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廻生のアリア  作者: jurabisu
第二章
71/107

第71話 8歳、棘の刃 3

タッタッタッ...


「ん?君、ここから先は現在立ち入り禁止だ。すまないが引き返してくれ」

「あっ、いえ、僕はウェイン様より命を受け派遣された者です。捜査のために立ち入りを許可していただきたいのですが...」

「領主様より命を...?」

「許可証もありますよ」


リーゼルは1枚の紙を取り出し、兵士に手渡す。


その紙にはリーゼルを捜査員として認める旨の文が書き連ねられ、何かしらの花を象った印鑑が押されていた。


「ふむ...確かに、これは領主様の印鑑だ。承知した。入っても構わない」

「ありがとうございます」


兵士が、現場に入っていく少年の背を見つめる。


「あんな子供がねぇ...。世間は広いなぁ」




タッタッ...タ


「...ん」


(なんだ、これ...)


魔力の残穢...か?

...しかも、この感じ..."ちゃんと扱えてる奴"の残穢だ。


まさか...怪物?

いや、ラーミス教の関係者か?


まぁ、なんにせよ...いち早く調べる必要がありそうだな...


(現場...殺人現場は...)


「ん...」


あれか...


俺の視線の先に"死体"が見える。

そこからは、周囲より遥かに濃い魔力が溢れていた。



...タッ


サッ


俺は"死体"に近づき、身をかがめる。


「ん〜...?これは...死体、なのか?」


俺は目の前にある物体を見つめ、考える。


"そこ"にあるのは、死体というにはあまりにも原型を留めていない...ただの粗挽きのミンチだった。


じぃー...


(...やっぱり、ここからだよなぁ...)


しばらく視てみたが、この辺りで一番魔力が濃いのは、間違いなくこのミンチだ。


...でも、やっぱり信じられない。

これが"人"だったなんて...


...


ウェインさんが俺を寄越した理由がなんとなく分かった気がする。


魔力が視えない一般人じゃ...

この事件は解決できない。


(...俺がやるしかなさそうだな...)


だけど、どうしたものか。

犯人に近づくには手掛かりが少なすぎる...


他の現場も見ておく必要があるな...


「さて...」



ツーッ...

「!?」



その時、突如として脳内にノイズがはしる。

そして、一つの"未来"の映像が流れた。


(来る!!)


シャッ...



キーン!!



「っ!?」

「!」


俺は咄嗟に短剣を抜き、背後から襲いかかってきた剣を弾く。


(重っ...)


肩外れるかと思った...


...まぁ、今はそんなことより...

"コイツ"だな。


俺は襲ってきた人物を見る。


武器は双剣...

顔は、フードで隠れててよく分からない。

パッと見はだいぶ小柄で、性別はおそらく女。


...というかコイツ、多分魔女だ。


さっきから魔力の威圧感が凄い。


それに、コイツが"魔眼持ち"なら、被害者の死体がミンチにされているのも納得がいく。


「貴女、誰ですか?」

「...」

「能力は?」

「...?」


だんまり...

流石に、自身の不利になるようなことはしないか...


だが、能力が分からないうちは下手に動けない。


断片的でもいいから何か情報は...


ピキッ...


「!?」


短剣の刃が...塵に...


これがコイツの能力...?


発生の条件は...

触れた時、か?


シャッ...


"魔女"が剣を構える。


(考えてる暇は無いか...)


...だが、どうする?


武器はもう無い。


戦うなら、魔法を使うしかないが...


俺は魔法だけの戦闘の経験は無い。

そんな状態で、まともな戦闘ができるとは思えない。


...逃げるか?


...


いや、無理だな。


構え方が本気だ。

コイツ、俺を"獲物"から"敵"と見ている。


(やるしかないか...)


サァァ...


俺は、全身に蔓を纏わせる。


名付けるなら"樹鎧"とかかな?


...って、今考えることじゃないか。

今は"コイツ"との戦いに集中しないと...


「スゥゥゥ...」


...ちなみに、"これ"はただの飾りじゃない。


もし、コイツの能力が"触れた対象だけに作用する"なら、少しでも身体を覆っておいたほうがいい。

それに、魔法は出しっぱなしのほうが使い勝手がいいからな。


(...さて...)



どう来る?

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