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隣の村の勇者って奴は

作者: 須和光輝


 何か最近、俺の住んでる村から徒歩で半日ほどかかる所にある隣村から『勇者様』認定された人間が出たらしい。どんな奴かとよくよく話を聞いてみると、俺も顔は知ってる奴だった。話した事はあるにはあるが仕事がらみの事だけで、特に親しいというわけではない。

 そいつは時々、家族の薬を買いに代々薬師を営んでいるこの村の俺ん家まで来ていたのだ。隣村には薬師はいないからな。んでまあ家の婆様が作った薬を渡す時にちょっと話すくらいの関係だったんだが……。


「あの……ディセットさん、僕と一緒に旅に出てくれませんか!」


「断固拒否」


 何をどうすると勇者の旅に誘われる事態になるのか。まったくもって不明である。善良な奴や、こいつに気がある奴、良く言えば向上心のある奴とかなら『喜んでー!』と某居酒屋の店員よろしく返事をするんだろうが、俺はご免こうむる。何よりも『村人(薬師見習い)』を魔王討伐に誘うのが間違っている。

 討伐って言ったらアレだろ?村や街に害なす魔物と戦ったり、魔王配下の魔者と闘ったりしなきゃなんねーんだろ?陰謀渦巻き、戦いの連続する心ささくれる日々を送んなきゃなんねーんだろ?うむ、真っ平ごめんだ、そんな殺伐とした毎日。

 危険な道程になるであろう旅に、基本的な村人スペックしか持たない俺を誘うなんて……こいつは遠回しに俺に死ねと言っているんだろうか。それに名誉や栄華よりも平穏が一番だと思うのに、何が悲しくて命がけの旅に出にゃならんのだ。

 一般人は一般人らしく、勇者任せで世の中が平和になるのをいるんだかどうだか不明な神様とやらにお祈りでもしているのが分相応だろう。他人任せ?それがどうした。身の丈にあった生き方をして何が悪い。その辺に出る比較的弱いとされている魔物一匹にしたって、村の大人が数人でかからないと倒せないのだ。単なる薬師見習いが、強い魔物やそれ以上に強い魔者と戦うなんて無理・無茶・無謀ってものだろう。


「お願いします、僕にはあなたの力が必要なんです」


「おとといきやがれくそゆうしゃ」


 俺の薬草にまみれた平穏を壊す奴はとっとと出て行きやがれ。

 雨に濡れた子犬のような目で見つめてきても無駄である。俺はそれを無視できる人間だし。捨て犬がきゅんきゅん言ってようが飼えないなら拾わない。その辺りは割とシビア。人と動物の命の価値が同じだと甘い事を言える世の中じゃないから。

 例えば、自分が食う物もないくらい飢えているのに他のものにまで救いの手を差し伸べるなんて事は俺には無理。基本は俺の身が最優先だ。精神的にも環境的にも余裕があるのなら手を差し伸べるのも問題ないが。

 他者より我が身が可愛いのは仕方なかろう。ただ対するのが俺にとってかけがえのないものだったとしたら自分の事よりもそっちを優先するかもしれないけど。

 勇者は突っ立ったままだが俺は背を向け、中断させられていた薬草の仕分けに戻る。相手にしなきゃその内帰るだろ。そんなことより仕事だ仕事。

 今朝採ってきたばかりの薬草をふたつ目のカゴから出して用途別に分け、ある程度まとめたら束ねるという作業を繰り返す。普段はカゴひとつ分くらいしか採ってこないんだが、季節的にそろそろ終わる薬草があったから今朝はいつもより多めに採取してきたのだ。

 婆様は歳がもう歳だから採取はほぼ俺の仕事で、数日に一度は何かしらの採取に出かけている。一応家の敷地内に薬草畑はあるにはあるが、そう広い畑でもない為わりと珍しい植物しか栽培していない。だから普段よく使う薬に使用する薬草類は村から近い山や森へ採取に行く事になる。

 薬草が豊富に自生している山や森が、俺にとって庭みたいなものになったのは小さい頃から薬師である婆様に連れ回されたおかげだ。なのでこの近辺に生えている薬草の自生場所や種類や効能はばっちり覚えている。

 昔はよく雑草を採ってきては婆様に叱られたなあ。人の命に関わる物だけにそれはもう厳しく教えられた。薬草も毒草も量や配合で人体に良くも悪くもなるから。命を預かる立場の者として、自分のミスで助けられるはずだった人を助けられないなんて恐怖でしかない。

