンス・ティラノ

ドラゴンが確認する。


ノラ「どうしたの、バイオ?」


バ「どうやら、給料のことに関してらしい、どれどれ。」


バイオレンス・ティラノドラゴンが投影された映像をスクロール

させながら読んでいく。


バ「受け渡しは宝くじだって。」


バ「本当にっ、でもなんで?」


バ「何でも、もともと人界のシステムでないところから振り込んだら

  貨幣経済のバランスが狂ってしまうからだってさ。」


ノラ「そこの所は考えられてるんだ。」


バ「だが、中東方面の担当の魔法少女は口座振込みだって。」


ノラ「またなんで。」


バ「国内の情勢が不安定とかもあって、色々ごまかしが効く

  からだって。」


ノラ「…なんか、急にいい加減な感じね。」


バ「なんでも、この前、中東方面担当の魔法少女が壊滅させたテロリストの

  ダミー会社の機能を乗っ取ってそのダミー会社から給料という形で支払

  われるとか、なんとか。」


ノラ「日本の夢と勇気と希望に溢れる魔法少女像からはほど遠いわね。」


バ「まあ、いいんじゃないか給料出るし。」


ノラ「なんだかなー。」




放課後になり、舞は稲穂丘町の寂れたスーパーの真横のある宝くじ売り場に

エレメントドラゴンといた。


舞「確か、指定された売り場って…ここだよね?」


エ「うん、それじゃ早速、買おうか。」


舞は指定された番号を記入して、その用紙を渡して、200円を払い、

くじを受け取った。


そして帰り道、舞はエレメントドラゴンに疑いながら訊く。


舞「本当に、これでいいの?」


エ「うん、これで今夜発表だから、明日には銀行で受け取れると思うよ。」


舞「心配だなー。」



そして、夜になり舞は自室でスマホで当選番号を確認した瞬間、気絶した。


そのスマホの画面を見ながらエレメントドラゴンは納得した表情をしていた。


エ「まあ、大体二ヶ月、で戦闘の危険性、出撃回数を考えると人界の

  適正報酬として1500万は妥当だな。

  しかし、舞ちゃんはいいなー、神界社会保険とかの引かれものものが

  なくてうらやましいよ。」



その頃、サニアは町まで変化して飛んで行き、銀行で給料の振込みを

確認していた。


サニア(心)「まあ、テロリストの壊滅は本来の仕事じゃなかったしね、

       …だったらこの微妙な金額はなんだろ。」


サニアの頭にセイクリッド・ヴェノムドラゴンの声が響く。


ヴェ(頭)「ああ、それパスポート発行に必要な分の金らしいよ、国外で

      実体化しての活動も考慮にいれてだとさ。」


サニア(頭)「それ、絶対、マイがこの前ごねたからでしょ。」


ヴェ(頭)「だろうな、だがよかったじゃん、これでエレ坊に勉強教えて

      もらった帰りに日本を観光できるしな。」


サニア(頭)「そうね、…でも、パスポートだけで何とかなるの?確か私の

       国のパスポートだと多くの国でビザも必要になるんじゃ?、

       いや、入国の手順踏まないで判も押されていないパスポート

       に効力なんてあるわけないじゃないっ!!」


ヴェ(頭)「ああ、その通りだよ、だからパスポートの発行が出来たら一度、

      あのエレ坊のところいた昆虫型魔族の剛雷が受け取りにくるから。」


サニア(心)「どんな細工をするのやら。」



そして、一週間ほどでパスポートは出来て、剛雷は舞、サニア、ノラのパスポート

を回収していった。


そして、回収した剛雷は小規模の闇門を使い一度魔界に戻り、そこから神界の

神龍課のある高層ビルに向かった。


剛「しかし、裏社会で生きてきた俺が一生、縁も無いと思っていた神龍課に

  足を運ぶとな。」


ビルの中に入ると、受付嬢に、話しかける。


剛「今日、神龍課にエレメントドラゴンの使いで来た剛雷と言いますが。」


受付「剛雷様ですね、少々お待ちください。」


受付嬢は固定型の結晶型電話で確認を取る。


受付「お待たせしました。長老方もお待ちしております1789階までどうぞ。」


剛雷はエレベーターで1789階まで上がった。


そして、エレベーターの扉が開くとそこには暗い空間の中央に泉のような

