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廻生のアリア  作者: jurabisu
第一章
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第9話 4歳、王都レドラム道中

「お祭り...ですか?」

「あら、知らない?」


俺は頷く。


祭りか...

てっきりこの世界には無いものかと思っていたが...

なんの祭りだろう?


「今度、レドラムっていう街で"聖夜祭"っていうお祭りがあるのよ」

「聖夜祭?」

「そう、聖夜祭。大きなお祭りでね、5年に1度だけあるの。お母さん、せっかくだからそこで占いをしようと思ってて...どうかな?」

「行きたいです!」

「そう言うと思ったわ♪もう準備は済んでるから、出発するわよ」

「ん?そのお祭りっていつなんですか?」

「20日後くらいかな?」

「もう出発するんですか?」

「そうよ?レドラムはここから遠いから、早く出ないと間に合わないの...」


20日...

なかなか遠いな...

まぁ馬車だからそんなものか。


俺はいつもより厚着をして外に出る。

リーニャも同じく厚着をして荷物を抱えている。


外に出ると、家の前に一台の馬車が停まっている。


「おぉリーニャちゃん。準備は済んだかい?」

「はい!今回はよろしくお願いしますね♪」

「よろしくお願いします...」


どうやらこの馬車はこの人のもののようだ。

おそらく、村の農民の一人だろう。

この顔には見覚えがある。


俺とリーニャはその馬車の荷台に乗り込む。

荷台は寒いが、外で突っ立てるよりはマシだ。


それにしても、街か...

どんなとこだろう...

やっぱり、この村よりは発展しているのかな?

楽しみだな...


ガタン


「それじゃあ、出発するよ」


ガタガタ...


俺達を乗せた馬車が動き出す。

道がちゃんと整備されてないからか、馬車は結構揺れる。

俺に車(馬車)酔いとかがあったら、楽しい道のりが地獄になるところだっただろう。


俺は揺れる馬車の荷台の幕から顔を出す。

そこには他の馬車がいくつか見える。

これらの馬車も行き先は俺達と一緒だろう。

冬場はあまり作物が育たないからな...暇なんだろう。


ちなみにこの村...アルタ村は、コウトという穀物の栽培が盛んだ。

この穀物は米と麦を足して2で割ったような植物で、この村では水田で育てている。

コウトは、根を下ろした土地によって必要な水分を変えられるのでこの世界では世界中で育てられているという。

また、水分が多い所では米っぽく、少ない所では麦っぽくなる。

実に凄い植物だ...


「...あっ」


俺の鼻に冷たいものが落ちる。


(雪か...)


空を見ると、さっきまで燦々と輝いていた太陽はいつの間にか厚い雲に覆われている。

リーニャの占いによれば、今日は継続的に軽く雪が降るらしく、これ以上は激しくならないそうだ。

冬に馬車で出発するなら悪くない天気だろう。




カサッ


俺は荷台の幕の中に戻る。

幕の中では、リーニャが水晶を手に持ちながら占いをしている。

周囲には、いつもの異様な雰囲気が漂っている。


(...!)


ツー...


水晶を見る俺の頭の中に、直接高い機械音のような音が響く。


...最近、リーニャの占いを見るとこの音が鳴る。

鳴り始めたのが10日程前の事だから、これがなんなのかよく分からない。

分かっているのは、この音がリーニャの占いを見た時に鳴ることと、数秒先の起きることが分かるようになる事。


多分、これはリーニャが見ている世界と同じようなものだ。

発生時の状況から見て、そう考えるのが妥当だろう。


だけど、何故そんなものが?


今までそんな兆候はなかったはずだし、特に何かをした覚えもない。

これは一体何なのだろうか...?


ツーッ...


(ん?これは...大きな揺れ?)


俺の脳裏に縦に揺れる視界が映る。

"それ"によると、その拍子にリーニャが水晶玉を落として割ってしまうようだ。


(3、2、1...)


ガタン!


俺のカウントが終わった瞬間、馬車が縦に揺れる。


「あっ!...」


すると、リーニャが持っていた水晶玉が宙を舞う。

その高さは、落ちたら確実に割れてしまう高さだった。


本当なら、ここでキャッチするべきだろう。

だが俺はそうしない。

何故かって?


そんなの、危ないからに決まっているだろう?


...ガシャーン!


「あぁ!水晶玉が...高かったのにぃ...」

「あっ...お母さま、怪我は無いですか?」

「えぇ、私は大丈夫よ。リーゼルは怪我してない?」

「はい、大丈夫ですよ」

「そう...よかったわ。でも、困ったわね...」


リーニャは水晶玉の破片を布に包む。


「お母さま...それが無いと占いが...」

「あっ、それは大丈夫。占いは無くてもできるから...」

「え?じゃあ困ったって...」

「えっとね...これが無いと...」

「無いと?」


「...雰囲気が、出ないなぁって」


(えぇ...)


俺を乗せた馬車は、粉のように雪が降る中を進んでいくのであった。

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