 それに薬草は万能薬や魔法ではない。どうやっても手の施しようのない人達だっている。そんな時は己の不甲斐なさに憤ったり、無力感に襲われたりする。救える命と救えない命と見捨てる命。生きるか死ぬか。世界は常に選択を迫る。それでもこの仕事を止めないのは身近に尊敬できる婆様という人がいるからであり、何より怪我や病が治った人達の笑顔があるからだ。

 さて薬草も束ね終わったし、乾燥させる為に外の小屋にでも行くか。手早くカゴに入れ振り返ると……いまだに奴はそこにいた。しかもこっちをじっと見つめている。長くもないが短くもない時間、俺は背を向けて作業をしていたわけだが……奴はその間中こっちを見ていたのだろうか。身動きもせずに。


 え、なにそれちょうこわい。


 この作業部屋には出入り口がひとつしかない。そう、勇者が背にしている扉しか。状況としては奴をどかさないとどうにもならんわけだがどうしたものか。どけと言っても素直にどいてくれそうにない。言ってどいてくれるようなら先に断った時に帰っているだろう。

 そんなわけで実力行使。ていっても腕で脇にどかせただけなんだけども。予想外に抵抗なくすんなり脇にどけた奴は外に出る俺の後に付いてきた。いやまあ、あのまま作業場に居られてもどうしようもないんだけどさ。

 しかし何だ。懐いた犬っころみたいだとか思ってないよ?思ってない。相手は天下の勇者様だ。そんな事思うわけないじゃないか。

 二、三歩後ろを付いてくる奴に溜息が漏れる。旅に付いてきてくれそうな人間は俺じゃなくて他にいそうなものなのに。腕っ節の強いニックでもいいだろうし、魔術が使えるエイシーでもいい、知識の豊富なアミアでも。それこそ薬師見習いの俺なんかより一緒に行くって奴が諸手をあげて寄ってくるだろう。何だってそう親しくもない俺なんだか……。コイツの意図が読めない。






 そんなこんなで奴を追い返して数日後。何故だか俺は勇者の旅に付いて行く事になっていた。……なんてこったい。目の前が真っ暗になるってこういう事か。しかしゴネにゴネまくって王都まで、という限定条件を取り付けた俺エラい。魔族の本拠地までとか超無理だから!


「ディセット、お前勇者様に誘われたそうじゃないかい」


「もちろん即断ったさ、婆様」


「行きな」


「なにゆえっ!」


 酷いよ、婆様。可愛い孫を死出の旅に送り出すとかないわー。鬼バ……。


「な ん か い っ た か い ? ひ よ っ こ」


「いいえ、お婆様!」


 笑顔が素敵です、お婆様!旅について行けっていっても、俺が足手まといになるのはわかりきった事だと思うんだけどなあ。武術もかじったことなんぞない一般人なんだぜ、俺。日頃山や森をうろついてるからひ弱ってわけじゃないけど。


「まあアタシのお使いのついでだとでも思って行ってきな。それにお前もこの村から出て見聞を広めるいい機会だろうさ」


 お使いの内容は王都に居る婆様の昔なじみに薬を届ける事。なら勇者に付いて行くのは王都まで、として俺は渋々勇者に付いて行く事になったのである。婆様には逆らえんのですよ。

 その会話を見越したように俺ん家にやってくるクソ勇者。王都へは三日後に出るらしい。ちょ、準備に二日間しかないってどうなの。俺にだって色々とやらなきゃなんねえ事とかあるんだけど。

 バタバタしつつも何とか旅の準備を終え、婆様からお使いの詳しい内容を聞く。届け先の人物は、婆様が昔王都で働いていた時に知り合った人物らしい。身分的にそれなりの地位にいるそうで、そのまま行っても会えないかもしれないからと紹介状と一目で高価な代物だとわかるブローチを渡された。相手先にこのブローチを見せたら取り次いでもらえるそうだ。

 紹介状のいる相手と知り合いって……婆様何者?尋ねても昔の事だと言って話してはくれなかったが、懐かしそうな目をしている婆様から大切な思い出なのだと知る。

 そんなわけで薬とブローチと紹介状も鞄に詰めていざ王都へ出発。道中は大した出来事もなく、俺達は王都へ辿り着いた。途中で立ち寄った町や村で売られている薬なんかを見て驚いたりする事もあったが、それは些末な事だ。

