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二十二章 賢王の屋敷

私たちは再誕の地を去って赤い月の結界に戻った。

瑠璃と間違うほど濃密な青色の魔陰水晶(まいんすいしょう)を赤い月の結界にかざすと赤い月の結界が消えると共に屋敷へと誘うような優しい風と吹く。

「どうして奴と戦わなかったんだ?」

白翔は梨々香を見てそう言った。

「あそこに昼華(ひるはな)の神気が漂っていたからだよ。掴めそうなほど濃いものがね・・・」

梨々香は巨大な屋敷を見てそう言った。

あの男は昼華に好かれた人物だったのだろう。

あの男のことを昼華は間違いなく見ていた。

私たちは屋敷の前まで移動した。

そして、大きな扉を開けて中に入った。

「広いな・・・」

白翔は周りを見渡しながらそう言った。

「異常だよね・・・」

白梅は周りを見渡しながらそう言った。

石とレンガを組み合わせて作られた床、入り口から正面奥には二階に繋がっているであろう階段があり、その階段の中央踊り場には巨大な絵画が飾られている。

「・・・エクスカリナの家族?」

華は巨大な絵画を見て不思議そうに言った。

「ちょっと梨々香に似てない?」

白梅は赤髪の騎士を見てそう言った。

「似てないよ」

華は赤髪の騎士を見てそう言った。

「・・・」

梨々香は黙って絵画に描かれた少女を支えるブロンド髪の女性を見つめる。

私たちは三角帽子の紋章が刻まれた黒色のカーペットを踏みながら屋敷の奥へと進む。

階段の中央踊り場を抜けて右側の階段を進んで二階に上がった。

二階は左右に分かれていて左は奥へと進む道、右はぐるりと一周できるようだ。

私たちは迷わず左へ曲がる。

左へ曲がると真っすぐな道の左右にいくつか部屋がある。

しかし、どれも開かない。

奥へ奥へと移動していくと一つ入れる部屋があった。

ドアを開けて部屋前から部屋の中を見る。

どうやら罠の気配はないようだ。

一つの勉強用机と質の良いベッド、扉側の壁にはトロフィーと小さな杖を飾る棚がある。

トロフィーは優秀な魔術学生に送られるものらしい。

そして、飾られている小さな杖は全て瑠璃のような魔の水晶で包まれている。

「読める?」

白梅は梨々香と華を見てそう言った。

「ララ・・・ララ・クレイス・ミケルと言う人みたいです」

梨々香はトロフィーを見てそう言った。

「ララ・クレイス・ミケル・・・」

華はトロフィーを見ながらそう言った。

「大英雄墓地に居たあの騎士、ミケルに仕える騎士って言っていたよね」

華は梨々香を見てそう言った。

「そうだね」

梨々香は華を見てそう言った。

「あんな奴を従えることができるってこの子ヤバくない?」

「そうだね・・・」

梨々香たちがトロフィーを見ていたその時、鐘のような音と共に窓が波紋のように揺らいだ。

白き魔神グローゼ・ベルニアが俗世を襲った時、我が師アニカは私を屋敷に入れて結界を張った。

賢王アニカが張った結界は父とアベルが魔術街に到着するまで白き魔神グローゼ・ベルニアを足止めし続けた。


次回予告は活動報告にあります

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