第11話 能力の使い方
「…そして、この本は何?」
私の座っているところの後ろにあるこの本。
キュラが木に登った時に、チヌの主人と一緒にあったらしい。前の本は確か文字が私にしか読めなかった。今回もそうなのかな…
「わかりませんね…主人の書いた本は大体18冊ぐらいあるので…」
「18冊?!」
18冊…本の厚さやばいぞ?これ…6センチぐらいある気がする…
「一回読んでみた方がいいですよ。えっと…
その本取ってください。」
「わかった。…はい。」
「えっと…439ページ…あった。読めますよ。」
「何なに〜?えっと…「能力の使い方」だって。」
「「能力の使い方?」」
説明しよう!今からこの子達頑張ってこの本を
読むけど、読者にはわかりやすく説明するぞ!
能力はまず、「設置型」と「操作型」がある。
設置型を使用するには、両手を前に向かって添えて、力を込める。
この時、使用する「力」は
よくあるやつだと、「マナ」や「魔力」と
呼ばれるが、この世界では違う。
そういったものはそもそも存在せず、
その「力」は、肉体的な疲労とする。
だから、能力をたくさん使うには、
「体力を鍛える必要がある。」
ということなのだ。
もちろん、その力が多ければ
多いほど、能力の性能も上がる。
そしてもう一つの操作型を使用するには、
まず、片手の人差し指と中指を合わせ、
もう片手は添えるだけ。
そしてその指の先に
「力」を注ぎ、能力を使う。その時、その能力を
指の間でしっかり掴むような感じにする。
そしてその指で挟んだ能力を手を動かして操作する。
ちなみに、「フリック」という手首のスナップを効かせた技を使えば、遠くへその能力を飛ばすことも
できる。しかしこれは能力の種類によってはできない。(できない種類の例:草 物理)
とこの本には書かれている…
…いやなっが…?!設定しっかりしすぎでしょ…
「能力の使い方か…まさかチヌがやってた地面を液状にするやつって…」
「うん。あれは「操作型」の能力を使って、
地面に埋まってる石をこねくり回して、
周りの土が液状になるまで混ぜ混ぜした。」
「すごいな…そんなこともできるのか。
…けど俺の能力…設置型とかどうやるんだ?」
確かに…物理の能力ってただの脳筋パンチしか
能力ないんじゃ無いの?
キュラがものすごい嫌な予感がした顔してる。
「…主人も物理の能力だったからわかるんだけど…
多分…常時自分の身体に「設置」されていて、
殴ったりした時にでる衝撃が「操作」何だと思う…」
「…てことは俺脳筋ってことか?」
「そうだね。」
「どうじでだよぉぉぉぉー?!?!」
キュラの雄叫びを聞きながら、私たちは
眠りにつきましたとさ。
そして次の日。
「今日はクレドラゴン討伐に向けて、
能力の使い方をマスターするぞー!」
「「「おー!」」」
そしてそこから数日間。
私たちは、あの本を何度も見返しながら、
能力の使い方を練習。ひたすら練習。
正直、最初は全然できなくて、なんなら
ニルは自分の火でやけどしてたりした。
しかし、練習を始めて12日が経った時。
「はぁー…!!!」
ボッ
「すごい…!ニルすごいよ!的に全弾当たってる!」
ついに能力をマスターした。
しかしこんな苦労をしてる間、キュラは
ずっと丸太を運んでいる。
なんでだろう?とずっと思ってる。
まあいいや。
「よし、みんな、よくがんばったな。」
4人全員が能力をマスター。
ニルの火はいわゆるファイヤーボールみたいに
投げれるように。
私の草の能力は、なんと高速でツタを生やし、
壁や攻撃に使えるようになった。
チヌの岩の能力は、一度にたくさんの石を
正確に投げれるようになった。
そしてキュラは…
なにも変化なし。
「俺なんもできねぇしー!」
といってずっと変なことしてたから
そりゃね…
すると夜、キュラが家の裏から何か持ってきた。
「これ。頑張って作ってたんだ。」
そこには大量の剣や斧。あの本には
いろんな知識が載っていたから、
そこから知恵を借りて作ったのだろう。
しかしすごいなこれ…カチカチでものすごく
鋭い。
なんにせよ、これでクレドラゴンの討伐準備が
整った。
壁を笑いながら走る狂人を食べたドラゴンだ。
間違いなく強敵だろう。
しかし、私には仲間がいる!
次回!クレドラゴン討伐へ!