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第六話 国を知る

お陰様で日間ランキングに載っていました!


読んで下さっている皆様のお陰です。ありがとうございます!


拙い文章ですがこれからもよろしくお願いします!

 ロズウェルはカップを置くと話の続きを始めた。


「今、私達がいるこの国の名前は《メルリア王国》と言う国です。別名《女神に愛された国》とも《女神の国》とも言われています」


「なんで?」


「世界中のどこを探しても女神が生まれる所は無いのです」


「へ~まあ、そんなにバンバンあったらありがたみが無いよな~」


 そんな事を言っているとふとあることに気付く。


「なあ、ロズウェル」


「はい」


「お前女神が生まれるって言ったよな?」


「はい」


「女神しか(・・)生まれないの?」


「はい」


「なるほどなぁ…」


 これで漸く自分が女として転生した訳に合点がいった。女神しか生まれないのなら自分が女と言うのも頷ける。


 しかし、なぜ女だけなのか?女しか器として作れないのだろうか?まあ、それは今は置いておくとしよう。


「それじゃあ、続きを頼む」


「かしこまりました。…メルリア王国には近隣する国が二つあります。一つはレシュナンド帝国。もう一つはクルフト王国でございます。この二国とメルリアは同盟を結んでおりますので、戦争を行うというような事はありません」


「へ~」


「アリア様がこちらの生活に慣れましたらこの二国にも訪れて貰うことになりますので、この二国に関する最低限の知識を時期を見てお教えします」


「へ、なんで訪問すんの?」


「女神が生まれたときはこの二国に顔を見せに行くのが昔からの習慣なのです。先代の日記によりますと『一目見ただけで寿命が十年延びる気がする』だそうで。そのため、一目会いたいと」


「いや気がするだけだろ…真に受けんなよ皇帝と王様…大丈夫なのかよその二国は?」


 気がするって言うので女神に会うのかその二人は…。


「まあ、神に会えるというのはそうそうあるものではありません。そのためあのお二人もお会いしたいのでしょう」


「はあ、そう言うもんかね」


 超有名人に一度でも良いから会ってみたいというような物なんだろう。


「因みに、この三国で一番の戦力を誇るのはレシュナンド帝国です」


「そうなの?」


「ええ、一人一人の実力は大したこと無いのですが、いかんせん数が多いのです。まさに多勢に無勢でございます。勿論、単体で一軍にも勝るとも劣らぬお方もいますよ。この国にも数名おります」


「何そいつら化け物じゃん」


 一人で軍団一つと変わらないとかそいつはどんな奴なのか、少し興味があったりする。


 すると、なぜかロズウェルが悲しそうな顔をした。


「え、どうした?何でお前悲しそうな顔してんの?」


「え、ああ、いえ…その、言い辛いことですが、私もその内の一人ですので…」


「へっ?」


 会ってみたい奴が思いの外身近にいたので驚く幸助。


「え、なに…それじゃあ、お前一人で軍相手に出来んの?」


「ええ、まあ…」


「ほえ~」


 感心する幸助だがロズウェルの曇った表情を見て慌てて頭を下げる。


「えと、知らなかったとは言え本人を前に言って良いことではなかった。訂正する。後、すまない」


「いえ、慣れてますので大丈夫です。お顔を上げて下さい!」


 幸助が頭を下げるとロズウェルがワタワタと慌てて顔を上げてくれと懇願してくる。


 少し顔を上げてロズウェルの顔を見る。


「…許してくれるか?」


「はい、お許しします。ですからお顔を上げて下さい」


「…分かった」


 ロズウェルに再度懇願され顔を上げる。それを見て、ロズウェルはホッとしたような顔をすると言う。


「それでは、説明の続きをしますね?」


「ああ、頼む」


「と言っても、あまり話すことも無いのですが…。そうですね…」


 ロズウェルは考える素振りを見せるとやがて口を開く。


「この国に限らずですが、この国には奴隷制度があります。メルリアでは奴隷は犯罪奴隷のみとなっております。レシュナンド帝国やクルフト王国のように捕虜奴隷、亜人奴隷などはいません」


「亜人がいるのか?」


「はい、亜人は非常に高い身体能力を兼ね備えておりますので力仕事などにはもってこいなのです。ですが、メルリアは亜人を奴隷にせず共存をしています。現メルリア王国国王は犯罪奴隷以外を良しとしませんので共存が出来ているのです」


「感心だな。捕虜奴隷も良しとしないのは?」


「捕虜がいれば奪い返そうとやってくる輩が出てくることも無きにしも非ずなのです。ですので、奴隷を必要とする他国へと明け渡すのです。明け渡し先は多くがレシュナンド帝国になります。皇帝様はそう言うことを気にしないたちですので快く引き取って下さいます」


 なるほど、よく考えているな国王様も。国民の安全を第一に考えてる。それに、いい道徳観念を持っているらしいな。亜人だからといって人種差別をしないで共存していこうというのは幸助としては共感が持てた。


「それじゃあ、亜人って言うのはこの国にも居るんだろ?」


「はい」


「近くの町に行けば会えるか?」


「はい、会えますよ。私もこの近くの町の出身なので、亜人はよく見かけました」


「それじゃあ、落ち着いたら行こう。会ってみたい」


「かしこまりました」


 どんな亜人がいるのだろうか?きっと色々な種族の亜人がいるに違いない。そう考えるとどんどん興味が湧いてきた。


 アニメやラノベ好きの幸助にしてみれば亜人はまさに会ってみたいあこがれの的なのだ。一度で良いからモフモフしてみたいと考えるほどに。


 そして、今の幸助の体は子供、しかも女性。同姓である女性にモフモフをしてもイタズラとして許される年頃なのだ!


 そう考えだらしのない笑みを浮かべる幸助。


「モフモフ…」


 言葉に出してしまうほど妄想の世界に旅立っていく幸助をロズウェルは温かい眼差しで見ていた。


 ロズウェルはずっと不思議に思っていた。


 ロズウェルの祖父、ロバート・アドリエの日記の一文にはこう書かれていた。


 『アリア様は年相応のあどけない姿で色々な物を見て楽しんでおられた。アリア様は神の子だが、まだ子供・・なのだ。私がしっかり守らねばならん』


 と書かれていたのだ。


 ロバートの代のアリアは年相応・・・で子供らしかった(・・・・・・・)のだ。


 それに比べて今のアリアはどうだろう。今でこそ年相応の表情をしているが先程までの言葉づかいやロズウェルに対する対応。全てが子供のそれではなかった。 


(本当にイレギュラー何ですねあなたは…)


 ロズウェルはそう思うと同時に言い知れぬ予感を感じていた。ロズウェルはこれまで、数々の稽古に励んでいた。それは、とても多忙で遊ぶ暇さえなかった。だが、今日からの日々はより一層忙しくなる。なんとなくそんな予感がしていた。


 未だトリップしているアリアを見つめ頬を緩める。


 窓の外は夜の帳が降り始めていた。暖かな夕日がアリアの銀色の髪をオレンジ色に照らした。  

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