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第三十六話:人もドラゴンも良くも悪くも変わらないものだよ

       


七月六日、ハンガリーの国境地帯の草原にセイクリッドヴェノムワイバーン

の姿があった。


俺、セイクリッド・ヴェノムワイバーンは今まで本当の高潔さなど幻想で

、薄汚い屑共しか存在しねぇと思ってやさぐれていた。


だが、俺の契約者、サニアは自らその偽善でも世間体でもない高潔さを示し

そんなサニアに心洗われた俺は、そんなサニアを気に入って信じて見守る

ことにした。


そんな俺がなんで中東から遠く離れたハンガリーの国境地帯にいるかって?

これからこの国境に多くの難民が押し寄せる大イベントがあるからだっ!!


こういう舞台には醜い人間の本性が如実に現れるから俺の趣味の

醜い人間観察にぴったりなんだよっ!!


?、サニアに出会って改心したんじゃないのかって?ぷっ、それはそれ

これはこれだよっ!!人間もドラゴン良くも悪くも根本的部分は変わん

ねぇーんだよっ!!


(まさに外道!!)


国境地帯の草原には多くの報道の人間が押し寄せ、カメラをセット

して決定的瞬間を捉えようと構えている。


そして、草原の地平線からまるで津波のように難民達が押し寄せた。


ヴェ「来ましたーっショータイムの始まりだっ!!」


押し寄せた難民達の映像を報道陣が録り、アナウンサーが状況を

熱弁する。


そんな中、セイクリッド・ヴェノムワイバーンの待ちに待った

醜い人間の所業が展開される。


難民に向かって足元に蹴りを放つ女キャスターが現れその映像を

セイクリッド・ヴェノムワイバーンはスフィアフォンに収め、

両手を叩いて大爆笑する。


ヴェ「素晴らしいっ、上辺だけの博愛など脱ぎ捨てた、弱者を

いたぶるその醜さっ、まさに醜き人間の鑑だっ!!

いやーこいつは久々の上物屑だっ、だが俺は好きだぜっ、

そういう醜い人種差別主義者。」


映像を録り終わったセイクリッド・ヴェノムワイバーンは自分の

スフィアフォンの屑人間ランキング第十位と表示されている

フォルダに先ほど録った映像を保存した。


ヴェ「さて、サニアの畑仕事も終わる頃だろうしそろそろ戻るか。」


そして、セイクリッド・ヴェノムワイバーンは飛び立った。



一方、セイクリッドヴェノムワイバーンがたちの悪い、娯楽を

楽しんでいた頃、真面目で家族思いのサニアは母や妹、弟と畑

を耕していた。


母「サニア、あなたは朝早くから仕事手伝ってるんだから、家に

戻って勉強していいのよ。」


弟「そうだよ、ボクたちもお母さん手伝うから大丈夫だって。」


サニア「そう、じゃあ、お姉ちゃんは家に戻るからよろしくね。」


サニアは弟と妹に近寄ると二人の頭を撫でた。


弟・妹「うん。」


そしてサニアは、家まで歩きながら物思いにふける。


サニア(心)「はぁ、この前のテロリストの学校襲撃でみんな無事で

よかったけど、襲撃のせいで学校の授業はまだ再開し

てないし、今は家で予習、復習するしか勉強の方法が

無いしなぁ、インターネットでも家あれば新しい問題

や分野を勉強出来るんだけど、そんなインフラ整備

されてないしなぁー。」


そんな帰り道、サニアを見つけたセイクリッド・ヴェノムワイバーン

が現れた。


ヴェ「おう、サニア手伝いご苦労さん。」


サニア「ヴェノム、それで私の初めての瘴気浄化の場所のリサーチは

済んだの?」


ヴェ(心)「そういえば、そういう体で、行ってたんだったな。」


ヴェ「ああ、決行は今夜だ、詳しくは後で説明するよ。」


サニア「そう、判ったわ。…そうだ、ヴェノムっ!」


ヴェ「?何だ。」


サニア「今学校が襲撃のせいで授業できないじゃない。」


ヴェ「まあ、あの襲撃で教員死んじまったからな再開しようにも

   出来んだろうし、そんな襲撃があった場所に新しく来てく

   れる物好きもいないだろうしな。」


サニア「それでヴェノムのつてで勉強教えてくれる人いないかな?」


ヴェ(心)「本当に真面目な子だなコイツ…まあ、サニアのためだ

      力になってやるか。」


ヴェ「心辺りが一竜いるな。」


サニア「竜って、…私たちの世界の学問なんて教えられるの?」


ヴェ「大丈夫だって、そこらへんもきちんと教えられる奴がいる

   から心配すんな。」


サニア「ありがとうヴェノム、それで今夜の浄化はどこなの?」


ヴェ「ああ、アルメニア共和国の首都エレバンだ。」



そして夜、セイクリッド・ヴェノムワイバーンと変化したサニアは

アルメニア共和国の首都、エレバンの共和国広場の時計台の上に

降り立った。


美しきレンガ作りの建造物や石畳が満月の光に照らされ思わず

見とれてしまうほどの町並みがサニアの眼下に広がる。


だがそんな美しい町並みにそうぐわない巨大な闇門が上空に

渦巻いていた。


サニア「これが…瘴気…」


ヴェ「何だ、びびったか?心配すんなよ、たかが三十体の上級魔族が

   守ってるだけだ。」


サニア「さっ、三十体っ!!私一人で倒せるわけないでしょっ!!」


ヴェ「それが出来るんだよ、サニアと契約したのはこの俺だぜ、

   俺の力を信じろって、あともう俺達に気づいたみたいだっ、

   来るぞっ!!」


サニアの頭上から魔龍が三魔、襲いかかる。


サニアは両手にシャムセールを呼び出し鋭い魔龍の爪を受け流し

受け流した爪を別の魔龍に叩きつけ、更にもう一魔の口から黒炎球が

放たれたが飛び上がり、防いだ。


サニア「これ、無理でしょっ…あれ?、ヴェノムは?」


さっきまで隣に浮いていたセイクリッド・ヴェノムワイバーンの姿が

ない、するとサニアの頭の中にセイクリッド・ヴェノムワイバーン

の声が響く。


ヴェ(頭)「サニアっ、対魔族型麻痺呪毒を広域散布形態で

      ぶちまかせっ!!」


サニア(頭)「了解っ!!」


輝く満月を背にサニアは両手を間の前でクロスさせ、左右に勢いよく

両手を引き叫ぶ。


サニア「モードチェンジっ!!、ヴェノムスプレイングフォームっ!!」


月明かりに照らされたサニアの純白の身体が光に包まれ、光の中で

肩甲骨辺りの部分に楕円形のような二つの純白の物体が付き、

両腰、踵、膝には三角錐のようが形状のものが現れた。


そして、サニアを包んだ光がはじけ飛び、サニアが叫ぶ。


サニア「前門、開放っ!!」


サニアの叫びと共に、肩甲骨辺りの楕円形の物体、両腰、踵、膝の

三角錐の物体がばかっと開き


サニア「対魔族型麻痺呪毒、フルバーストっ!!」


開いた部分からどす黒い毒霧がエレバンの町を駆け巡るのだった。

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