僕の異世界物語
何となく思いついた作品です。
駄文・駄作ですが、よろしければ評価や感想、よろしくお願いします。
「目が覚めるとそこは見たこともない世界。―…そう、異世界だった。」
文字がぼやけて読みにくい…。
まだ一ページしか読んでいない本を閉じ、時計を見る。
まだ朝の四時だった。
眠い目をこすりながら部屋のカーテンと窓を開け、外の空気を思いっきり吸う。
それは、甘く冷たい。
僕は異世界というものに憧れている。
僕の持つ常識が常識じゃなくて、地球じゃあり得ないことがあり得る、そんな世界に。
こんな事を考えていても意味がないことは分かっている。
異世界なんて夢物語。
あるはずがない。
十五年間の人生でそのことに気づいた。
十五歳、中学三年生。
それは人生における大きな分岐点のひとつ、高校受験が待ちかまえている年。
学校での勉強は難しいし眠くなる。
その後塾で五時間の講習があるんだから、たまったもんじゃない。
親や先生のプレッシャーに負けじと必死に頑張るけど、やっぱり嫌なものは嫌だし、眠いものは眠い。
学校なんてサボってやる、とか、何で勉強なんて…とかいつもブツブツ言っている。
それでもやはり普段のように学校の制服を着て、学校に行く準備をするのは僕が小心者だからだ。
五時限目。
理科の授業。
睡魔と戦いながら、先生の話に耳を傾け、ノートを取る。
毎日この繰り返し。
でも今日は違った。
一瞬周りが真っ白になって、次に目を開けたときには見たこともない世界が広がっていた。
そして目に映ったのは空に浮かぶ人。
「―――ひ、ひ、人が…空を…飛んでるぅぅ!?」
僕は一人で叫んだ。
はたから見ると奇妙な光景だったのだろう。
誰かからどうかしたのか、と声をかけられた。
その声の主は…
顔が猫だった。
「うぎゃぁぁぁああ!!!」
とんでもない悲鳴を上げ、人々の注目を集める。
視線が痛い。
そしてその視線の先にはやはり顔が犬、トラ、ネズミ、馬、さらには魚や虫の人々…。
よく見ると、空にいたのは鳥の顔をした人だった。
深呼吸をして少し落ち着いてから再度人々を見る。
優しく心配そうな目。
僕は彼らがいいヤツなのだと判断し、最初に声をかけてきた猫の頬をつねった。
かぶり物じゃない。
「ぃよっしゃぁぁあ!!!」
今度は歓喜の声を上げ、走り回った。
その時の僕は完全に狂っていたようで、彼らはさらに心配したという…。
ライオンの顔をしたヤツに止められ、ようやく正気を取り戻した僕は、ここが異世界なのだと悟った。
(一瞬気絶しかけたのは秘密だ。)
気を落ち着かせるために暫く散歩していたら、この世界のことが掴めてきた。
ここでは、僕が理科の授業で習った「食物連鎖のピラミッド」は成り立っていないらしい。
肉食動物と言われるものの顔をした動物が
「動物が動物を食べるなんて事ありえない!」とまで言っていた。
この世界ではみな、野菜や果物など、植物だけを食べて生活している。
(タンパク質不足にはならないのだろうか??)
そして、その野菜や果物は地球とは少し違う。
主に色が。
ニンジンのようなオレンジ色の大根や、毒リンゴのような紫色をしたリンゴ。
七色に輝くバナナや、黄金のナス。
僕が最も驚いたのは、この世界には「お金」とか「物々交換」というものが存在しないこと。
大きな事から小さな事まで、全て助け合いの精神と、大らかな性格でまかなわれている。
地球ではまずできないことだ。
彼らの義務は「労働」「助け合い」の二つ。
大人から子供まで全員これをこなしているらしい。
労働の義務は大変そうだけど、みんな伸び伸びと楽しそうに生活しているところを見ると
この場所で暮らすのも悪くないかな、と思えてくる。
『せっかく異世界に来れたのに帰るなんて勿体ない。』
そんなことを言い始めたその時、頭上がら大きな岩が落ちてきた。
周りに助けを求めようと思ったが、誰もいない。
そこはまた、あの真っ白な世界となった。
「お~い、大丈夫かぁ??」
声が聞こえる。
純粋な心配とは違う、少しバカにしたような声。
クスクスと小さな笑い声も聞こえた。
十秒ほどたち、やっとここが元の世界、「地球」で今が授業中だと気づけた。
理科の先生が
「俺の授業はそんなにつまらんか。だが、お前が寝るなんて珍しいな。少しは度胸がついてきたのか??」
とにこやかに怒って僕のそばに立っている。
―――…怖っ。やっぱり僕は小心者って思われてるんだ。
まぁ、そのおかげで今まで授業で寝たことなんて…?
え?寝る??僕が?だって僕は異世界に行って…。!!!
やっぱり異世界なんて夢物語。十五年間の人生で、それを一番実感した。
…最近は動物を見ると、優しい彼らの事や奇妙な野菜のことを思い出す…。
《完》
初めて完結させたお話です。
と言っても短編なのですが。
今回改めて思いました。
…小説って難しいですね;;