表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
廻生のアリア  作者: jurabisu
第三章
94/107

第94話 8歳、フランデモラの大地にて 3

「そもそも、君は魔眼についてどこまで知ってるの?」

「アルテさんから粗方聞いています」

「ん。じゃ、早速本題。」


そう言うとセレネは腕を振った。

小さく振ったように見えたが、その割には強い風が髪を揺らす。

すると次の瞬間には、まるでマジックのようにセレネの手中に手鏡が現れた。


そして、セレネはその鏡面をリーゼルに向けた。


「見える?」

「...何がですか?」

「ほら、黒目の部分」


そう言われ、俺は自分の瞳を注視する。


あまりマジマジと見た事がなかったから分からなかったが...

鏡越しでも分かるくらい、ガラス細工のような綺麗な目をしている。


「...あっ」

「見えた?」

「はい、確かに」


...魔眼の紋様。

非常に薄くはあるが、黒目の部分に血管や神経などとは違う模様が見える。

アルテさんやメリアのとは若干形が違うが、魔眼とはそう言うものなのだろう。


...しかし奇妙だ。


俺が知る限り、紋様は片目だけに現れる。

だが、俺の両目には紋様...しかも、形が違うものが確認できるのだ。


この状態をそのまま解釈すれば、俺は二つの能力を持つことになるが...

セレネの反応を見るに、そう簡単な話ではないらしい。


「それで、コレが何か?」

「変なの」

「変?」

「アルテから、君は"生まれながらにしてリーニャの眷属である"と聞いた。だけど、今の君からはリーニャの力は感じず、他の二つの力を感じる」

「それは...?」

「一つは、君が受け継いだアルテの魔眼の断片。もう一つは...」

「もう一つは...?」

「分からない。でも、とてつもなく強大な力だってことは分かる」


消えたリーニャの能力。

受け継いだアルテさんの能力。

そして、詳細不明の能力。


...なるほど。

たしかに変だな。


「"両魔眼"ってだけでも異様なのに、従魔にもならないなんて...」

「従魔?」

「アルテに聞いてない?魔女が"繭"になった時、その眷属は従魔になる...はず、なんだけど」


状況から考えて、リーニャは"繭"という危険な状態にあるのだろう。

通常なら、そこで眷属とされるもの達が"従魔"とやらに成るのだが...


事実、俺はそれを免れている。


「僕はなっていませんよ?」

「そうなんだよね」

「何か問題が?」

「うーん...今は、まだなんとも言えない。でも、何かが起きた時、無知では済まされないから」


全くその通りだ。

俺がセレネの立場でも、同じ見解を示す。


何事も、杞憂で終わるのが一番いいからな。


...ガタン!


馬車が大きく揺れる。

どうやら、道が荒くなってきたようだ。


「...そう言えば、今はどこに向かっているんですか?」

「あぁ、ハーウィアルって街だ」

「あれ?ランズガルではないんですか?」

「仲間がいるんだ。一旦そいつらと合流する。それと、作戦会議だな」

「うーん...?」

「ん、なんか納得出来ねぇか?」

「お母様がランズガルに居るなら、そこで全部済ませた方が早いのではないですか?お母様はまだ、繭?なんですよね?」

「それなんだが...」

「今回の繭化は外部干渉が原因だと考えられる。無策で近づくのはリスクが高い」

「それに、実際"奴ら"による被害が出始めてるからな...」

「その、"奴ら"って...」



ドゴォォォ...!!!



『!?』


ガタガタ...


衝突音?

馬車を揺らすなんて、結構な衝撃だ。


一体、何が...?


「来るぞ!」


まだ状況を全部把握しきれていなかったが、リビアのその一言を聞いた瞬間、俺の全身の毛が逆立った。


"奴ら"と聞いて俺が思い描いたもの。

その気配を感じた。



...シュバッッ!!!



それからは、ほんの一瞬の出来事だった。


身の危険を感じ、俺は咄嗟に馬車の壁を突き破る。

それより早く、二人は姿を消した。


その次の瞬間には、"それ"の刃が馬車を襲い、身を投げ出した俺の身体を掠めた。


ドサッ!...


「いっ...」


太腿を斬られた...

なんだ?何が起きた?


そうだ、馬車は?


「...なっ!?」


馬車が...



卸されてる...!?



その光景を目の当たりにして、俺はそんな感想を得た。

中々に的確な表現だと思う。


なにせ、馬含め、馬車の上半分が綺麗に切り飛ばされ、宙に浮いていたのだから。


ドゴッ!

ガラガラ...


切り飛ばされた部分が地面と激突し、残骸が辺りに散らばる。

血も飛び散ったが、人のものでないことはすぐに分かった。


(二人は大丈夫なのか?)


スゥ...


《...聞こえる?》


「!」


風が耳元を掠めたかと思うと、まるで囁かれているかのように声がする。

姿は見えないが、どうやら無事みたいだ。


「セレネさん?」

《よかった。聞こえてるみたいだね》

「一体、何事ですか?」

《...突然だけど君を試させてもらう》

「ほんとに突然ですね...」


ドスッ、ドスッ...


「っ!?」


嫌な気配がする。

昔、レドラムで感じたような"死"の気配...


グルルル...


《私達は一切手を出さない。理由は...分かるよね?》


...なるほど。

コイツが"最低ライン"ってことか。


なら、やるしかない。

やらざるを得ない。


「...はい」

《いい返事。じゃ、くれぐれも...》


...ドスッ



《死なないようにね》

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