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01話 そして課外授業は始まった

※2013年5月頃にらんどの企画でやらかしてたなんちゃって魔法学園ものです。

※不定期更新

ガネット魔法学園――それは限られた貴族の子息令嬢だけが通うことを許された、ガネット王国に唯一存在する教育機関だ。

………というのはもう昔の話。

数十年前の改革をきっかけに、今ではその門は一般市民にも開かれるようになっていた。

そして私、エリスもそんな市民出の生徒の一人だ。

…まあ今のご時世、純粋に学園生活を送るだけなら階級差別なるものに遭遇する機会もないので特段気にする話でもない。

そんなことより今現在この学園が抱えている深刻な問題が一つある。

それは最近就任した理事長のことなのだが、とにかくこれがとんだ変わり者なのだ。


『学園生活で重要なものは友情!そしてラブだ!』

就任挨拶にてそんなことを豪語した理事長に「バカか」と本気で喉から出そうになった。

そんな脳内お花畑な人間が理事長になって何も起きない訳がない。

就任以降ことある毎に理事長自ら介入し、行事は勿論授業においてもグループまたはペアを強制的に組まされる事態に陥った。

『全ては青春を謳歌してもらうために!!』

全くもっていい迷惑である。

何でも人と組ませりゃいいってもんでもないだろう。

しかし理事長の暴走は止まることを知らず、その結果先程通知されたのがこれだ。

【課外授業ペア制度】

…この学園に奴を止められる猛者はいないのか。


【課外授業ペア制度】とはその名の通り課外授業を学園側で決められた相手と組んで受ける制度らしい。

うちの課外授業は少し特殊で、期末の発表にさえ間に合えばテーマやチームは自由、個人参加もOKなのが特徴…の筈だっだが何だコレ。

ふざっけんな!!

学園側に強制されんでも青春くらい謳歌しとるわ!!

……そう抗議したい所だが、私はまだましな方なんだろう。

「私のペアはラルフか…」

ラルフ・ベーレンスは私の級友であり、真面目で少し大人びた青年だ。

私との仲は可もなく不可もない。

犬猿な仲同士でペアを組まされた人もいるなか、まあ無難な相手と言えよう。

「……」

とにかく決まったものは仕方がない。

あの理事長は気に食わないが長い物に巻かれる事にしよう。

「ラルフ、ちょっといいですか」

「エリス?…ああ、課外授業か。いいよ」


こうして私達の課外授業は始まったのだった。


◆ ◆ ◆


「……召喚術?」

「うん。…いや、正確には開門術と言った方がいいかな」


予想外のラルフの提案に、私は思わず口に含もうとしていたキシュトルテを溢した。

生活に深く根付く魔法と異なり、召喚術というものは非常にマイナーだ。

まあ生活に必須ではなく、しかも高度な技術と魔力をようすらしいのだ。

魔法があるだけで十分やってける現状、そんな面倒くさい術に誰も興味を持つことがない。

そんなマイナーな術をわざわざ取り上げようとしたラルフに驚いたのだ。

てっきり無難なテーマを提案してくるとばかり思っていた。


「というか、開門術?」

「うん、開門術」

これまた聞き慣れない単語に思わず聞き返すと、ラルフは「これは噂だけど」と前置きした上で話しだした。

「国王の子供時代に起きたクーデター、知ってる?」

「知ってます」

私の成績は並だが、数十年前の出来事位は把握している。


ガネット王国の現国王は齢14歳でその地位に就いた。

今でこそ近隣諸国も一目置く存在となっているが、幼少期はワガママ王子として周囲の人間を大層困らせていたという。

そんな未来の国王に不安にならない方がおかしい。

そうして一部貴族が起こしたとされるクーデターだが、今回の課外授業と一体何の関係があるというのか。


「実は、そのクーデターを鎮静化したのは国王が開門術を使ったからじゃないかって話がある」

「え…」

「それを確かめたいんだ」

どうかな?と尋ねられ、私は一瞬考える。

が、答えが出るのにそう時間はかからなかった。

「それでいきましょう」

私も案がない訳ではなかった。

元々ペア制度の通知がくる前に友人と考えていたテーマがあったのだ。

テーマが被ること自体はよくあるので、チームが別れる際もお互い被っても文句なしと約束はしていた。

なので友人に気を遣う必要はなかったのだが。

「私もそれ、気になります」

純粋にラルフの提案が魅力的だったのだ。


「じゃあ、テーマはこれで決まりってことで」

「そうですね。…あ、詳細詰める前にお茶煎れなおしてきま――」

ガタン、と席をたった瞬間、机についていた手をラルフに強く掴まれた。

「……ラ、ラルフ?」

突然の事に心臓が跳ねる、…が。

慌てて顔を上げた先にあったラルフの表情が真剣そのものだったので、その熱もすぐに引いた。

「このテーマの事なんだけど、僕たちだけの秘密にしたいんだ。つまり他言無用だ」

「…どうしてですか?」

「これって結構大穴なテーマだと思うんだ。出来れば当日にみんなを驚かせたい」

「…は?」

真剣な表情をされ一体何事かと構えていたため、思いの外子供っぽい理由に思わず間抜けな声が出る。

「……ラルフってもう少し大人っぽい人だと思ってました」

「よく言われる…でも僕だってまだ16歳だよ。そう言う君だってもっと大人しい子だと思ってたよ」

「それってどういう意味ですか」


そこまで言ってお互い見つめあう。

そしてどちらからともなく笑い出したのだった。

「…は、エリスとなら楽しい課外授業になりそうだ。これから二週間、よろしく」

「こちらこそ」


ラルフと一緒の課外授業、みんなには秘密のテーマ。

私はワクワクして仕方がなかった。

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