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皆さんごきげんよう

「皆さんごきげんよう!!」


!?


......なんだ?ここはどこだ?


俺はさっきまで、忌まわしいヤクザ共に追われていたはず。

だが今、俺は見慣れない部屋にいる。


それに、腹を銃で撃ちぬかれて――


だが、服を確認してみても、それらしい跡はない。

それどころか、血も一切付いていない。


辺りを見渡すと、俺以外にも人間がいるようだ。

どういうことだ?俺は、生きているのか?


多くの疑念に駆られたのとほぼ同時に、

正面奥に仮面をつけた人間が立っていることに気づいた。

確かさっき、誰かの声が聞こえたような......。


「皆さんに、お伝えしなければならないことがあります」


仮面の男は話し始めた。確信した。こいつがさっきの声の主のようだ。


「残念ながら、あなた方は既に死んでしまいました。そして死後の世界に行き着いたのです」


!?

男は突拍子もないことを言い出した。

周囲もざわついている。

すると、不機嫌そうな男が文句を飛ばし始めた。


「適当なこと言ってんじゃねえぞ!俺の体はこうして!ここに存在してるだろうが!」


最もなことを言う。仮面の男は何も言わない。


――と思った次の瞬間。


グサッッッ!!


文句を言った男に向かって、無数の刃が一瞬にして突き刺さった。

どこから飛んできたのかも分からないほどに、一瞬の出来事だった。


「ぐあああああ!!!!」


「きゃああああ!!!!」


男は激痛に叫び、同時に近くにいた女が悲鳴を上げる。


「あー、落ち着いてください。こうした方が分かりやすいんですよ」


男は激痛に悶えながら、一つの違和感に気付く。


「ぐああっ、あ、あれ?」


「な、なぜだ、なぜ俺はし、死んでいない?心臓を、貫かれたはず、なのに......」


「これで分かったでしょう?痛みを感じようともあなた方は死なない。血が出ることすらない。それはあなたが死後、魂だけの存在になり、不滅の存在になったからなのです」


目の前の光景に、俺を含め周囲の人間は衝撃の事実を受け入れざるを得なかった。


「じ、じゃあ、ここはどこなの?まさか、天国?」


一人の女が核心的な質問を投げかけた。

仮面の男は笑顔で答える。


「ご明察!あなた方はついに永遠に続く業苦の世界から開放されたのです!おめでとうございます!」


動揺が支配し始めた空気に、初めて安堵が訪れた。


「や、やったー!」

「俺たちは、救われたんだ!」


過去に何があったのか、仮面の男の答えに数人が緊張が解けたように騒ぎ始める。


その直後。


「ははは」


乾いた笑い声が、仮面の男から発せられた。


「あるわけないでしょう。そんな、都合の良い話」


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