百戦錬磨
「おい、そっちはどうだ?」
「駄目です。囲まれました」
「敵の数は?」
「約5000といったところです」
こっちの兵力が約300だから1割にも満たないのか。
だが、やるしかない。やるかやられるか。その二択しかない。
「よし、行くぞ。お前達の隊はあちら側に回ってくれ」
「了解です」
厳しい戦闘が繰り広げられたが、やがて戦いは終わった。
今日のところは。
***
「おい、そっちの隊はどうだ?」
「はい。かなりの損害が出ましたが、何とか殲滅しました」
「そうか。こちらも何とか殲滅した」
それにしも、今日も厳しい戦いだった。
奴らは何の目的で攻撃してくるのか、はたまた、何者なのか、得体の知れない不気味さがある上に、次から次にうじゃうじゃ湧いてきやがる。息つく暇さえ与えてくれない。
奴らは疲れを知らないのか。
そんなことを考えてる暇もない。
やるかやられるかの二択しかないのだ。
明日も厳しい戦いになりそうだ。
***
がん細胞は健康な人のカラダでも1日に5000個は発生していくことが分かっている。がん細胞ができると、そのつど退治しているのが免疫細胞(リンパ球)である。
生き残ったがん細胞が、やがて、塊としての「がん」になっていく。
我々は日々、5000勝0敗の戦いをしなければならない。
決して、勝って当たり前ではないのだ。
名も無き戦士達の厳しい戦いは明日からも続いていく。