第10話 夢
「死体以外わな…」
「死体…!?」
キュラだけでなく、ニルも顔色が悪くなってきている。
「死体…どうする…?」
「落として。」
「「「え?!」」」
チヌがすごいことを言い出した…
いや死体だとしても40mから落とすって…
「大丈夫。ワタシの能力なら。」
「…だってよ。…落としていいよ。」
「………」
上から人のようなものが落ちてくる。
するとすかさずチヌが動き、地面に向かって
手を合わせ、何かを呟いた。その時、
地面がまるで水のようにぐちゃぐちゃになり、
その上に死体見られるものが落ちた。
「よし。間に合った。」
「…いけたか?」
「うん。いけたよ。もう一回木の上探してみて!」
「わかった!…って、これって…」
「てか何今呟いたの…?」
「おーい!3人ともー!何かの本があった!
それ以外食べ物とかあるけど全部腐ってるー!」
「わかったー!ありがと!もう降りてきていいよ!」
「…これどうやって降りるの…?」
*
なんやかんやしていたら、気づいたら夜になってしまっていた。草刈り終わってないし…
「…てか、この死体どうするの?」
正直、グロいとかじゃなくて別の意味で気味が悪い。
外傷はなく、血も出てないのに体が冷たくて、
まるで寝ているような感じだ。
「この人、ワタシの主人。」
「え?」「「ん?」」
「でも、確かクレドラゴンってやつに
食われたんじゃ…」
「うん。食われて死んだ。けれど、主人の1番の仲間であり、ワタシの親友が…」
「…どうしたの?」
「いや…その親友が、自分の命を代わりにして、
主人を蘇生しようとしたんだ。」
「身代わり…!?」
「そう。けれど体だけしか戻らなくて、
そのまま魂もこの世のどこかにいってしまった。」
「…その体がこれってことか。」
「うん。」
まさかの急展開。この死体、まさかのチヌの主人。
からの蘇生ができる能力、しかし失敗。
この木の上でそんなことが…
「そしてワタシの夢は、
新しい主人を探して、そいつに仇を取る。」
「…!?」
新しい主人。私のことか…私と仇を取りに行きたい…そう言われちゃぁ…
「その夢、叶えるか?」
「えっ…」
「私、まだ狩りはしたことあるけど、
戦うってのはまだできない。けれど、
そんな夢、叶えないわけにはいかないでしょ…?」
「っ…!」
チヌは目に涙を浮かべている。
正直、まだ私には無理だし…とか日和ってたら、
私は成長できない気がする。
ニルとキュラも守りたいし。
から、私は決心した。
絶対チヌの夢を叶えるって。