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廻生のアリア  作者: jurabisu
第二章
64/107

第64話 7歳、入学 2

「今日から皆さんは...」


半円形の講堂...

その真ん中の壇上に立っている60そこらの男が、入学式のテンプレートみたいな、聞き覚えのある言葉を発する。


どうやら、締めの言葉は"あっち"と変わらないらしい。


それ以外話す言葉がないのだろうか?


...サッ


そんな時、俺に何かが寄りかかる。


「すぅ、すぅ...」


すると、そこから深い呼吸の音が聴こえた。


「お嬢様...もうすぐ終わります。起きてください」

「んん...朝ぁ...?」

「まぁ、あながち間違ってはないですね...」

「そっかぁ...すぅ...」

「はぁ...」




...国立マルコア大学附属高等学校―――


これが、俺とエルゼが通う事になったこの学校の名前だ。


創立210年という結構歴史ある学校で、マルコア大学の方は更に長い創立300年。


大図書館の裏に併設されており、学校の生徒なら一部区間を除いて誰でも自由に利用出来るらしい。


...さてそんな学校だが、"高等学校"と付いているとおり、今日から俺は高校生になる。


「おいおい、小中はどうしたんだ?」と思うかもしれないが、問題はない。



ウェインによると、


・フォールネ語による一定レベルの会話が出来ること。また、フォールネ語による読み書きができること。


・基礎的な算術(足し算、引き算、掛け算、割り算等)ができること。


最低限、この2つを達成していれば小・中等レベルの課程を修了しているとみなされるらしい。


俺もエルゼも、一ヶ月ほど前にあった試験で学力検査されている。


その試験の結果が合格だったから、問題ないということなのだろう。


まぁ、もし不合格でも入れるが...




タッタッタッ...!


「...リーゼル、早く!」


俺の前をエルゼが少し興奮気味に歩く。


「お嬢様...まっすぐ歩いてください。ぶつかりますよ?」

「分かってるわよ!」


タッタッタッ...


タッ!


「あっ!」


そんな時、エルゼが大きくふらつき、倒れそうになる。


「お嬢様!」


...ドサッ


「っと...危ない。大丈夫ですか?」


だが、正面から来た誰かがエルゼを支えた。


「...」

「っ、すみません。お嬢様がご迷惑を...」

「いえいえ...それよりも、しっかり支えてあげてください」


その人は18歳くらいの青年で、腰には真剣。

長い髪を後頭部で纏めており、全体的に爽やかな印象を受ける。


また、その後ろには、ムスッとした顔の女性が一人。

年齢は青年と同じくらいだろうか?

顔立ちは整っており、髪の長さはセミロングくらい。


女性の方はこの学校の制服だが、青年のほうは執事が着るような服だった。


サッ...


俺は青年からエルゼを受け取る。


「行くわよ」

「あ、私はこれで...」


2人がその場を去っていく。


俺は2人の背中に礼をすると、去っていく女性を見つめる。


(あの女...太腿に...)


...名前、聞いときゃよかったな...


「...リーゼル?」

「...あ、いえ。行きましょう」

「ん...」


少し気になるが、今考えていても仕方ない。


今は早く教室に行かないと...




タッタッ...タ


「...ここみたいですね...」

「ほんと!?早く入りましょ!」


ギィィ...


エルゼが両開きの扉を押し開く。


中は扇形に机が置かれ、教壇へ向かうにつれて床が下向きに斜めっている。

教壇の後ろにはそこそこ大きな長方形の枠があり、中に紙のようなものがいれてあった。


席には疎らに数人が座っている。

服装を見るに、何人かは従者を連れているようだ。

中にはガラの悪そうな奴もいた。


タッタッ...


ガタッ


俺は近くの空いた席に腰掛ける。

エルゼは俺の隣に腰掛けた。


エルゼは、教室を見回しながらうずうずしている。


俺も同様に教室を見ていると、斜め前側の席に居たガラの悪そうな奴と目があった。


...というより、合わせてきた。


「おぃ!テメェ」


そいつは多少怒鳴るように俺に話しかける。


その隣には少女がおり、アワアワしながら男をなだめていた。


「...」

「無視してんじゃねぇ!お前だよ!」


その声にエルゼが反応する。

今にも何かを言いたげだったが、俺はエルゼの前に腕を出す。


「はい?なんでしょう?」

「...テメェ、息すんじゃねぇ」


なんだコイツ。

俺に死ねって言いたいのか?


