表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
廻生のアリア  作者: jurabisu
第二章
80/107

第80話 8歳、マ女とヒトガタ 4

タッ、タッ、タッ


...タッ


『!』


スッ...


先に動いたのはヒトガタだった。

ヒトガタは先程のように地面に触れ、戦闘態勢にうつる。


それに気づいた少女も戦闘態勢をとったが、"受け"の構えではなく"攻め"の姿勢であった。


ダッ!!


少女は、ヒトガタに魔法を使わせまいと一気に距離を詰め、1秒にも満たないうちにヒトガタの半径1m内に足を踏み入れる。


シャッッ!!


少女は身を捩り、尾を鞭のようにしならせて鋭い一撃を繰り出した。


「!」


ズゥ...



カァァァン...!



すると、ヒトガタは地面から独特な光沢を持つ赤黒い植物の"剣"を生やし、それを少女の尾と衝突させる。


その衝撃で双方ともよろけ、数歩後ろに退いた。


...バキッ


それと同時に、魔女の尾に触れたことでヒトガタの持つ剣の刀身が崩れた。


それを好機と見た少女は尾を巧みに使って即座に体勢を直し、逆手に握っていた短剣でヒトガタの首を鋭く狙う。


シュッ...!




キィィィン!!...




「...!?」


...だが、この攻撃もヒトガタには届かない。


少女の剣が弾かれる。


少女は驚き、目を疑った。


ガラ空きだったはずのヒトガタの首...

その手前に、ついさっき崩れたはずの"刃"があった。


刃を破壊してから僅か0.009秒。

"コイツ"は一体何をしたのか?


少女は自然と脳を働かせていた。


しかし、その思考は必然的に少女の動きを鈍らせる。

そして、少女の敵はその隙を見逃してくれるほど甘くはなかった。


スッ...


「っ!!」


少女はヒトガタの攻撃に気づき、咄嗟に防御姿勢をとる。


...が、気付くのがコンマ数秒遅かった。




ドッ!!!




「ごフッ!?...」


ヒトガタが掌底を少女の鳩尾に叩き込む。

その打撃の衝撃は凄まじく、一瞬少女の鳩尾が数cm凹み、その身体が吹き飛ばされるほどであった。


...ドオォォォン!


「かハッ...」


少女は闘技場の壁に叩きつけられ、血反吐を吐く。


「くっ...」


少女は、すぐに体勢を立て直そう身体に力を入れるが、少女の身体は言うことを聞かない。


少女の鳩尾を見れば、手の平サイズの赤紫色の痣があった。




...通常、魔女には攻撃が効かない。

いや、正しくは攻撃が"意味を成さない"のだ。


ほとんどの場合、魔女の体内には膨大な高純度の魔力が流れている。

これには、一般に人間に流れている魔力とは違い、魔女が外傷を受けた時に即座に細胞を形成し体組織を復元するという特異な性質を持ち合わせている。


この性質の対象となる傷の大きさには大凡上限がなく、損傷部位が魔力器官以外の組織なら数日あれば再生できる。

(損傷部位にもよるが、再生には身悶える程の激痛を伴うことが多い)


しかし、何事にも例外は存在する。


この場合においては、"魔力による攻撃"がそれに当てはまる。



通称:"魔力侵食"


後にそう呼ばれるこの現象は、対人外戦において無くてはならないものである。


別個体の魔力どうしが衝突した時、魔力が互いに結びつき、元の魔力と結びつきづらくなる。


それにより魔女の再生は妨害され、時には一生治らない傷となる。




「コォォォ...」


フォォ...


ヒトガタが手に集中させていた魔力を解く。


「...」


ヒトガタはそこから追撃するでもなく、瓦礫に埋もれる少女をただ見つめた。


「ア”ァ”ァ”ァ”!!」


ダッ!


少女はヒトガタのそれが気に障ったのか、身体がまだ不自由にも関わらず、叫び声をあげながらヒトガタに向かって走り出した。


ダッダッダッ...!


...ダッ



シュッ!



少女はヒトガタに接近すると、双剣を振り回した。

...だが、そのひと振りひと振りにヒトガタを殺せる程の力は篭っていなかった。


シュッ、シュッ...



シャッッ!



少女は何度か剣を振り回した後、力を振り絞りヒトガタの首めがけて尻尾を薙ぎ払った。


ガシッ!...


「っ...!?」


シュォッッ...!



ドォォォン!!!



無情にもヒトガタは少女の尻尾を掴み、振り回して地面に叩きつける。


...ドン!...ドン!


ヒトガタは少女振り回し続け、何十回目かしてやっと手を離した。


シュルルッ...



バシィィ!



だが、ヒトガタが手を離した直後、地面から無数の植物が生え、少女の身体にまとわりつく。

少女はそのまま地面に固定され、身動きが取れなくなった。


「ァ”...がッ...」


サッ...


ズズゥ...


ヒトガタが地面に触れ、"剣"を生やす。

ヒトガタはそれを抜くと、少女に刃先を向けた。


その先には、少女の右胸があった。


スッ...


ヒトガタは両手で剣を握り、刀身を真っ直ぐ下に向ける。


「コォォォ...」




シャッッ...!!!




「!!!?」


ギギャア”ア”ア”ア”ア”ア”アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!


"少女"がこの世のものとは思えない奇声を上げながら、釣り上げられた魚のように激しく暴れる。


その間、周囲には濁流のように魔力が放出され、街全体が覆われる程に拡散した。



バタバタバタ...バタッ


...数十秒後。

"少女"は静かになり、ピタリと動きを止める。


それから間もなくして、"少女"はその姿を保てなくなり、元の人間の姿に戻った。



フラッ...


ドサッ


その直後、ヒトガタも姿を保てず、元の少年の姿で地に伏した。







「んっ、んん...」


...身体が重い。怠い。


俺、どうなったんだ?


うっ...

意識が...


〈タッタッタッ...〉


...足音?


よかった。

誰か来てくれたのか。

なら安心だ。


《おい!...ゼル!》


誰だか知らないけど、後は任せる...


俺はちょっと寝るか、ら...さ...




...こうして、二体の戦いは終幕を迎えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