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廻生のアリア  作者: jurabisu
第二章
87/107

第87話 8歳、リーゼルのとある一日 2

タッタッ...タ


スッ...


「...準備できたか?」

「はい。いつでもいいですよ」

「で、ではッ...」


カチャッ...


「...始め!」


ダッ!



...カァァァン!!



とある学校の昼休み。

敷地の隅の人気のない広場にて、二振りの木刀が交差する。


「はあぁぁぁ!!」

「...くっ」


(重い...!)


カッッ...!


カン!カァァン!!


「...キレが増しましたか?フィド」

「ッお前が弱くなったんじゃねぇか?」

「言ってくれますねぇ!?」


ガン!


「ッ...はぁぁぁ!!」


(...右上。左上。中段払い!)


シュッ!シャッ!


シュバッ!!


リーゼルはフィドの連撃を華麗に見切り、舞うように軽やかに躱す。


「うおぉぉぉ!!!」


(突き...貰った)


スッ!!


リーゼルの予想通り、フィドが真っ直ぐ突きを放つ。


サッ...!


リーゼルはソレを躱し、素早くフィドの懐に潜り込む。


(胴体ガラ空き...入る!)


フィドの隙だらけな体勢を見て、リーゼルは半分勝利を確信し、体側へ振りかざした木刀をそのまま振り切ろうとした。


「..."雷系統(サルバ)"」

「!?」


剣を振り切る寸前、フィドがその言葉を口にする。

リーゼルはそれを耳にすると急ブレーキをかけ、勢いよく後ろに退いた。


「"放電(サロフェレン)"」


チッ...



バチィィィ!!!



「キャッ...!?」

「ふぇ!?」


次の瞬間、弾けるような音と共に、一瞬周囲が閃光に包まれる。

放たれた電気はリーゼルの肌を刺すように掠め、閃光はリーゼルを一瞬怯ませた。


「貰ったァ!」


シュッ!!


その隙をつくように、フィドが剣を振り下ろす。


「ッ...甘いです!!!」


カスッ...


「なっ...」


フィドの一撃がはいるかと思った矢先、リーゼルが瞬時に体勢を立て直し、フィドの剣を軽くいなす。


その後、リーゼルは直ぐに剣を切り返し、フィドの頭頂部へ振り下ろした。


ガン!


「いっ!?...」


硬いもの同士がぶつかる音。

直後、フィドは頭を抑えうずくまっていた。


「クソッ...今日も俺の負けか...」

「...でも、結構いい線いってましたよ?正直、あんなに早く"詠唱"していたのは驚きました。危うく、怪我するところでしたよ」

「そりゃあ、俺も鍛えてるからな。でも、まさかアレを避けられるとは思わなかったぜ...。一体、どんな反射神経してんだ?」

「反射神経だなんて大層なものじゃありませんよ」

「じゃあ、なんなんだよ...」

「ん〜..."感"、ですかねぇ」

「ハハッ、そんな曖昧なもんに負けてたら、俺のモチベーションが持たねぇっての...」


フィドが地面に倒れ込み、大の字になる。

そして、大きく息を吐いた。


「...でも、なんだか納得したぜ」

「ん、何がですか?」

「いや、なんつうか...普通に戦う分には気づかないんだが...お前、剣の動きがぎこちないんだよ。だから、その"鋭い感"?があるなら納得できるなと思ってよ」

「動き...やはり、ぎこちないでしょうか?フィドの動きを参考にしてカバーしてたつもりだったんですけど...」

「俺の動きを?...お前、剣の師は?」


「亡くなりました」


「ッ...そうか」


その場に居た皆が黙る。

それはエルゼもリリも例外なく...


その場を、ただ静寂が包む。



カァァァン...カァァァン...



学校の鐘の音。

その音は静寂を打ち消した。


「...あ、もう時間ですね。僕は講習があるので失礼します」


...タッ


「...リーゼル!」


立ち去ろうとする俺をフィドが引き止める。


「俺の剣でいいなら、好きなだけ真似していいからな!」


これは...フィドなりに、俺を気遣ってくれているのだろうか?


「ふっ...有難く真似させていただきますね」


俺は柔らかく笑顔をつくり、フィドに言葉を返した。


...だが、フィドから笑顔が帰ってくることはなかった。


(ッ...)


なんだ...?

君は何故そんな顔をしているんだ?


それに、エルゼやリリまで...


「どう、したんですか...?」

「あ、いや...なんでもない」


教えてくれ...




《俺は今、どんな顔をしている?》

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