ゲーム開始です
「あるわけないでしょう。そんな、都合の良い話」
騒いでいたもの達は、踊らされていたことを悟り、ただただ唖然としていた。
「今、あなた方の魂は現世で過ごすうち穢れに溢れてしまいました。よって、あなた方はその穢れた魂を浄化しなければならない。ではどうやって浄化するのか?答えは、ただ一つ......」
そう言い終わるや否や、その部屋はたちまち燃え始め、すぐにその場所の真の姿が見えてきた。そこには、燃え盛る溶岩、痛々しい拷問具、そして拘束された囚人らしき者達がひしめき合った、凄惨な光景が広がっていた。
「あなた方にはこの場所で責め苦を受けてもらいます。そう、平たく言ってしまえば、ここは地獄なのです。」
男の言葉に、その場にいる全員が絶句した。
「あなた方が不滅の存在となったのは、責め苦の痛みに耐えるためでもあります。そうですね、一千万年程度かけて痛みを味わえば、何とか浄化が完了するでしょうか。」
「一千万年? 何を、言ってるんだ......?」
「ふざけんじゃねえ!訳の分からねえことぬかしやがって!」
「悪い冗談はやめてくれ! 元の世界に還してくれ!」
そこかしこから非難が噴出する。
「皆さん、落ち着いてください」
仮面の男はぴしゃりとそう言った。
「皆さんがそう言うと思っていましたので、ちょっとしたサプライズを用意しています。あちらをご覧ください。」
男が指さした先には地獄の中にそびえる一つの塔があった。
「あなた方にはまだ、希望が残されています。私が示した先にある塔が見えますでしょうか? 実はあの塔の中に魂を浄化し、さらにこの地獄から抜け出す秘宝が眠っております。ただし、秘宝は一つだけ。それを手にした一人だけが、奇跡を目の当たりにすることができるのです」
「......ということは......」
「......まさか......」
人々は嫌な予感を感じざるを得なかった。
「ご明察!今からあなた方にはその秘宝を巡って争っていただきます。ルールはいたってシンプル! 最初に秘宝を手にしたものが勝者となります。幸い、ここから塔に続く一本道のルートがありますので、是非ご活用ください!あ、あとあなた方は死ぬことはありませんが、溶岩に落ちるか、地獄の番人に捕まれば復帰するのはほぼ不可能といってよいでしょう。お気をつけくださいね」
「そ、そんな......」
「こんなことって......」
完全に、掌の上で踊らされている。俺たちは、まさにこいつの娯楽のためのおもちゃってことか。くそっ!
「勿論、参加をしないという選択をとることもできます。その場合は勇気を出して、地獄の業火に飛び込んでください!」
当然、そんな選択ができるやつはいない。
「はは、そうですよね。あなた方に選択肢はありません。ああ、みなさん、いい表情ですねえ」
奴は、とことん神経を逆なでしてくる。だがやつの言う通り、俺たちに選択肢はない。
「さあ! この試練を掻いくぐり、真の栄光を勝ち取ってください! そして私に魂がもがきあがく様を見せてください! ゲーム開始です!」