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廻生のアリア  作者: jurabisu
第二章
69/107

第69話 8歳、棘の刃

タッタッタッ...!


「はあ、はぁ...」


タブラの街のとある夜。

街灯の光も無い暗い路地裏を、男が一人走る。

男は40〜50歳ほどの肥満体型で黒を基調としたスータン(聖職者の服)を着ている。

首には蝶のような形をしたネックレスをかけていた。


また、男は時折後ろを振り返り、息を切らしながらも必死に走っていた。


カッ...カッ...


そんな男の後ろから、別の靴の音が聞こえる。


その足音は一定の速さでゆっくりと近づいているようだった。


「クソッ...なぜこの私が...」



...カッ



「ひィィ!?」


突然、男が尻を着く。

男の顔が恐怖に歪む。


「お、お前...わ、私に何をするつもりだ!」


足音の主はいつの間にか、男の正面に立っていた。


足音の主は黒いローブで全身を覆い、顔にはマスカレードマスクのようなものを被っている。

手には茨の装飾が施された短剣を持っていた。


「私を神の代行者と知っての行いか!?この無礼者め!」

「...違う。でも...」


スッ...


「うひィッ!?」


男の首元に冷たい何かが当たる。


「...消えろ」



シャッッ...!



「っ...ん?...なんだ、ただの脅しか?」


カッ...カッ...


ローブの人物はその場を離れていく。


「お前!こんなことをしてタダで済むとおもって...!?」


サッ...


男がローブの人物に手を伸ばす。

だが、その手がローブの人物に届くことはない。

...もう二度と触れることはできない。


カッ...カッ...



...とある夜の路地裏。


そこには、バラバラ...いや、粉々になった肉塊が散乱していた。





「...なぁリーゼル」

「ん、なんですか?」

「"八つ裂鬼"って知ってるか?」

「八つ裂鬼?んー...知らないですね。それがどうかしたんですか?」

「最近話題になっててよ...なんでも、その姿を見ると一瞬でバラバラにされちまうらしいぜ」

「ふむ...それは物騒ですね...」

「しかも、被害者には貴族とか聖職者も含まれてるんだとよ」

「あの...一つ、いいですか?」

「ん?なんだ?」

「...それ、今言うことですか?」

「...いや?」


俺はしゃがんでフィドに目線を合わせる。


フィドは上下反対...

逆さまで木に固定されていた。


何故こうなっているかは...少し前に遡る。




...20分前。タブラ郊外・アデン森林―――


カン、カン...


ガン!


「...ちょっと強くなりました?」

「そうか?」


...タッ!



日差しの強い、とても暑いある休日。

俺はフィドと剣を交えていた。


今日はいつもと違い、"真剣"を使っている。

それと、魔法や魔術の使用も一部許容した上での模擬試合だ。


勝利条件は相手の武器を弾くか、相手が負けを認めること。

ただし、どちらか一方が相手に傷をつけた場合、負けとなる。


傷をつけたらダメなので、剣を振る時も魔法を使う時も加減しなければならない。

そのため、とても集中力がいる。


「いくぞ!」


ダッ!


フィドが大きく踏み込む。


(一気に距離を詰めるつもりか...?)


距離は15m...


受けるか?


...いや。



ダッ!



攻める...!



ザッザッザッ...!


ダン!



二人の足が交差する。


俺は下から振り上げる形の構え。

フィドは上方から振り下ろす構えだ。


(...もらった!)


俺は振り下ろされれ剣を目掛けて、自身の剣を振り上げる。


ザッ...


「...!?」


シュッ!...


だが、俺の剣は空を切る。


(やられた...!?)


俺が剣を振る直前、フィドは剣を振らずに後ろへ下がっていた。


フィドがニヤリと笑みを浮かべる。


そして、俺に指を向けて"詠唱"した。


「...飛雷(サルバ)!」


バチィィ...!


一筋の雷が頬を掠める。


「...チッ、ダメか...」


フィドが舌打ちする。

どうやら狙いが外れたようだ。


(危なかった...)


もう少し精度が良かったら、負けてた...


「...お返しです!」


俺はフィドに狙いを定め、剣を持ってないほうの腕を振る。



...ズオォォン!!



地面から無数の"根"が生え、それらは束となりフィドへと襲いかかる。


「あ」

「...え、ちょっ!?待っ...」


ドン!


フィドに"根"が衝突する。


ヤベっ...加減するの忘れてた...


「ぐふっ!?」


フィドが飛んでゆく。


(魔力で身を守れたかな...?)


「...ん?あっ!」


そこで俺は思い出した。

フィドの着地地点...そこで、エルゼとリリが瞑想していることに。


マズイ...

このままじゃ二人が危ない。


かと言って、俺が走っても間に合わない...


こんな時、二人とも無傷で助かる方法は...


...


そうだ!


「リリさん!」

「ふぇ?」


よし、気づいた!


飛ばされたフィドが二人にぶつかるまで残り多分4m...


魔女は自身が危険な状況に陥った時、反射的に能力を使用する...!


「えっ...」


リリが危険を感じ目を閉じる。


すると次の瞬間、フィドが別の方向へ軌道を変えた。

そのまま飛ばされ...


...バン!


近くの木に激突した。


「カハッ...痛ぇ...」




...こうして、今に至る。


今はリリの拘束に魔力を流して、解除を試みている。


前もやったことはあるが、リリが魔力を上手く扱えるようになった分これも相当強固になっている。


解除には少々時間がかかりそうだ。


「早くしてくれ...この体勢辛いんだよ」

「分かりましたから、少し静かにしててください」



...それにしても、"八つ裂鬼"か...


俺も襲われないように気を付けよう。

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