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7/10

7 巻き込みたくない

 騎士団長の説明が終わった後、リリアはヴィアとデミルだけ残るように言ってフィオナと騎士団長を下がらせた。どんな時でも大事な話はフィオナも同席するはずなのに、今回だけは下がれと言われ、フィオナは言いようのない不安に苛まれる。もしかすると、ヴィアの件でまだ何かあるのかもしれない。ヴィアは本当に大丈夫なのだろうか?


「フィオナ、心配するな。何も問題ない」


 フィオナの不安そうな様子に気づいたヴィアが、フィオナに声をかける。


「本当に?」

「大丈夫よ、ただちょっと不審者について確認したいことがあっただけだから」


 リリアもヴィアを援護する。よくわかっていないデミルは首を傾げているが、二人が大丈夫だと言うのであればそれを信じる他ない。渋々フィオナは部屋を出ようとする。部屋を出る寸前、ヴィアの顔を見るがいつもより顔色がすぐれないように思えた。


(本当に大丈夫なのかしら……本当はまだ他にも何かよくないことがあるとか?)


 肩の傷は治っているはずだし、騎士団長の話ではヴィアは大丈夫だと言っていた。だが、言いようのない不安がフィオナを襲う。それでも、今は何もできず、フィオナは後ろ髪を引かれる思いで部屋を後にした。



「……それでヴィア、本当に大丈夫なの?」


 大丈夫なの、と聞かれたヴィアは、静かにため息をついた。おそらく、リリアには全てわかっているのだろう。


「大丈夫です、問題ありません」

「フィオナを頼らないの?」


 リリアの言葉に、ヴィアは一瞬神妙な表情を浮かべるが、すぐに真顔に戻った。


「リリア、一体どういうことだ?ヴィアは大丈夫なんじゃないのか」


 困惑するデミルに、リリアは呆れたような顔をして言う。


「デミル様、本当に知らなかったのですか?であればこの部屋から出て行ってください。ヴィアと二人で話をします」

「は?いや、何を言って……俺以外の男と二人きりになるなんて許容できない」

「何を言ってるんですか!ヴィアは護衛騎士なのですよ!全て解決したらちゃんとお話ししますから!」


 そう言ってリリアはデミルの背中を押し、部屋から追い出した。


「はぁ、デミル様って恋心に本当に疎いのね。それで、もう一度聞くけれど、フィオナを頼らないの?そのままだとあなた、そのうち死んでしまうのよ」


 困ったような顔をしてリリアはヴィアを見つめる。だが、ヴィアは表情を変えず、ただ床を見つめていた。



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