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廻生のアリア  作者: jurabisu
第二章
86/107

第86話 8歳、リーゼルのとある一日

「んん〜...」


使用人の朝は早い。


それは夏でも冬でも関係ない。

等しく日が登る前には起床する。


ん?

なぜそんなに早いのかって?


なんでだろうな...

まぁ、主人への忠義の現れ?みたいな感じかなぁ。


とにかく、俺は朝が早い。


それで、起きたら...まずは身支度だ。

服を着て、顔を洗い、髪型を整える。


主人の顔に泥を塗らないよう、やり過ぎだと言われるくらい念入りに。

ポールさんから、そう最初に教わった。


そうして身支度を終えると、俺にはしばらく暇ができる。

主人(エルゼ)の起床時間には少しばかり早いからな。


この間、特に何か決まった事をしている訳では無いが、気が向いたら時々、魔力の研究をしている。


まぁ研究とはいっても、今は※"魔導基礎"の解読が主だが...


※第62話中にて、セレネと名乗る女から渡された本。内容は主にフォールネ語で書かれているが、一部で複数の未知の言語が用いられている。


特に、ここ一ヶ月はとあるページでつまづいている。


(この文字...)


領土?

範囲?

それとも..."領域"、と訳すべきか?


...領域式───


ふむ...

図を見ても、何が何だか分からない。


見たところ、魔導文字(魔術文字・神典文字)の羅列で図形を描いた式のようだが...

魔術式と違って情報量が段違いだな。


魔術式は単純な図形が交わらず、接する程度だったのに対し、コッチは複雑な図形が複雑に重なり合ってややこしい。


加えて、本文もほぼ異言語で書かれている。


それだけ重要な要素、という事なのだろうか?


...まぁ、コレの解読は地道に進めるとしよう。


(...ん?)


本のページに陽の光が落ちる。


(...おっと、もう時間か)


リーゼルは本を机に置き、部屋を後にした。




...コンコン


リーゼルがとある部屋の扉をノックする。


「お嬢様。朝ですよ」

〈んん...あと少しだけぇ...〉

「はぁ...入りますよ?」

〈ん〜〉


ガチャッ


リーゼルがドアノブに手をかける。

部屋の中では、豪勢なベッドの上に寝間着姿の少女が寝ていた。


「むにゃむにゃ...」


少女...もとい、エルゼは朝に弱い。

だから毎日、こうして俺が起こしに行くのだが...


今日は一段と、おねむのようだな。


「お嬢様。起きてください」

「ん〜」


ガサガサ...


エルゼが深く毛布に包まる。


「はぁ...。起きてくだ...さい!」

「ん!?」


バサッ!


リーゼルが、エルゼの包まった毛布を勢いよく引き剥がす。

すると、そこに残ったのは、寝間着が乱れてだらしない格好のエルゼの姿であった。


「むぅ...寒いぃ...」

「目が覚めましたか?」

「...起きなきゃ、ダメ?」

「はい。淑女として、生活リズムは整えていただかないと」

「...分かった。ん、じゃあ着替えるの手伝って」

「承知しました」


俺は、部屋のクローゼットから制服を取り出しエルゼに着せる。

続いて、ベッド横のタンスからヘアブラシを手に取りエルゼの髪をとかした後、髪を編んで髪飾りを付ける。


この間、約15分。

もう手馴れたものだ。


「...終わりましたよ」

「ん、ありがと」


サッ...


エルゼが髪を振り乱す。

陽の光がエルゼの髪に反射し、その一本一本がシルク糸のように輝いていた。


「あぁ...」

「ん、どうかした?」

「いえ。...あ、もうお食事の準備はできていますよ」

「...分かったわ。行きましょ」


こうして、俺たちは部屋を後にする。


ギィィ...


朝日が、ゆっくりと閉まる扉を照らす。



"今日"の始まりを告げるように...

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