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終わりから始まりに

今回が初投稿作品になります。

様々な人に読んで頂けるように努力していきたいと思います。

ご意見や感想を頂けると幸いです。

どうか、よろしくお願いします。

灰色の夜空から降り注ぐ、白く儚さを主張する雪。

この世界を白く化粧して行き、やがては消えていく。

俺はただ、そんな風景を見ていた。

何も考えることも無く、ただただじっとして。


1月も下旬に差し掛かった冬。

関東では珍しく大雪だった。

交通機関は麻痺し、学生もサラリーマンも同じ様に急いでいた。

気温も急激に下がった今ではガタガタと体が震える始末。

家路に急ぐ人々は電車とバスの両方が動かないためタクシーを待つ人々で駅がごった返している。

だけど俺はそれに反していた。

20階建てビルの屋上から人々の動きを観察している。

ここから見下ろす世界を何も考えることも無く、ただ見つめていた。

何故ここにいるか、と問われれば理由は簡単だ。

俺は、死ぬのだ。

自殺と解釈してくれて構わない。

この世界に絶望し、生きていく事を恐れた。

何度もこの世界と付き合っていこうと試みた。

だけどその度に俺はここに来ていた。

何度ここに来たか忘れてしまったが、今日で最後だろう。

決意した。

俺は死ぬ。

転落防止用の背の高いフェンスが張り巡らされているが、関係なかった。

乗り越えることは容易である。

後は、身を投げるだけ。

俺はこの世界から逃げるために片足を上げ、宙へ浮かせた。

その時、俺の耳には聞こえた。

鉄製の扉を開け放つ大きな音が。

誰かが来た様だ。

そして誰かが叫んだ。


常盤朝美(ときわあさみ)!!」


俺は振り向きもせず、黙って、この世界から、逃げるために、身を投げた。

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