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廻生のアリア  作者: jurabisu
第二章
89/107

第89話 8歳、リーゼルのとある一日 4

※後書きの「音声書き起こしログ」は不定期です。

「...っ!」


バサッ...!


(ここは...?)


リーゼルが目を覚ます。

そして、周囲を見回した。


白いシーツのベッド。

アンティーク調の大きなクローゼット。

窓際の机と、そこに置かれた一冊の本。


(本のタイトルは多分..."魔道基礎")


目を覚ましてから僅か数秒であったが、リーゼルは瞬時に、そこが自室の...特にそのベッドの上であることを知った。


「うっ...」


頭痛...?

まぁ、流石に本調子じゃないか。


...っと、気絶してからどれぐらい経ったんだ?


「...朝か」


リーゼルが窓の外を見る。

気絶する前は夕暮れ時だったが、今は朝日が登っていた。


(少なくとも一日は経ってるな...)


それを確認すると、リーゼルは次に身体を動かし始めた。

ベッド上で出来る範囲で、各部位を曲げたり捻ったりする。


...身体は動く。

意識も...まぁ、大丈夫だろう。


「さてと...」


サッ...


リーゼルはベッドを降り、脱がされて近くに置かれていた服を取る。

慣れた手つきでそれらを着こなすと、リーゼルはふっと息をついた。



...ガチャッ


そんな時、ノックも無しにリーゼルの部屋の扉が開かれ、誰かが顔を覗かせた。


「あっ...リーゼル」

「ん?あぁ、お嬢様でしたか。部屋に入る際はノックをしてください」

「ごめん。それで、えっと...もう起きて大丈夫なの?」

「はい♪全然平気ですよ」


俺はエルゼに微笑みかけ、自分が平気なことをアピールしてみる。

上手くできたかは...分からない。


「良かった...。あっ!でも、まだ休んでた方がいいんじゃない?」

「いえ、僕には大事な用があるので、そうもいきません。...あっ、それと、お嬢様には要らぬご心配をお掛けしたようですね。お嬢様に仕える者として不甲斐ない限りです」

「いや、要らぬ心配だなんて...。私だっていつも迷惑かけてるし、お互い様よ」

「...!」

「なによ..."意外"みたいな顔して...」

「ハハッ、すみません。...あっ、では、もうそろそろ失礼しますね」


ガシッ


俺は、さりげなく部屋を出ようとするが、去り際でエルゼに腕を掴まれる。


「どこ行くの?」

「言えません」

「なんで?」

「言えません」

「主人命令でも?」

「旦那様より許可をいただいてます」

「...やっぱり、リーニャさんの...」

「...っ」


俺はエルゼの手を振り払い、エルゼに背を向けて歩き出した。



(...なんだ)


エルゼも聞いたのか。


でも、これはウェインさんやエルゼには関係ない。

だから関わらせる訳にはいかない。


...絶対に。




サッ


俺は袖を直し、前を向く。

向かう先は...



アルテさんの元...!

※音声書き起こしログ〈ロブノ〉


『英雄失格』


────

モンテイア王国、《解放の日》前夜。



ガチャッ


「...ただいま」

「おかえりなさい」

「ん、アルーダは?」

「もう寝たわ。...ねぇ、あなた。本当に決行するつもりなの?」

「あぁ。私はもう、目を背けることが出来ない。...君とアルーダの未来のためにも」

「そう、なのね...」

「本当にすまないと思っている。明日の為、今まで私がどれだけ君に迷惑を掛けたことか」

「なに?急に...」

「最期に、メル。君への感謝と謝罪だよ。言えなくなる前に言っておこうと思ってね」


スッ...


「ムっ...!?」

「そんなの、必要ないわ」

「ぷはっ...分かった」

「...おやすみなさい。あなた」

「...おやすみ。メル」


────

《解放の日》直後。



...ドサッ


「メル!!!」

「...父上?」

「あぁ...嗚呼ァ...」

「父上...母上は?」

「あぁぁぁぁ!!!何故だ!何故、何故ぇ...私じゃ、ないんだ...」

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