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廻生のアリア  作者: jurabisu
第二章
76/107

第76話 8歳、演舞 3

シュルル...


傷口に蔓を巻き付け止血する。


「... よし」


傷は浅い。

まだ動ける。


多少目の不快感があるけど、許容範囲内だ。


それに、この"現象"を上手く利用すれば、確実に勝利を収めることができる...!



...能力共鳴現象(ラースカティ現象)―――


魔眼誕生初期。

まだまだ人類の魔眼や魔法への理解が乏しかった頃。

とある二人の魔女の実験中に引き起こった、能力の乱れの総称である。


ほぼ同じタイミングで互いの能力出力を高めた時、膨大な魔力同士が衝突し、混ざり合うことで発生する。


主な症状は能力の不具合。

それに伴い頭痛や吐き気、目眩等が起こることも多い。



...アルテさんから色々聞いててよかった。


発生条件も分かるから、タイミングを合わせれば発動できる。


あと、コイツの能力もだいたいの見当がついた。


発生条件は恐らく、武器(刃物?)が対象のある一部分に触れた時。


効果は...その攻撃が即死もしくは会心の一撃になる、かな?


被害者がミンチになっていたのは、魔力の存在を知らなくて、身体を魔力で覆ってなかったからだろう。


俺の推測だと、もし攻撃を受けても、魔力で覆っておけばミンチにはならなくて済むはずだ。


「う”ぅ”...」


女が頭を抑え、呻き声をあげる。


「お前...私に、何を...!」

「どうしました?降参しますか?」

「っ...!」


...ザッ!



ガァァァン!!



「くっ...!」

(重っ!?)


ガッッ!


ズズズ...


マジか。

押し切られた...


「...ははっ」


手を抜いてる場合じゃないな...


「なぜ、貴女が僕を狙うのかは分かりませんが...」


タッタッ


「僕だって、そう易々と負けるわけにはいきませんからね」


...タッ


「ここからは全力で...」


スッ...


「相手、してあげますよ?」


俺と女が互いに剣を構える。

両者共に相手を"敵"と見なし、各々の感情をぶつけ合う。


会場には楽器の音や歓声が響いていたが、二人には聞こえない。


...ダッ!!


ほぼ同タイミングで二人が駆け出す。



...キィィィン!



カン!カン!


剣による三連撃。

俺はそれを受け止め、押し返す。


シュッ!!


スッ...


その際に女が剣を払うが、俺は姿勢を低くしてそれを躱す。


(...胴体がら空き...入る!)



ドッ!!



俺は低姿勢のまま地面に手を付き、地面を蹴って女の胴体に体重をかけた、文字通り"重い"一撃をかます。


(...硬っ)


コイツ...

無意識に魔力を胴体に集中させやがった。


魔力という概念を知らないはずなのに、既にここまで使いこなせるのか...!?


ガシッ


シュオッッ...!


「うぉッ!?」


女が俺の脚を掴み、観客席に向かって投げ飛ばす。


(なんつー怪力だ...)


...じゃない。


このままじゃ観客も巻き込んじまうな...


時速何kmだ?


130?いや、140か?


感覚からして、恐らく、今俺は野球ボールを投げた時と同じくらいの速度で飛んでいる。


観客席に到達するまで1秒...あるか?


衝突すれば最悪、死人がでる。


ただ受け身をとるだけじゃダメだ。


俺と観客。

その両方を守るためには...



魔法を、行使する...!



スッ...


ズオォォォ!!


観客席から根や蔓が伸び、それらが空中で絡み合う。


"蕾"となったその塊は、俺がぶつかる寸前で大きく開き、俺を受け止めた。


飛ばされてから、僅か0.47秒のできごとだった。


ドオッッ...!


俺の身体が"花"に衝突する。


その際の衝撃は"花"を支える無数の根や蔓が、伸縮することで緩和した。


「くっ...」


ちょっと痛むけど、成功したみたいだな...


おぉ...


パチパチパチ...!


その光景を見ていた観客たちから、大きな歓声と拍手が聞こえてくる。


「はぁ...」


なんか、凄い疲れた。


やっぱり魔法発動の並列的複数イメージは脳への負荷が大きいな...


まだまだ訓練が足らないみたいだ。


サッ...


...タッ!


俺は身を起こし、"舞台"へと戻る。


「...一般人を巻き込むつもりですか?」

「お前を殺すためなら、どんな罪でもっ...!」

「...僕、貴女に何かしましたか?」

「シラを切るの!?お前がお母様とティナを...!」


ティナ?


なんだ、どっかで聞いたことあるような...



...カラン



「!?」


その時、舞台に"何か"が投げ込まれた。


(血の付いた...薔薇のペンダント?)


"それ"を見た瞬間、俺の脳裏にある記憶が蘇る。



...ラティナス・カーマイヤー。


略名を『ティナ』


前、俺が"あの地下"で殺した少女だ。


...たしか彼女の"本"を読んだ時に、薔薇のペンダントについての記述があった。


『昔、大切な"誰か"から貰った大事なもの。顔も名前も分からないけど、大切な...』


タッ!



ザァァァァ...!!



「っ...!?」


(ヤバいヤバい...)


女の魔力が暴走してる!?


「ティナティナティナ...」


女がブツブツと何かを呟きながら、フラフラと俺に近づいてくる。


("堕ちた"、のか...?)



その時、俺の目の前に居たのは...


いつぞやの怪物以上の...




"怪物"だった

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