表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/151

第十四話:陸道 羅刹の平凡な日常 前編

六月十三日、陸道は、夜中に初の死霊人間との戦闘を経験し疲れて、

拾ってきた子猫と、飼い犬のビーグル犬、ジョンと二階の自分の部屋

のベッドで深い眠りについていた。


そんな陸道に朝、7時45分を知らせるスマホのアラームが鳴り響き

目をこすりながらスマホのアラームを停止させた。


陸「ふぁーっ、うーん、流石に睡眠三時間ちょっとじゃ寝たりないな。」


そんな起きたばかりの陸道に極竜の分身体が声をかける。


極:分身「そりゃ、帰った後、子猫のミルクの世話してたらそうなる。

しかし君は極端な奴だ、死霊人間を切刻んで笑ってたと思ったら

     捨てられた子猫を拾って献身的に世話をする。

     てっきり子猫を試し切りに使うのかとひやひやした。」


陸「失礼な、俺を何だと思ってるんだっ!」


極:分身「無差別惨殺サイコ野郎。」


陸「そんな風に思われても仕方ないけど俺にも愛しむ心はあるよっ!!

俺は自分の出来る範囲で善良な者や無垢な存在に手を差し伸べた

いそういう主義なんだよ。」


極:分身「主義…ねぇ…しかし深夜、あれだけの戦闘をしたんだ今日

ぐらい学校休んだらどうなんだ?」


陸「それは駄目だ、一宮さんのストレッチに付き合う約束があるから

休むわけにはいかないよ。」


極:分身「変なとこで真面目だよな君は。」


陸道はベッドから起きてきたビーグル犬のジョンの頭を撫でながら。


陸「俺は学校に行って来るから、あの子のの面倒見てくれるか?」


陸道はベッドに寝ている子猫に顔を向ける。


ジョン「ワンッ!!」


陸道に吼えてジョンが答える。


ジョンの頭を撫でる陸道。


陸「そうか、見てくれるかありがとな。」



そして陸道はシャワーを浴び、母親の作ってくれたご飯に味噌汁、

鯵の開き、納豆と和食の朝食を行儀よく食べ、自分の部屋に戻り

学生服に着替え、鏡を見てようやく気づいた。


陸「あっ!!」


極:分身「どうかしたか?」


陸「左目の瞳の色が緑のままなんだが。」


極:分身「契約の時、変化するための触媒として左目を触媒に

     したからだろ。」


陸「元の色に戻らないのか?」


極:分身「契約の証みたいなものだから無理だな。」


陸「これじゃ、俺が中二病こじらせたみたいに見られるじゃないか。」


極:分身「大丈夫じゃないか、君の母親も何も言わなかったんだろ?」


陸「確かに…案外、たいしたことないかもしれないな、じゃ、行って来るよ。」


こうして陸道は、学校に行ったのだが当然、学校でカラーコンタクト疑惑や

、中二病発祥疑惑など騒がれる羽目になったのだった。


陸「はは、こうなるよなぁー。」


ちなみに陸道の母親が気づかなかったのは、皿洗いなどをしていて

気づいてないだけだった。


その光景を陸道の目を通して極竜の分身体は見ていた。


極:分身「今後、契約時に眼球を媒体にすると色素沈着が起きる事を

     契約書にかいたほうがよさそうだ。

     さて、今頃、自分を通じて見た今までの出来事を本体は

     どう報告してるかな。」




その頃、魔界では、暗黒宮殿の最上階、魔王執務室で櫻は机で書類か

なにかの書き込み作業を行いながら、極竜、漸王、斬蛾、牙王、

威火炉守、達を召集し極竜からの報告を聞いていた。


櫻「では、極竜、報告をお願いします。」


極「ああ、契約者探しの方は難航するかと思ったのだが人界に降りて

  初日で見つかった、しかも櫻のご要望どおりの少年がな。」


斬「嘘だろ、本当に条件に当てはまる少年がいるとは。」


その報告に櫻は感極まっていた。


櫻「そっ、それでその少年はイケメンなのですかっ?」


極「ああ、イケメンだ。

  しかも彼の通う中学校一で頭脳明晰、スポーツ万能、これだけ

  聞けば少女マンガの設定なんだけどな。」


漸「それだけということは適合者になるための闇の部分が強烈だった

  ということですか?」


極「ああ、、彼の心の中には強烈な闘争本能が渦巻き、その衝動を満たす

  ためヤクザ主催の裏闘技場でルール無用の残虐ファイトに勤しんでい

