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廻生のアリア  作者: jurabisu
第二章
74/107

第74話 8歳、演舞

...襲撃より10日後―――


「リーゼル早く♪」

「そんなに急がなくても...」

「ダメよ!パパには内緒で来てるんだから。ほら、早く!」


(内緒、ね...)


学校が夏休みに入り、さて何をしようかと考えていた矢先、俺はエルゼに外出に誘われ(連れ出され)た。


目的地は、この街の大闘技場跡。


そこで今、世界中を旅している大サーカス団が公演をしているのだ。


なんでも、この街に来るのは数十年ぶりらしく、サーカスを知らない世代の中で話題になっているらしい。


俺は別に行く予定は無かったのだが、エルゼが行くならついて行く他ない。

(こっそり)ウェインさんにもその事を話したら、「たまには息抜きも必要だろう」と言って俺もついて行くように言ってきた。


...しかし、本当はあまり外出なんてしたくない。

それも、誰かと一緒だなんて。


少し前に、白昼堂々襲われたばかりだからな。


(今日は何事も無ければいいけど...)


そんな心配をしながら、俺はエルゼに連れられ、会場へと入っていくのであった。




…数十分後―――


「ねぇ!今の見た!?あの人、炎を吐いたわ!」

「分かりましたから...早く座って下さい」


(よくこんなに、はしゃげるな...)


まるで幼稚園児だ。

いくら初めて見るものだからといって、ここまではしゃげるのは、もはや才能だな...


俺が※8つの時でも、流石にここまではしゃげ無かっただろう。


「お嬢様。他のお客様の迷惑になりますから...」

「見て見て!あの人、腕を斬ったはずなのに腕がくっ付いてる!」


ダメだ...

全然聞いてない。


こんな事になるなら、ウェインさんに頼んでVIP席取ってもらえばよかった...


(はぁ...)


...にしても、ここは魔力が濃いな...

人が集まると相対的に濃くなるのだろうか?


敵に見つかりにくくなるのは良いのだが、それは俺も同じだ。


もし、あの襲撃者や教会関係者が紛れていても、こんな魔力が濃い場所じゃ見つけるのは至難の技だ。


対して、敵の...特に教会関係者はエルゼの顔を知っている。

そのエルゼは今少し周りから浮いているので、教会関係者の目印になってしまうだろう。


...まぁ、こんな大衆が集まる場所で襲ってくる奴なんているわけ...


(...ん?)


あれ?

なんか、視線を感じる。

それに、魔力の流れが...


少し、周囲を見回す。


...右斜め前方、やや下。


(うわっ、目が合った...)


そこには、ジッと俺を睨みつけ、今にも襲いかかってきそうな女性がいた。

その隣には、女性を宥める男性の姿も見える。


男性は頑張って宥めようとしているが、興奮状態の魔女を止めるのは至難の業だ。


"彼女"が解き放たれるのは時間の問題だろうな。


...しかし、こんな場所で暴れられたら少なからず被害が出てしまう。


どこか広いスペースは...


(...おっ)


あそこだな。


サッ


「ん、リーゼル?どうかした?」

「急用ができました。少し席を外します」

「ん?うん...」

「では...」


タッ、タッ...


ザッ


俺は席を立ち、人々の頭上を飛び越えながら"会場"へと降り立つ。


(なんか緊張するな...)


観衆は何が始まるのかと一斉に俺を見つめ、出演者達は観客の乱入というアクシデントに困惑する。


スッ...


俺はそこで一礼し、観覧席に手を差し出す。


その手の先には...魔女。


(...どうだ?)



...ザッ



「...」


挑発してすぐ...

魔女が俺の前に佇む。


「一曲、どうです?」


...タッ、タッ、タッ


魔女は無言で俺に近寄る。


俺は姿勢を変えず、俺の手が取られるのを待つ。


タッ、タッ...タ



「...遠慮するわ」



シャッッ!!



...もう既に、"演武"は始まっていた。

※ちょー今更後付け設定

聖暦は一ヶ月が約40日。

1年は12ヶ月で475日。

1週間は天、月、火、水、木、金、土、日。

1日は24時間になっている。


そのため、リーゼルの地球(365日)における年齢は10歳4ヶ月くらいになる。

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