 宿屋で一泊し、次の日。お互いの予定を済ませる為に宿を引き払う。俺も王城へ連れて行こうとする奴を諦めさせるのには骨が折れた。召喚状には俺の名前が入ってないし、喚ばれもせずに平民が行くのは不敬だからって言って渋々認めさせたのだ。ようやく王城へ向かう勇者と別れ、俺はとっととお使いを済ませる事にする。

 勇者とはもう会う事もないかもしれないなあ。魔王を討伐出来ずに倒れるかもしれないし、倒したとしても、家族と一緒に王都に住む可能性の方が高いだろう。英雄をあんな辺鄙な田舎にとどめておく程貴族連中も考えなしじゃないだろうし。まあ、会えなくなったとしても俺にとっちゃどうでもいい事だけどさ。

 しっかし王都ってのは広いな。目的地に着くまでいったい何人の人に道を訊いたやら……。やっと辿り着いたそこは貴族街と市民街の境目にあった。俺達が泊まっていた宿屋とはちょうど反対側にある場所で、結構な距離を歩いた感じ。

 早速ブローチと紹介状を渡して婆様の昔なじみだっていう人物に会う。その人は婆様と同じくらいの年齢で、好々爺という表現が当てはまるような穏やかそうな爺様だった。若い頃、冒険者として婆様と他数人でパーティーを組んで色んな所を旅していたらしい。彼らはそれなりに実力もあり、名も通っていたらしく、数十年前の魔族侵攻の際にも参加したんだとか。へえ、婆様って昔冒険者やってたんだ。通りで色々凄かったわけだ。主に鉄拳制裁的な意味で。

 いくらか他愛のない話をした後、お使いの品を渡す。


「君はこれが何の薬かわかっているのかい?」


「はい。簡単な疲労回復薬ですよね。材料採取と婆様の調合の補助をしたのでわかってますよ?」


「ふむ、では同じ物をひとりでも作れるかね?」


「勿論。色々教えてもらいましたから、それくらいの物だったら失敗もなく出来ます」


 なるほど、と呟くと爺様は少しの間考えこんだ。何なのだろうか。俺、何か失敗したか?多少不安に思っていると爺様は俺のこれからの予定を訊いてきた。お使いも終わったし、もう帰る事を伝えるとせっかく王都まで来たんだから観光でもして行くといいと言われ、あれよあれよという間にしばらくの間このお屋敷にお世話になる事になっていた。

 ……あれぇ?






 王都を観て回る日々は知らなかった事を知る充実した日々だった。そんな日々を送っていたある日、王城に行っている爺様から伝令が来た。何でも必要な書類をお屋敷の執務室に忘れてきたのでそれを俺に持ってきてほしいらしい。伝令の人に渡すのは駄目だという事で、王城の入城許可証を渡された俺は急いで城へと向かった。世話になってるし、このくらいはしないとな。

 忘れ物をするなんて爺様も歳だなあ、とか思った瞬間に背筋をゾワリとしたものが駆け上ったのは気のせいだ、と思いたい。うんうん、忘れ物なんて誰でもするよ!

 城門で許可証を見せると、すぐに門兵の詰め所みたいな所から騎士服を着た立派な身なりの男が出てきた。歳は俺よりいくつか上、二十代半ばくらいか?服の上からでもうかがえる鍛えられた身体に整った顔立ち。女にきゃーきゃー言われてそうな感じだ。……イケメンは爆発しろ。むしろ滅べ。

 げふん、それは置いといて。書類を騎士の男に渡そうとしたら、機密に関わる物なので俺が直接前宰相に渡せって言われた。前宰相?と疑問に思っていたら爺様の事だった。何?あの人そんなに偉い人だったの?しかも機密書類って……。そんなん俺みたいな一般人に持たせんな!