  たいみたいだ。」


威「まだ、ドSだったとかなら少女マンガならありだけど裏闘技場で残虐

  ファイトするイケメンはないよねー。」


牙「だが、影騎士としては申し分ない性能を発揮できたんじゃないのか?」


極「ああ、申し分ないどころかそれ以上だ、我と契約したのに我の力の

  大半を受け入れない状態で死霊人間を笑いながら惨殺したからな。」


斬「笑いながらって、…そいつ普通の生活送れてるのか?」


極「それが不思議なことに送れてるんだよ、契約した子は、自分自身の

  異常さを理解した上で残虐性を押さえ込み、しかもそんな残虐性以上に

  慈愛に満ちている、我も言ってて意味わからないが死霊人間惨殺後、

  帰り道で子猫拾って家でミルクの世話とかしてるからなヤバイのは

  ヤバイ奴なんだが善人といえば善人なんだよ。」


漸「随分と矛盾が服着て歩いているような子と契約しましたね。」


極「ああ、つっこみどころが多すぎて我も契約者を完全に

  理解できてない状況だ。」


だがその報告を聞いて櫻はご満悦だった。


櫻「いいじゃないっ、普段は頭脳明晰、スポーツ万能の美少年、だが裏の

  顔は闘争を好む戦闘狂でありながらも、ふとした拍子に見せる深い

  慈愛の精神、こんなギャップ萌えありまくりの美少年なんて最高の

  題材じゃないっ!!」


威「お前の創作活動の題材としてな、…そういえばさっきからやたら書類関係

  の仕事してるけどお前、仕事をためるタイプじゃないだろ?」


そう言われて櫻が表情が強張る。


櫻「いっ、いやー、影騎士の契約書に不備がないか見ていたのよ。」


極「そうだ、変化するアイテムに契約者が体の一部を選んだ場合、色素沈着が

  起きる注意事項を付け加えてくれないか。」


櫻「はっ、はい判りましたすぐつけ加えます。」


威「それで、仕事の進み具合はどうなんだ?」


そういうと 威火炉守が櫻の書類を覗き込む。


櫻「あっ!!」


だがそこには仕事の書類ではなく櫻のBL漫画の原稿がペン入れ

されている最中だった。


威「お前って奴はぁーっ、仕事せずに趣味に没頭してんじゃねぇーッ!!」


櫻「仕事ならとっくに終わらせてるからいいでしょっ!!それに自宅に戻って

  描いてたら自宅に戻るまでの時間、ロスになる。

  一刻も早く完成させて印刷しないと魔界コミケに間に合わない差し迫っ

  た状況なのっ!!」


威「しかも、またルシファーさんの総受けBLネタかよっ!!

  あのひとマジへこみしてるんだからやめてやれよっ!!」


櫻「無理な話ね、ルシファーさんは人気のコンテンツなのよ、売れる

  コンテンツは骨までしゃぶり尽くしてこそなんぼでしょ。」


漸「流石我らが魔王、商売人としては、いい判断ですが人としては最低ですね。」


伝説級魔族の五魔があきれている所に、執務室のドアがノックされる。


?「韋駄天急便ですが、雷速印刷様から、やおい穴 美和子様にお届け物です。」


威「やおい穴 美和子って…櫻の作家ネームじゃないかっ!!」


櫻(心)「なんてことなのっ、お届け時間は今から三時間後だったはずっ、

     今荷物を受け取るのはまずっ…」


そんなことを考えていた櫻、だが荷物を牙王が勝手にドアを開け荷物を受け

取ろうとしていた。


櫻「ぎぁAAAーっ!!」


櫻は急いで牙王の前に割り込み受け取りサインをすませ大きなダンボール四箱分

の荷物を受けとって空中に浮かせながら運ぼうとしていた櫻だったが動揺した

せいで執務室のカーペットに足を引っ掛けぶっ倒れる。


櫻「ぎにゃっ!!」


櫻が浮かせて運んでいた荷物が床に落ち散乱する、散乱した荷物は印刷し

終わった櫻制作のBL同人誌、伝説級カップリングシリーズというタイトル

の薄い本だった。


櫻「いたた…」


散らばった本を牙王が拾い中を見て叫んだ。


牙「なっ、なんじゃこりゃぁぁぁーーーーー!!」


極「どうした、いきなり叫んだりして?」


牙「おっ、俺がっ、狛犬にほられてるぅーーーーっ!!」


極「なっ、なんだって!!」


四魔、が櫻制作の本を床から拾い上げ中を確認する。


極「…最悪だ、セイントニーズ(エレメントドラゴンの直属の上司)

