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廻生のアリア  作者: jurabisu
第二章
72/107

第72話 8歳、棘の刃 4

『...』


(なかなか来ないな...)


まさか、"樹鎧"のせいか?

だとしたら、魔法は知らないと見て良さそうだ。


相手は俺の魔法を知らない以上、下手に動くのはリスクがある。

それは俺にとっても同じだが...


俺の場合、コイツの能力さえ解明出来れば、対策しながら手数で押せる。


手段が多いのが魔法の利点だからな。


でも、このままじゃ埒が明かない...


(俺から動くか...)


ピクッ...


俺は意味ありげに右手をビクつかせる。


すると魔女は警戒し、俺の手元に視線を向ける。


シュルッ...


「っ!?」


魔女の足に根が絡みつく。


魔女は驚き、リーゼルから視線を外し自身の足を見る。

それは一瞬の出来事だったが、俺は見逃さない。


(引っかかった!)


タッ!


俺は一気に距離を詰め、魔女の目の前で防御を捨てた強撃の構えをとる。


魔女はそれに気付き引こうとするが、足に根が絡まって引けない。

焦った魔女は守りの構えをとり、全身に力を入れた。


(残念!俺の狙いは...)


ダン!


俺の拳は魔女に当たることなく、地面を叩く。

だが、これも作戦のうちだ。


「後方注意...」

「っ...!?」


魔女の注意が背後に向く。


「おっと、失礼...」


シュルッ!!


「"拘束"注意、でした」


その瞬間、魔女の足元から無数の根や蔓が伸び、魔女の手足を縛り拘束する。


「くっ...」


バタッ...


拘束されてバランスを崩した魔女が、地面に倒れたる。


その時、最後の抵抗と言わんばかりに顔を隠そうとした。


「ふぅ...」


俺は立ち上がり、魔女を見下ろす。


「...さて、何から聞きましょうか?」

「...」


とりあえず、顔を拝見しておくか...


サッ...


俺は魔女のフードをとる。


「ん?」


仮面?

こんなものも着けてたのか...


俺はそれも外し、その襲撃者の顔を拝見する。


やっぱり女だったか...

髪はセミロングくらい。

顔立ちは整っていて、目つきが鋭い。


歳は...16、7くらいだろうか?


目には紋様が...魔眼が浮き出ていた。


「...それで?貴女の名前は...?」

「...」

「僕を狙った理由は?」

「...」

「貴女の目的は?」

「...喋るわけ、ないでしょ...!」


ブォッ...!


「っ!?」

(拘束が解けた...!?)


サッ...


シュッ!!


女が起き上がり、俺に向かって剣を振る。

俺は身を反り、飛んできた刃を躱した。


(危っ...)


...タッ


「撤退っ...」

「逃がしませんよ?」

「!?」


俺は逃げようとした女の腕を掴む。


「執拗い!」


シュッ!シュッ!


...シャッ!!


女は俺の手を振り払おうと、空いた方の手に握っていた剣を振る。


俺は手を離さずに"それ"を避けると、女の腕を思い切り捻った。


「痛っ!?」


カラン...!


女が剣を落とす。


それを見た俺は女の腕を離し、蔓でその剣を手元に寄せる。


「くっ...」


サッ...!


女はその剣を惜しそうに見るが、すぐにその場を去った。


(あれ?逃げた...)


まだ戦うつもりでいたんだけどな...


まぁ、逃げたんなら仕方ない。


「...あ」


"コレ"、どうしよう...?


俺は女から奪った剣を見る。


...コレ、相当な上物みたいだな。

装飾も細かいし、だいぶ高価なものだろう。

それと、よく手入れされている。


...


俺の剣は塵になったし、しばらく俺が預かっておくか...


ザザザ...


俺はその剣の刃に蔓を巻き付け、腰のベルトに挿す。


「...はぁ...」


なんか凄い疲れたな...


今日の所は、帰ってウェインさんに報告しよう...



タッタッタッ...


カァカァ...


ハウル(烏)の鳴き声が街に響く。


(あの女...)


また近いうちに会える気がする。

まぁ、気がするだけだけど。


...そういえば、俺の周りには魔女が多い。


魔女同士は互いに引かれ合うものなのだろうか?


(魔女、か...)


アルテさん...

今、どうしてるんだろ...?



...いつの間にか日は沈みかけ、夕焼けが俺を照らしていた。

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