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十九章 偉業の地

私たちはドミニクの魔術街に入った。

警備の兵どころか住民もいない。

壊れたバリケードや兵器の数々、そして、街を満たす魔陰(まいん)神気(しんき)がより一層寂しさを生み出している。

大通りの正面、巨大な屋敷に通じる唯一の道は突貫工事で作り出されたような結界がある。

「見たことがない結界だね」

白翔は赤い月の紋章が刻まれた結界を見てそう言った。

「魔陰の神気で作られている可能性が高い。調べてください」

梨々香は白梅を見てそう言った。

「わかった」

白梅はそう言うと()()()の紋章が刻まれた結界に触れた。

「なにこれ・・・」

白梅は困惑しながらそう言った。

「どうかしましたか?」

梨々香は結界に触れる白梅を見てそう言った。

「なんか・・・頭に・・・・・・」

白梅が驚きながらそう言った瞬間、白梅が倒れて大量の液状神気が口や鼻から流れ出した。

「な、なんだよこの結界!!」

白翔はビシャビシャと流れ続ける液状神気を見て顔を青くしながらそう言った。

「何か術がかけられていたようだね」

梨々香は赤い月の紋章が刻まれた結界を見てそう言うと躊躇なく触れた。

結界に触れた瞬間、凄まじい勢いで頭の中に情報が流れ込んできた。

それも、有益な情報ではなく全く同じような配列の情報が流れ込んでくる。

まるで初期のヴァンゼナが組んだ地獄みたいなプログラムコードを頭の中に流し込まれているような感覚だ

これでは脳が過負荷で壊れてしまう。

「これは随分と恐ろしい・・・頭が熱くなりました・・・」

梨々香は華を見て笑いながらそう言った。

「大丈夫かい?頭壊れてない?」

白翔は梨々香を見て心配そうに言った。

「えぇ、大丈夫ですよ」

梨々香はそう言いながら白梅を起こした。

「ヤバい・・・トラウマになりそう・・・」

白梅はそう言いながら自分で立った。

私たちはこの結界を解くために探索を始めた。

小道や路地裏を進んで探索を行って度道を絞り込んだ。

私たちは大通りを右に曲がって階段がある小道に入り、小さな門がついている階段を下って第二の大通りに着いた。

そして、その第二の大通りを真っすぐ進んで古びた鉄の格子門に着いた。

古びた鉄の格子門の先には古びた祭儀場がある。

私たちは古びた鉄の格子門を開けて先へと進む。

ガラスが波のように広がった土地、しかし、その中心に特別な何かあるわけではない。

だが、その遥か奥にある巨大な祭壇にそれはあり、その存在は居た。

「来たか。華を恐れぬ者よ・・・」

赤き月のような魔眼、白髪ロングヘア、白色の賢者服で身を包んだ男性、守護者(しゅごしゃ)赤月(せきげつ)賢王(けんおう)は祭壇の上にある巨大な卵を見ながらそう言った。

「・・・」

梨々香たちは各々武器を握る。

「見よ。この卵を・・・」

守護者・赤月の賢王は巨大な卵を指さしながらそう言った。

「先手必勝だ。梨々香」

白い風を纏った白翔は梨々香を見てそう言った。

「ダメだ・・・」

梨々香は守護者・赤月の賢王を見て冷や汗をかきながらそう言った。

「え?」

白翔は梨々香の言葉に戸惑う。

「・・・」

華は空中にある何かを掴むような動きをする。

(はじ)まりの魔女(まじょ)ドミニクは()()()()()()を生み出してなお生きようとした。()()を愚弄する()(がた)い行為だ」

守護者・赤月の賢王はひびが入っていく卵を見ながらそう言った。

「お前たちは見るべきだ・・・()()を愚弄しようとする者のその姿を。そして、その結末を・・・」

守護者・赤月の賢王はそう言うと赤い月の紋章が刻まれた魔法陣の中に消えていった。

魔法陣と魔眼の男の気配が完全に消失したその瞬間、グシャリと粘りつくような嫌な音を響かせながら巨大な卵から生気のない細い人の腕が出てきた。

ドミニクの魔術街東側にあった祭儀場は偉業の地と呼ばれ、賢王のみが立ち入れる魔術の聖地だった。

偉大なる遺志の誕生という偉業を成し遂げた始の魔女ドミニクはここで消え、ここで再誕しようとした。


次回予告は活動報告にあります

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