  とカップリングされてる。

  しかも我が受けかよ。」


漸「私なんて、擬人化したフラッシュメモリにほられてますよ…よく

  こんなこと考えつきますよ。」


威「僕なんて、ルシファーさんにほられてるよっ!!」


斬「…なんで俺だけ無いんだ櫻嬢ちゃん。」


櫻「えっ、そ、それはーそのー、需要がなかったと言いますかー。」


斬「一瞬、ほっとしたが、それはそれでなんか傷付くなぁー。」


五魔全員が櫻を睨む。


極「こんな内容の物、黙ってばら撒かれるわけにはいかないな。」


牙「発売を中止してもらおうか。」


櫻「それは、無理な話ですね、印刷代、紙代回収しないと赤字ですから。」


威「だったら、実力行使しかないみたいだなっ!!」


威火炉守が飛びかかろうとしようとした時、急激に執務室の重力が

上がり動けなくなる。


威「櫻ッ、この野郎っ、こんなアホなことで上級重力制御呪文発動

  させやがったな。」


櫻「目的のためなら非人道的にならない程度で手段を選ぶな、 威火炉守

  も先生に習ったでしょ。」


威「てめぇの腐女子的な思考で先生の言葉を汚すんじゃねぇーっ!!」


威火炉守が動けなくなってる中、 極竜、漸王、斬蛾、牙王が櫻に跳びかかる。


極「我々に上級重力制御呪文程度で何とかなると思ったのか。」


櫻「まさかっ、神族と魔族が殺しあってた時代からの存在をこの程度でなんとか

  出来るとは思ってませんよ。」


そう、櫻が答えた瞬間、櫻から眩い閃光が発せられ執務室全体が光で包まれる。


牙「くっ、目くらましかっ!!」


閃光が収まった時には、届いた同人誌も、描きかけの漫画原稿も櫻と共に

姿を消していた。


極「我々相手に自身の姿をくらますだけでなく、必要な物も回収して逃走する

  とは、成長したな。」


漸「我々、から見ればまだまだ子供のように見えても大きくなってるんですね。」


威「なんか、いい台詞言ってるとこ悪いのですが櫻の奴捕まえないと魔界全体に

  あのおぞましい薄い本、ばら撒かれますよ。」


極「そうだったっ!!皆の者、見つけ出してなんとしても阻止するぞっ!!」


だが、櫻を見つけ出すことが出来ず、伝説級カップリングシリーズは発売され

魔界、神界の腐女子を狂喜乱舞させることになったのだった。



魔界でそんな馬鹿やってる頃、陸道は、屋上で舞とストレッチをしていた。


その光景を陸道の目を通して極竜の分身体が見ていたのだが。


極:分身「この子がストレッチの約束していた子か、なかなか可愛らしい子だな

     …んっ、この子…どこかで見たような…」


舞と陸道が体勢を変え、向き合う形になる、その時、舞が陸道の目元に薄い隈が

あることに気づいた。


舞「陸道くん、寝不足なの?」


陸「あっ、まあその、昨日の夜、子猫を拾ってね夜中中、ミルクの世話なんか

  してたらついね。」


舞「そんな、寝不足の状態で私に付き合ってくれてたの?」


陸「たいしたこと無いよ、さあ続きをやろう。」


舞「…だめ、陸道くんは、ちゃんと睡眠とらなきゃ、私に付き合ってくれる

  のは助かるけど、そんなことで倒れられたりしたら私は自分を責めるよ。」


舞は、真剣な表情で陸道を心配する。


陸(心)「一宮さんは、優しい子だな…ここで俺が続行しようとしても止められ

     るだろうな、ここは一宮さんのお言葉に甘えるとするか。」


陸「わかった、それじゃ一宮さんのお言葉に甘えて寝させてもらうよ。」


陸道は、屋上に置かれているベンチに横になろうとすると、舞が呼び止めた。


舞「あっ、あの、その、ベンチでそのまま寝ると頭痛いから、よかったらだけど

  …わっ、私の膝を枕代わりにしてっ…いい、よっ!!」


舞が顔を真っ赤にしながらそんな言った。


それを聞いた陸道は。


陸(心)「なっ、なんですとぉーーーーーーっ!!」


どんな残虐な闘争の舞台でも動じない陸道も、この事態には心の中で

狼狽しまくりなのであった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