第12話 決戦の時
「てか本当にここらへんにいるんだよな?その
クレドラゴンとかいうやつ…」
私たちは今、家から遠く離れた森の真ん中にいる。
チヌがクレドラゴンの居場所を知っているとのこと。
で、私たちはチヌについていっているわけだが、
キュラがずっとぐちぐち言っててうるさいんだよね…
「もうすぐだよ。ほら、あそこ。」
「あれって…」
滝だ。明らかな滝が見えてきた。
「滝?あそこにクレドラゴンが?」
「いや、そうじゃない。」
チヌは早歩きで滝の近くに行き、周りを見渡した。
滝の周りは少し開けていて、
滝の下には小さな池がある。
するとチヌが能力「操作型」の手の形をし、
床にあった石を操作して、滝の下へと
運んだ。その時、
『この石は、あまり良く無いものだ。」
「「「え?」」」
頭に直接響くような声が突然私たちを襲った。
「誰!?」
『我が家は古龍にして地の神、クレドラゴンだ。」
「クレっ…!」
このすごい低い声の正体がクレドラゴンらしい。
しかし、その姿はどこにもなく、ただ声が聞こえるだけだった。
「ワタシはチヌ。主人、タスキの仲間だ。」
『タスキ…貴様、何のようだ。」
「主人の敵討ちだ…」
『…我は害のない生物を殺すことはできない。
しかしそれとは対に、悪人は人関係なく
抹消する。しかしお前はそいつの仇を取ろうとしている。これがなにを意味するかわかるか?」
「…!? まさかワタシの主人が悪人のような人だったと…?なにをふざけている!ワタシは…!」
「待てチヌ!まだこいつは…!」
多分、この龍が言いたいのは、
「お前の主人は、悪人で、我は悪人を
抹消しただけ。なのにお前はそいつの
仇を取ろうとしている。お前はなぜ悪人の仇など取ろうとするのか。」
ということだろう。
…正直、何を言っているかわからない。
言葉では理解できていてもだ。
チヌの主人は確かに狂人だけど、
敵から身を隠せる木の上に家を作るくらいだから、
他の生物や自然を破壊する人とは思えないのだ。
「…なぜワタシの主人は悪人なのでしょうか…?」
『聞きたいか。」
「…はい。」
『なら、ひとまず力比べだ。貴様…
と、そこのやつらもか?」
「はい。私たちも仇をとりにきました。」
「…お前たちが十分な力を持っていなければ
このことを話す価値はない。わかったか?」
すると、なぜか当たりが影のようなもので
覆われてきた。そして上を見上げると、
「ほえぇ…」
茶色い鱗、白い大きなツノと爪。そしてなにより、
「デカすぎんだろ…!」
その大きさ。大体あの家の木と同じくらいだ。
キュラが思いっきり絶句している。
「……」
しかし、チヌは思ったより落ち着いているようだった。そしてチヌは深く深呼吸をして…
「…お前が地の神だがかなんだか知らないけど…!」
「「「「私たちは絶対に勝つ…!」」」」