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たとえ姿が変わっても  作者: 田部 智里
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ヒトとしての朝食

いつもと変わらぬ、小松家の朝食風景…。いや、この日は少し違った。父、母、小学生の子供が二人、と、そこにはパンツ一丁の見知らぬオッサンが居た。

ゆき子が言う。

『モンジはいつもの…ドッグフードじゃなくて大丈夫よね?人間の体だし…。』

『わし、みんながいつも食べてるごはん、憧れてたんだで。いいにおいするから。』

モンジはなんだか嬉しそうだ。

今朝の食卓には、トースト、サラダ、スクランブルエッグ、カリカリに焼いたベーコンと、茂晴にはコーヒー、子供たちとモンジには牛乳が並んだ。ごくごく普通の朝ごはんだ。モンジはそれを一品一品クンクンとにおいを嗅ぎながら、すべて手づかみでほうばった。本来犬であったモンジが、箸を使いこなせるはずもない。が、顔から皿へダイレクトに、いわゆる「犬食い」をするよりも、この体であれば、手を使った方が食べやすいというのは、なんとなくわかったらしい。クッチャクッチャと、モンジの咀嚼音が響きわたる。

『モンジ、お口はむすんで食べるんだよ。』

タカユキがそう言い、やってみせた。するとモンジは、素直にそれを真似した。モンジは朝食を美味しそうに平らげ、最後に牛乳を飲もうとした。マグカップに注がれた、冷たい牛乳。モンジはカップを手に取り、舌でペロペロと舐めるように飲もうとした。しかし、うまく飲めない。すると、タカユキがまた飲んで見せた。

『こうやって、直接口を付けて飲むんだよ。』

モンジはまた、素直に真似た。上手に飲めた牛乳が美味しかったのと、タカユキが上手だと褒めてくれた事が嬉しかったらしく、少し笑顔だった。それを見た家族も、みんなで笑った。



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