通信システムがあり、その周りに、龍タイプの王龍、白き竜のセイントニーズ、

ワイバーンのアズダル、狼のような四足歩行のシモン、大蛇のような龍の羽々

の五体の伝説級神龍が待っていた。


セ「ようこそ、剛雷さん、待っていましたよ。」


王「いや、君の情報収集の御蔭で瘴気浄化もはかどっているみたいで

  助かってるよ。」


ア「セイントニーズから、裏社会の魔族を非正規神龍に登用すると聞いた

  時はびっくりしたがな。」


羽「確かに最初はな、だが優秀な仕事ぶりには関心する、うちのとこの

  新卒の奴らにも見習って欲しいぐらいだ。」


剛「お褒めに預かり光栄です。」


シ「あっ、そういえば灯り付けないと。」


そういうと、シモンはスフィアフォンを操作すると、カーテンが開き

外の光が入り、明るくなった、その空間は、1789階全体が神龍課だった。


剛「他の方はどちらへ?」


シ「ここは、長老の僕らだけのオフィスだから、他の神龍課の者は

  すぐ下の階だよ。」


剛「そうですか、ではこちらが契約者のパスポートになります。


剛雷はシモンのパスポートを渡す。


シモンはパスポートを受け取って呪術をほどこす、そしてそのパスポートを

アズダル、セイントニーズへと次々とまわし呪術を施す。


そして最後に、王龍が呪術を施し、剛雷に渡した。


王「これで、自由に国境をまたいで問題なく活動できるだろう。」


剛「はい。」


王「それと、このパスポートに施した機能のリストを書いた紙を渡しとくな。」


そして剛雷はそのリストを受け取りその場をあとにした。


エレベーターの中でリストの内容を確認していた剛雷は思わず最後の

項目見て首をかしげた。


剛「この機能…いるの?」




神界から戻った剛雷は早速、舞の部屋で舞に説明を始めた。


剛「まずは、パスポートの提示を求められた時、自動的にその国のスタンプ

  が浮かび上がる機能、これで、問題なく活動できはずだ。」


舞「すごいっ、…でも、結局不法入国になるんじゃないの?」


エ「心配ないよ、神が認めた不法入国だ、気にしなくていいよ。」


舞「それだったら、パスポートも偽造でよかったんじゃ。」


エ「それは駄目だよ、パスポートの偽造は犯罪だよ。」


舞「不法入国も犯罪じゃない、線引き無茶苦茶じゃない!」


剛「恐らく、神の許す犯罪と許せない犯罪があるんだろ。

  まあ、それは置いといて次の機能はその国の違和感のない服装に

  見える機能だ。」


舞「それは便利だよ。服装を考えなくていいし。」


剛「そして、パスポートの開示を求めた相手の記憶を削除する機能、

  これで余計な詮索されずに済む。」


舞「もうなんか魔法少女の道具と言うよりスパイの道具って感じね。」


剛「あと、この機能は嬢ちゃんにはありがたいと思うぞ、なんと持って

  いるとどのような言語も聞き取れて喋れ、書くことも出来る機能、

  しかも変化しない状態で使える。」


舞「最高の機能だよっ、これなら英語のテストも楽にっ!!」


エ「テストに使ったら、駄目だよっ!!」


剛「そして最後の機能なんだが…まあいいか、舞ちゃん少し町まで

  行こうか。」


舞「へっ?」


とりあえず、人通りの多いとこに来た舞と剛雷とエレメントドラゴン。


剛「それじゃ、とりあえずパスポートをかざしてこれが目に入らぬか、

  と言ってみて。」


舞は言われた通りにパスポートをかざして。


舞「こっ、これが目に入らぬかっ!!」


そういうと、舞の周囲、五メーターの人間が、ははぁーつ!!

といいながら土下座をしだした。


舞「こんな、水○黄門みたいな機能、何に使うっていうのよぉーつ!!」


剛「俺もそう思う。」


エ「あの長老共、悪乗りしやがったな。」



その頃、1789階の神龍課では


王「何か、パスポートのマークって印籠みたいでついやっちゃったんじゃ。」


ア「見かけによらずお茶目だよなあんたは。」


舞とサニアにはこの機能は不評だったが、ノラには好評だったのであった。



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