まよってたわたしはまちが・・・いやせいかい。
やっぱり避けるのは良くない。と思ったあたしはそのあと一緒に行動することにしました。
そしてあたしはまだゆらゆらと思考が揺れてたりしています。
吸血鬼は怖いし、ミキちゃんとユミちゃんの関係もよく分からないまま……。
一緒に行動はしているけれども、なんとなくよそよそしい感じは取れません。だけれども二人はそんな私を察してか(恋煩いだと思われてます)生暖かい視線を送ってくれます。
ミキちゃんがほんとに吸血鬼だったからミキちゃんと関わらないとか、ユミちゃんとミキちゃんが女の子同士だから関わらないとか。
そんなことは一切思わないし……。
むむーっと深く考えてみて、あたしはあるところにいきつきました。
なにも変わらない。って。さっきも吸血鬼だろうと二人が付き合っていようと関係ないと思ったとおりに。関係ないのです! 確かにお伽噺で聞いた吸血鬼はとても怖いものだけれども、でもミキちゃんは全く怖くないし、二人が付き合っていようともそう言う人は案外たくさんいるものです。
そう考えるとすっきりしました。あたしは一体に今まで何に悩んでいたのでしょうね。
悩んでいたことが一気に解決したことであたしの気持ちは一気に浮上します。ルンルンになってその場でくるり。
鼻歌交じりにあたしはサークルへと歩いていきました。
***
それからというもの、あたしは今までどおりに二人に接することが出来るようになりました。
というか、今まで無駄に考え込んでいた時間が馬鹿だったかのようにすら思えたりします。
「アーキ!」
ミキちゃんが後ろからがばちょ! と抱き付いてきます。
「ちょっと話しておきたいことがあるの」
と近くの空き教室に引きずり込まれます。その後ろからはユミちゃんも付いてきました。
何の話なんだろ? そう思ってわくわくとミキちゃんを眺めるけれども、なかなか話しはじめない。
あまりにも話し始めないから少しだけ眉を寄せると、ミキちゃんはやっと話し始める。
「今日何の日か知ってる?」
「? 今日? なにかあったっけ?」
何も無かった気がするから、首を傾げてユミちゃんを見る。
「今日はハロウィンだよ」
「あっそっか! 忘れてた」
でもそれが何なんだろう? おとなしくミキちゃんが話を続けるのを待つ。
「私たちね、ハロウィンだからアキを驚かそうとしていたんだけどね」
「最初は上手くいってたんだよ? 怖がりなアキちゃんを驚かせようと二人で一ヶ月も前から準備してたんだもん」
そこまで聞いて私は納得した。
ハロウィンだからあたしに悪戯を仕掛けて驚かせようとしてたんだ。だけどあたしが悩んだ挙句、開き直っちゃったから怖がらせることが出来なくなっちゃったんだ。
とはなすと、二人はうんうんとうなずきます。
だけれどその顔は、まだ何か隠しているというようににんまりとしている。不審に思えてあたしは思わず眉を寄せた。
「そう。だけどね、私はアキのことを怖がらせたいの」
不気味なほどににっこりとしながらミキちゃんはあたしに近づいてきます。
「アキは私が吸血鬼じゃないと思ってるでしょ?」
とその言葉に身を震わせます。助けを求めるようにユミちゃんを見ますが、彼女も笑ってるだけで助けてくれる気配は微塵もありません。
「この部屋でユミの血を吸っていたのはほんと。それをわざわざアキに見せ付けただけで」
そして耳元に顔を寄せて、囁くように言います。
「アキの血も、飲みたいなぁ?」
顔を寄せる前に見えた――多分わざと見せた尖った犬歯。それは明らかに人間じゃないように思えて。
「いやあああああああああああああああああああああああああっっっ!!」
あたしのその叫び声は上級学校内の校舎全域に響いていたそうです。
共作、惑星コーネリアス舞台とした小説。
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