 とにかくそんなおっかないブツはさっさと渡してしまおうと爺様の元へ向かう。案内はイケメン。城内ですれ違うメイドさんがことごとくそいつに熱い視線を送っていた。……イケメンは爆発して滅べ。その視線が側を歩く俺を怪訝に見る。そりゃそうだ、城内をここで働いているわけでもない、貴族でもない一般人が騎士に連れられて歩いているんだから。たまに何であんたなんかがこの方の側にいるのって殺気のこもった視線が混じるのがマジ怖い。その時にちろりと伺ったイケメンの涼しい顔にイラッとした。イケメンなんて消えてなくなればいいのに。

 そして案内された先は立派な扉。扉の両脇には帯剣した騎士が二名ずつ立っている。何だろう、嫌な予感しかしない。当たってほしくない勘ほど当たってしまうのは世の常か。イケメンが扉を守っていた騎士に何やら告げると、豪華な扉は重そうな軋み音を立てながら開けられた。繊細な俺に心の準備……はさせてくれませんよね、はい。待ってるのは国のお偉いさんですからね。

 中に入ると爺様の他に数人のおっさん達が立っていた。もしやこの室内にいる人全員この国の重鎮とかだったりする?勘弁してくれよ。俺が何したってんだ。婆様のお使いに来ただけじゃねえかよ。

 しかもこの大広間の一番奥には、認めたくはないが初老の男性座っている。お偉いさんであろう爺様達が立っている中、ただひとり座っている威厳ある御人。もしかしなくても国王陛下とか言っちゃいますか。何故だ、何故こんな事に。

 俺は軽く混乱している。そしてさらに混乱する事態が。


「おー、お前があいつの孫かー。ふてぶてしそうな面構えがそっくりだ」


 名乗りもそこそこに、にやりと人の悪そうな笑みで国王陛下がそう宣った。前宰相だった爺様から砕け過ぎだとお小言をもらうも、公式謁見じゃねえんだから気にすんな!と気にも留めないそぶりで玉座に肘をついた右手をヒラヒラさせる。陛下の話だと陛下も昔、婆様と一緒にパーティーを組んでいた仲間のひとりだったらしい。陛下や前宰相と仲間だったとか……ウチの婆様、本当に何者?この分じゃ他のメンバーも凄い顔ぶれだったりするんじゃねえの?


「お前さ、ちょっと勇者の旅に付いてけや。あ、これ勅令な」


 ナ、ナンダッテー!軽ーく言ってるけど勅令とか、ええーーーっ!いやいやいや、無理無理無理。何考えてるの、この大人共。単なる村人を討伐の旅に行かせるとかないわー。こんな時の為に国のお抱えの人達がいるんじゃないのかよ。なのに行かないとかソレ何て給料泥棒。俺達の血税返せ。

 勅令故に断れない。断ったら後がない。俺の命的な意味で。何でこうなった。っつっても十中八九そこで人の良さそうな笑みを浮かべている腹黒糞ジ……。


「な ん か い っ た か ? こ わ っ ぱ」


「いいえ、お爺様!」


 素敵な笑顔ですね、お爺様!海千山千な爺様共に勝てるわけもなく、俺は勇者の旅に同行させられる事になった。泣いていいかな。






 勇者パーティーに無理矢理組み込まれた俺を待っていたのは、いたたまれない空気だった。どいつもこいつも勇者様勇者様。別れてから数日しか経っていないのにそこにはもうすでにハーレムが形成されていたのだ。


 これがゆうしゃのちからだというのか!


 男も女も関係ないソレに恐れおののいたとしても俺は悪くないと思う。何なのコイツ等。もう、帰ってもいいかな。どうしようもなく遠い目をしていたら背後からのしかかられた。このパーティーで俺にこんな事をする人物はひとりしかいない。勇者その人である。


「酷いよ、ディー。助けてくれてもいいのに」


「寝言は寝てから言いやがれ」


 王都まで行く間に俺の事を愛称で呼ぶようになっていた勇者は、頬をふくれさせながら俺に体重を掛けてくる。どうやら群がるハーレムメンバー……じゃない、パーティーメンバーから逃れて来たようだ。助けるとか冗談じゃない。あんな発情期の獣みたいな集団の中に入っていけるか、ボケ。普段から勇者がじゃれついてくるせいでただでさえやっかまれているのに、さらに火種なんぞ投下したくないって。大体さあ野宿の準備くらいしろよ、お前等。俺ばっかり働いてんじゃねえ?

