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松村だった気がする

作者: きくぞう
掲載日:2015/01/09

 今日は、友達と一緒に竜泉寺の湯と言う温泉に行って来ました(・∀・)

 いやー、久しぶりの温泉は気持ちが( ・∀・)イイ!!

 自分は長風呂派では無いけど、風呂は結構好きです( ´∀`)


 さて、露天風呂にみんなで浸かっていた時のこと。

 友達が何気なく岩場に乗ってフェンスの向こう側を見ていたので、俺も一緒になって岩場をよじ登りました。べ、別に女風呂が覗けないかなぁとか、思ってなんかいないんだからね!(;´Д`)


 フェンスの向こう側には、夜の闇が広がっていました。遠くには、街明かりの灯が見えます。

 そんな幻想的な景色を見ていると、ふいに過去の記憶が蘇るのです。

 あいつ、元気にしているかなぁ。村松。いや、松村だったかな……。


 紛れも無い猿顔だった。

 小学校6年生の春、突然転向してきたそいつの第一印象はそんな感じだった。

 猿顔の猿松、いや、猿村だったか。

 とりあえず、そいつのあだ名はそれに決まるんだろうと誰しもが思っていた。

 だが、事件は給食時間に起きた。

 なんと、松村だか村松が牛乳を飲んだ直後に、突然ゲロを吐いたのだ(゜д゜)!

 転校初日に大変なハプニング!

 運悪くその日の給食当番だった俺は、そいつのゲロを片付けるハメに( ;´Д`)いやぁぁぁぁぁー!


 子供って残酷だよね。

 そいつのあだ名は、猿ゲロ、いやゲロ猿だったか。

 もはや元の名前の原型を一片も留めていないあだ名が彼に命名された(ノД`)シクシク


 だが、彼は諦めていなかった。

 まさにゲロ猿と言う汚名を返上すべく、虎視眈々と一発逆転の機会を伺っていたのだ。

 そして、その日がやってきた。それは修学旅行の日だった。


 夜になり、旅館の温泉に皆で入ることになった。

 大浴場は一つしか無いので、まず男子が入り、その次に女子が入ることに。

 さっさと風呂を上がって2階の大部屋に戻ってきた俺達は、修学旅行の定番である枕投げでもやろうかと話をしていた。その時、松村だか村松がやってきて、


「そんなことよりも、もっと凄いことがあるぜ?」


 と自信満々に言ってきたのだ。


 いつもオドオドしている松村だか村松にいったい何が?!(;´Д`)

 みんなは興味津々に松村だか村松についていく。その時のあいつの背中はとても大きく見えた。

 そして、たどり着いたのは、なんの変哲も無い窓の前。他の窓と違うところと言えば、その窓の先には屋根があるくらい。……屋根? ま、まさか!(゜д゜)


 そう、松村だか村松は窓を乗り越え、その先の屋根に降り立ったのだ。

 もちろん、目的はその屋根の下にある露天風呂。

 そこに待っているのは裸の同級生たちがキャッキャウフフしているパラダイスと言う名の桃源郷が!ヽ(°▽、°)ノエヘヘヘヘ まさに、松村だか村松は女風呂を覗き見しようとしていたのだ!


 もう彼の事をゲロ猿だの猿ゲロだの呼ぶ者はいない。彼は勇者なのだ。今後、彼は新たなあだ名、エロ猿の名を欲しいがままにするに違いない。イケイケ我らが勇者エロ猿!(・∀・)


 松村だか村松が一歩進む。


「どうだ、見えるか?」

「もうちょい」


 松村だか村松が一歩進む。


「どうだ、見えるか?」

「も、もうちょい……」


 松村だか村松が一歩進む。


「見えるか? 見えたのか? 見たのか~~~!」

「み、み、見えうわああああああ!!!」


 松村だか村松が……消えた。


「きゃあああああああっ!」


 下から女子たちの悲鳴が聞こえてきた。

 騒がしい様子に担任の先生がやって来る。


「どうした、何があった!」

「松村だか村松が、露天風呂を覗こうとして屋根から落ちました!」

「なんだってー!」


 突然空から猿が降ってきた。

 当時を知る女子は、後にこう語った。

 落ちた村松だか松村は、暫くぴくぴくして動かなかったそうな(;´Д`)


 その後。

 修学旅行が終わって次の日、教室で俺たちは村松だか松村の周りに集まっていた。


「見えたのか?! 見たのか?!」


 皆が村松だか松村に問い詰める。

 だか、彼は微かに笑うだけでその時の事を語ろうとはしなかった。


 あれから20年以上が過ぎ、現在。

 俺は思う。彼は果たして桃源郷を拝むことが出来たのだろうか。

 そして、彼の名は村松なのか、それとも松村なのか。

 今となっては、それは永遠の謎である。


 その答えは、きっと彼だけが知っているのかもしれない……。

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