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廻生のアリア  作者: jurabisu
第二章
82/107

第82話 8歳、後始末 2

...タブラ郊外、臨時仮設病院・仮設病床テント郡───


タッタッタッ...


ガラガラ...


テントが所狭しと設営された広場で、医師や看護師が忙しく働く。

テントの隙間から見える患者達には目立った外傷はなく、うなされたり、昏睡状態に陥っている人がほとんどであった。


「これは酷いな...」


俺は屋敷に来た遣いの人に案内され、そこで働く人々に道を譲りながら、奥へ奥へと進む。


道中いくつかのテントにお邪魔したが、どこも魔力濃度が高く、長く居れたもんじゃなかった。


医者じゃまともな処置も取れないし、現状維持もままならない。

患者減らず増える一方で医療現場も崩壊...


...地獄だな。



タッタッ...タ


「...着きましたよ。ここが現場です」


俺が辿り着いたのは、一際大きな白色のテント。

そのテントの入り口の脇には看板が立て掛けてあり、"臨時仮設病院"と書かれていた。


「私は別の用事があるのでこれで失礼しますね。何か用がおありでしたら、対策本部か職員の休憩室をお尋ねください」


遣いの人はリーゼルに軽く会釈すると、そそくさと自分の持ち場に戻っていった。




「...さて」


俺は軽くテント内を見渡し、少し歩き回る。


タッタッタッ...


(...なるほど)


俺が思っていたより、事態は深刻みたいだな。


...タッ


...にしても、高濃度の魔力に晒され続けると肉体はこれ程変形するのか...


リーゼルがベッドに寝かされている人々を眺める。

そのベッドに寝かされていたのは、身体の一部が欠損したり膨張したりしている人々であった。


「ん〜」


(...これ、治せるのか?)


俺の魔力操作なら魔力を安定させることはできるけど、欠損部位の再生まではできない。


それに、魔力の安定にはその過程で自身が魔力に※侵食される可能性があるから、「全員助けてやる!」というのは非現実的だ。(命懸けですればワンチャンいける)


加えて時間も労力もかかるから、俺(術者)への負担がデカ過ぎる。


どうしたもんかなぁ...


「んー...」

「...あ!リーゼルじゃない♪」


俺が悩んでいると、どこからか聞き慣れた声が聞こえてきた。

その声のする方を見れば、よく見知った少女が俺に手を振っていた。


「お嬢様?なぜここに...?」

「お手伝いしてるのよ。ほら、みんな魔力の使い方知らないでしょ?」

「だからといってお嬢様が出なくても...」

「ダメよ!領主の娘として、街の人たちの事を第一考えて行動しないといけないんだから」

「...!」

「なによ..."意外"みたいな顔して...」

「いえ、まさかお嬢様からそんな言葉が出るとは思わなかったので...」

「私をなんだと思ってるの?」

「ま、まぁ...今はそんなことより、情報の共有が先です」

「...分かった。でも私、あまり詳しいことは分からないよ?」


そうしてエルゼは、ここ二日間のことを話し始めた。




...数分後───


「...っていう感じなんだけど...どう?役に立ちそう?」


(...なるほど)


つまり、エルゼの話をまとめると...



エルゼも"あれ"の影響で気絶していて目覚めたのは昨日。


目覚めた時には既に救護活動が行われていた。


この救護活動の指揮はフィドやリリが中心になって執っていて、被災者の扱い方は以下の通り。


1,直接的な接触は避ける。

2,重症患者の周囲2mには極力近づかない。


現在はフィドやリリ、そしてエルゼの"魔法使い"(仮称)が軽症患者を中心に魔力の安定を図っている。



...と、こんな感じだ。


まぁ、事前情報としては十分だな。


それを踏まえて、これからどうするか、だが...


「...お嬢様、フィドが今どこに居るか分かりますか?」

「え?...多分、対策本部だと思うけど...」

「分かりました」


...タッタッ


「えっ、ちょっ...私も行くわ!」


リーゼルが足早に歩き出す。



...事態はリーゼルが思っていた以上に、急を要していた。

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