表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

僕の異世界物語

作者: 無夢

何となく思いついた作品です。


駄文・駄作ですが、よろしければ評価や感想、よろしくお願いします。



  「目が覚めるとそこは見たこともない世界。―…そう、異世界だった。」



文字がぼやけて読みにくい…。


 まだ一ページしか読んでいない本を閉じ、時計を見る。


まだ朝の四時だった。


眠い目をこすりながら部屋のカーテンと窓を開け、外の空気を思いっきり吸う。


それは、甘く冷たい。






 僕は異世界というものに憧れている。


僕の持つ常識が常識じゃなくて、地球じゃあり得ないことがあり得る、そんな世界に。




 こんな事を考えていても意味がないことは分かっている。


異世界なんて夢物語。


あるはずがない。


十五年間の人生でそのことに気づいた。








 十五歳、中学三年生。


それは人生における大きな分岐点のひとつ、高校受験が待ちかまえている年。


学校での勉強は難しいし眠くなる。


その後塾で五時間の講習があるんだから、たまったもんじゃない。


親や先生のプレッシャーに負けじと必死に頑張るけど、やっぱり嫌なものは嫌だし、眠いものは眠い。


学校なんてサボってやる、とか、何で勉強なんて…とかいつもブツブツ言っている。


それでもやはり普段のように学校の制服を着て、学校に行く準備をするのは僕が小心者だからだ。









五時限目。


理科の授業。


睡魔と戦いながら、先生の話に耳を傾け、ノートを取る。


毎日この繰り返し。





 でも今日は違った。





一瞬周りが真っ白になって、次に目を開けたときには見たこともない世界が広がっていた。


そして目に映ったのは空に浮かぶ人。




「―――ひ、ひ、人が…空を…飛んでるぅぅ!?」





僕は一人で叫んだ。


はたから見ると奇妙な光景だったのだろう。


誰かからどうかしたのか、と声をかけられた。


その声の主は…






顔が猫だった。









「うぎゃぁぁぁああ!!!」




とんでもない悲鳴を上げ、人々の注目を集める。



視線が痛い。


そしてその視線の先にはやはり顔が犬、トラ、ネズミ、馬、さらには魚や虫の人々…。



よく見ると、空にいたのは鳥の顔をした人だった。


深呼吸をして少し落ち着いてから再度人々を見る。


優しく心配そうな目。


僕は彼らがいいヤツなのだと判断し、最初に声をかけてきた猫の頬をつねった。





かぶり物じゃない。





「ぃよっしゃぁぁあ!!!」



今度は歓喜の声を上げ、走り回った。


その時の僕は完全に狂っていたようで、彼らはさらに心配したという…。








ライオンの顔をしたヤツに止められ、ようやく正気を取り戻した僕は、ここが異世界なのだと悟った。



(一瞬気絶しかけたのは秘密だ。)








 気を落ち着かせるために暫く散歩していたら、この世界のことが掴めてきた。


ここでは、僕が理科の授業で習った「食物連鎖のピラミッド」は成り立っていないらしい。



肉食動物と言われるものの顔をした動物が


「動物が動物を食べるなんて事ありえない!」とまで言っていた。



この世界ではみな、野菜や果物など、植物だけを食べて生活している。



(タンパク質不足にはならないのだろうか??)





そして、その野菜や果物は地球とは少し違う。




主に色が。




ニンジンのようなオレンジ色の大根や、毒リンゴのような紫色をしたリンゴ。


七色に輝くバナナや、黄金のナス。







 僕が最も驚いたのは、この世界には「お金」とか「物々交換」というものが存在しないこと。


大きな事から小さな事まで、全て助け合いの精神と、大らかな性格でまかなわれている。


地球ではまずできないことだ。






 彼らの義務は「労働」「助け合い」の二つ。



大人から子供まで全員これをこなしているらしい。



労働の義務は大変そうだけど、みんな伸び伸びと楽しそうに生活しているところを見ると


この場所で暮らすのも悪くないかな、と思えてくる。










 『せっかく異世界に来れたのに帰るなんて勿体ない。』












そんなことを言い始めたその時、頭上がら大きな岩が落ちてきた。



周りに助けを求めようと思ったが、誰もいない。
























そこはまた、あの真っ白な世界となった。

























 「お~い、大丈夫かぁ??」



声が聞こえる。



純粋な心配とは違う、少しバカにしたような声。


クスクスと小さな笑い声も聞こえた。


十秒ほどたち、やっとここが元の世界、「地球」で今が授業中だと気づけた。





 理科の先生が



「俺の授業はそんなにつまらんか。だが、お前が寝るなんて珍しいな。少しは度胸がついてきたのか??」


とにこやかに怒って僕のそばに立っている。





―――…怖っ。やっぱり僕は小心者って思われてるんだ。


まぁ、そのおかげで今まで授業で寝たことなんて…?


え?寝る??僕が?だって僕は異世界に行って…。!!!











 やっぱり異世界なんて夢物語。十五年間の人生で、それを一番実感した。





 …最近は動物を見ると、優しい彼らの事や奇妙な野菜のことを思い出す…。








                                    《完》

初めて完結させたお話です。


と言っても短編なのですが。



今回改めて思いました。


…小説って難しいですね;;

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