 まとわりつく勇者は、夕飯の支度をしている俺にとってはもの凄く邪魔にしかならない。そんなわけでペイッと背後から引きはがして地面に投げる。痛いよ、と言いながらも何が楽しいんだか笑う勇者。背後から突き刺さるアイツ等の視線が鋭さを増した、が知ったこっちゃねえや。こっちは飯の支度で忙しいんだよ。

 それにしても、俺以外のメンバー全員が飯の仕度ができないのには驚いた。コイツ等はいったいどうやって旅するつもりだったんだろうか。旅の途中ではどこにでも宿屋がある筈もなく、野宿する時は自分達で飯の支度をしなきゃなんねえのに。まさかそれを見越して俺を付いて行かせたとか言わねえよな、あの狸共。






 まあなんだ。流れに流れて今俺たちがいる所は魔王城なんである。しかも玉座の間の扉の前。扉一枚隔てた所に魔族の王、魔王がいるのだ。

 何故薬師見習いの一般人である俺がこんな場所に居るのか。寝て起きたらここにいた俺に誰か教えてくれないか。勇者一行が翌日魔王城に乗り込むから、俺はキャンプ地で待ってる筈だったのに。待ってる間に魔族領でしか見かけない植物をあさる筈だったのに。


「だってディーが傍にいてくれると心強いんだもん」


 だから寝てる間に担いで連れてきちゃった☆とかほざく奴に問答無用で蹴りを入れた俺は本当に悪くないと思うわけよ!

 てへぺろ☆とか実際にされたら妙にイラッとしかこないものなんだな。俺は心の赴くままに奴に蹴りを入れた。無理矢理同行させられている俺からすれば当たり前の制裁なんだが、周りがうるさい。やれ酷いだのやれ何様のつもりかだの。知ったこっちゃねえがホントこの勇者崇拝はどうにかしてほしい。村人スペックな俺が天下の勇者様に蹴りを入れたって本人にはどうって事ないんだから放っておけ。






 あ?魔王討伐?んなもん勇者がサクッと終わらせたに決まってんだろ。


◆◆◆設定とか蛇足とか◆◆◆


『ディセット』

 薬師見習いで、薬草にまみれた生活をこよなく愛する村人。口悪し。手(足)を出すのも早い。しっかりしているようで流され体質。

『勇者』

 ハーレム体質は元から。故に自分に無関心な態度のディセットに懐く。むしろ執着の域。

『婆様』

 凄腕の元冒険者で薬師。今はだいぶ丸くなったが、昔は色々凄まじかった(笑)。ちらほら伝説が残っているとかいないとか。

『爺様s』

 婆様の昔の旅の仲間。偉い身分にも関わらず放蕩してた。愉快犯な性格で周囲が苦労してる。

『パーティーメンバー』

 という名のハーレム要員。勇者が絡むと色々残念な(多分)実力者達。



 ディセットの住む村は魔物が頻繁に出没する峻厳な山中にあり、そこで暮らす人々は王都や平地で暮らす人達に比べると皆一様に身体能力が高め。そんな危険な村周辺を一人でほいほい徘徊してるディセットは、実は結構強かったり。

 村で弱いと言われてる魔物も、他の所では討伐専門の冒険者が当たらなといけないくらいには強い。でも村から出た事ないディセットには村の大人が基準の為、その辺の常識は通用しない。

 村から出て一番驚いた事は薬の質の低さ。ある種伝説の域に達した婆様直伝の腕は伊達じゃない。その腕と身体能力の高さに目をつけられて、魔王討伐にも勅令で参加する事になっちゃって本人涙目。

 基本攻撃は蹴り。だって殴ると手が痛いから。後は『劇物危険』な薬の投擲。シャレにならないくらいヤバいブツ。融ける。

 魔王討伐は、本人は勇者がサクッと終わらせたと思っているが、ディセットが自棄っぱちで投げた『混ぜるな危険!』な封印指定の劇薬のおかげでもある。



作中では明記してませんが、性別は決めてませんでした。

 薬師見習いと勇者が男同士だと勇者の一方的な熱い友情にさらされ続けます。

 薬師見習いと勇者が異性だと勇者がヤンデレます。

 ちなみに二人が男同士でもフラグ次第でBなLルートにいきます(笑)。

どちらにしろ薬師見習いは苦労しかしません。

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― 新着の感想 ―
[一言] 大変面白かったです! ディーと(最初から子犬→捨てられた子犬→なついた子犬→忠犬なのか駄犬なのかめっちゃ甘えっこな)勇者の性格と仲と関係が良かったです! (外堀埋めているおじいちゃんに勇…
[一言] ネタバレしていても問題ないので連載してほしいです(;//́Д/̀/) 無自覚系の最強は大好物です(・᷆ω・᷇)✧
[一言] 連載はされないんですか? (*´д`* )wktk
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