【エッセー】トランプ再選に対応できない日本のリーダーたち
これから暫く新たな投稿は(物語の着想が生れるまで)拙いエッセーで繋ぎたいと思います。
今回は世界の現状など、私の得意分野である政治目線から投稿しますが、今後はどんな話題を提供できるかは全く分かりません。
取り敢えず不定期投稿になると思いますが、どうぞ宜しくお付き合いお願いします。
ご存じの通り、トランプ再選の一ヵ月前に日本の首相は石破 茂氏に決まった。
癖の強いトランプ氏が再選されることを密かに恐れていた日本政府。
アメリカ民主党のみならず日本を含めた西側諸国は皆、御しやすいとみなされていたハリス氏を望んでいた節がある。
トランプ氏が前回の大統領時代、外交政策で他国と数々の軋轢を展開し、トランプ対EU諸国の対立の構図がいたる場面であった。
だがあの時、そんな問題児『トランプ大統領』を唯一制御できる人物がいた。
それが意外にも日本の旧リーダーだった故安倍晋三元総理。
彼に対するトランプ氏の個人的評価は驚くほど高かった。
今でも故安倍氏を回顧しその死を惜しんでいるという。
だが現首相の石破氏は故安倍氏と真逆なキャラクターで、トランプ氏とは【絶対に】合わないと分析する評論家が多い。
予想外にトランプ氏が再選し、望まない最悪の結果となった日米リーダーの取り合わせに頭を抱える日本側首脳陣たち。
だが卓越した外交手腕を発揮し日本の国際的地位向上に大きな功績を残した安倍氏のような人材は、もう今の日本には存在しないのではないか?
誤解されては困るが、私は安倍氏の信奉者・支持者ではない。
彼の外交成果とは対称に、国内政治はアベノミクスの失敗で貧富の差の増大を招き、更に日本の経済力・国力の低下を招いた罪の大きさは看過できないものが有ったから。
更に政治の表舞台とは裏腹に『統一教会問題』や、『裏金問題』が深く根を張る派閥の領袖として、腐敗政治の蔓延を招いた裏の顔をもった政治悪の元凶の存在でもあった。
一方高市早苗氏と熾烈な総裁選を制し、結局石破茂氏が総理の座を射止めたが、この結果が国民全体の民意を反映した結果といえるのか?
今更現状の自民党の批判をこれ以上 論っても仕方ないので、敢えてここではこれ以上触れない。
もちろん総裁選はあくまで自民党の代表選であり、国の代表を決める国民投票ではないから、国民の総意とはいかないのは当然であるが、その結果日本国中に漠然とした不安が広がっている。
その結果、評価の意思表示として総選挙での与党大敗がある。
では高市氏ではどうだったのか?
それは分らない。
ただ、今後の世界情勢はトランプ氏再選により、一気に動くのは間違いないだろう。
そのトランプ氏が主張する日本やEU諸国からの輸入品に対し、新たに10%以上の大幅な関税をかける政策や、在日米軍基地に対する負担額増大、理不尽で素人目線の愚策のアメリカファースト政策を推進するという姿勢。
更に防衛問題ではウクライナに続き、台湾有事に米軍の加勢はしないなど、ウクライナ・台湾支援に対し後ろ向きともいえる政策転換により、「一夜にして戦争終結を実現する」とか根拠の乏しい主張を繰返し、ロシア・中国よりの外交政策を匂わしている。
これらが言葉通り行われれば、世界情勢は悪夢の現場として一変する。
それらの情勢変化に対する不安や危機に対する無力感、絶望的未来しか見いだせない予測が閉塞社会を助長させ、あたかも自分がステージ4の癌に罹患した時のような、深刻さと不安に襲われているのが国民の現状の心理状態であるのではないだろうか?
ここまで不安を掻き立てるだけのようなネガティブ予想を挙げてきたが、実は新たな希望的観測も存在している。
ウクライナ・ゼレンスキー大統領はトランプ再選を見越し、相当前から対トランプ対策の事前準備と懐柔工作を実行してきた。
それに加え、最近北朝鮮兵の参戦も新たな危機的材料となり、アメリカ共和党内や、トランプ氏側近からもその危機感から政策変更を練り始めている。
つまりプーチン・ロシアに利するウクライナ支援差し止めは、ロシアの戦勝を意味し、そのロシア勝利は結果としてロシア・中国・イランの新たな悪の枢軸を完成・強化させ、アメリカに対する直接的な危機に発展するとの観測が生まれているのだ。
元々共和党内には対ロシア強硬派が数多く存在し、民主党より厳しい意見がある。
それら強硬派の巻き返しが無視できない程の勢力となってきた。
ただ、忘れてなならないのが、戦闘を仕掛けてくるのはあくまで中国であり、ロシアである。
トランプ氏でもハリス氏でもない。
戦争の危機を創出しているのは中露だってこと。
日米欧に出来る事は戦争の忌避の努力と、最悪勃発しても負けない努力しかない。
トランプ氏から受けると予想されている経済摩擦回避と、防衛協力の実行が日欧に課せられているのだ。
そこで改めて現状の日本の最高決定・実行機関としての政府を見て見ると、与党にも野党にも官僚率いる各省庁にも、眼前の脅威に立ち向かえられる体制にあるとは言えない。
トランプ氏が正式に大統領として就任するのは来年1月20日。
それまでの短期間に日本政府がどれだけの事前準備と対応する体制を整えられるのか?
ウクライナのゼレンスキー大統領は対策を講じてきた。
翻って日本は?EUは?
西側有力独立国家のリーダーとして、有能な仕事が出来るか?無能の誹りを受ける事になるのか?
すべてはこれ以降の行動にかかっている。
だからといってこれから起きる事に対し、石破総理にすべての責任を負わせるべきではない。
閣僚の全てと衆参両院の議員総てと、各省庁総てがその職責を全力で全うしなければならない。
そしてそれ以上にその状況を国民ひとりひとりの【有権者】が責任を以て監視し、ただ不満を無駄に呟くだけでなく、前向きで有益な意見を反映させるまで主張すべきである。
リーダー個人に一任するだけでは事態を好転させるには無理がある。
人任せでは、満足にその結果を受け入れられないのだ。
戦前・戦中の『国家総動員法』の過ちを教訓として、全体主義の横暴ではなく、民主主義の根幹を全うする事により、かかる危機に立ち向か得られれば!と切に願う。