「?」


俺が首を傾げると、少女が男の耳元で何かを囁いた。


「チッ...さっきから、殺気感じてるみてぇに肌がピリつくんだよ」


肌がピリつく...?

...もしかして、俺の呼吸法のことを言ってるのか?


まぁたしかに、戦闘時にするような特殊な呼吸だからな...


そう捉えられても仕方ないか...


「...あっ、すみません。癖になってるもので...」


スゥゥ...


俺は一旦息を整え、呼吸を浅くする。


「これでいかがでしょう?」

「...ふん」


男に確認すると、男は鼻を鳴らし、体を正面に向ける。


隣にいる少女は小声で「ごめんなさい」を連呼しながら、何度も謝ってきた。


...一方、エルゼは不服そうな顔をしていた。




...少し経ち―――



人が増え、教室の席に空きが少なくなってきた。


現在、教室にいるのは16人。


そのうち5人は従者のようだ。


そのため、生徒としての入学者は俺たち含め11人しか居ない。



...ところで、さっきから俺は生徒と従者を区別しているが、それには理由がある。


まず前提として、従者の枠で入る場合、学力検査テストの結果を必要としない。

(その代わりに、礼儀作法に関する試験がある)

そのため、学力テストを突破できなかった従者が入りやすくなっている。


また、学費も半分ほどで済むらしい。


しかし、たとえ従者であっても最低限教養は必要だ。


だから毎日1、2コマ程度、初・中等レベルの授業を受けることになっている。



...と、これが通常の従者の枠だ。


というのも、従者の枠にはもう一種類ある。


それが、俺のように従者でありながら生徒として入学した者...


特別免除生だ。

(※特別生とは違うぞ!)


これは、生徒としての入学資格を満たしていながら家庭の事情等で入学が難しく、かつ何処かに従事している生徒に適用される。


これになると学費の7〜9割程が免除され、通常の生徒と同じ扱いになる。


しかし、手続きに雇用主の了承が要るので、何らかのの理由で解雇された際、退学となってしまう。(通常の従者枠も同様)



ギィィ...


タッタッタッ...


扉が開き、生徒では無い女性が入ってくる。


その女性は教壇へ向かい、教卓に紙を挟んだクリップボードを置いた。


「は〜い、皆さん。おはようございま〜す♪。皆さん元気ですかぁ?私は、今日から皆さんの担任としてこのクラスを受け持つことになった"リュネスティア・アイビス"って言いま〜す。リュネアって呼んでね〜」


なんだこの人...


なんか、話し方がふわふわしてる。


もっと、こう...しっかり系な人が来ると思っていたから拍子抜けだ。


「じゃあ早速だけどぉ...自己紹介、してもらおっかなぁ〜」


ザワザワ...


教室が少しざわめき出す。


「は〜い静かにぃ〜。じゃ〜あ...貴方から!お願いしよっかなぁ〜」


リュネアが生徒の1人を指さす。


その直線上に居たのは...


「...え」


俺だった。


んんー...

ピンチだねぇ...


後の方ならまだしも、1番最初は厳しいって。


ガタッ...


とりあえず、立つか。



『...』



暫しの沈黙。


皆が俺を見つめる。


スゥゥ...


「...皆様方、お初にお目にかかります。私の名はリーゼレンス・セーレンベル。リーゼルと呼んで頂けると幸いです。私め、皆様方と共に過ごす日々を心待ちにしておりました。至らぬ所があるかもしれませんが、どうぞ、宜しくお願い致します」


言い終わり、一礼。

そして着席。


「お〜。とっても良い自己紹介でしたよ〜。パチパチぃ」


リュネアが小さく拍手する。


「じゃ〜あ。皆さんも自己紹介やってみましょ〜♪」




...それから数十分。


ゴォォォン...ゴォォォン...


皆の自己紹介が終わり、授業終わりの鐘が鳴った。


「あっ鐘が鳴っちゃいましたね〜。じゃ〜あ、今日はもう終礼ですね〜。皆さん、気を付けて帰って下さ〜い♪」



ガヤガヤ...


生徒達がそれぞれの帰路につく。


「ん〜...」


エルゼが背伸びをする。


「...さ、リーゼル帰りましょ?今日はもう疲れたわ...」

「そうですね...帰りましょうか」


エルゼが先を歩き、俺はその後ろをついていく。



...長い長い廊下の途中。


エルゼは、今日感じたことを楽しそうに、俺に語った。

ここから少し学校編に入ります。

少々退屈な話が続くかもしれませんが、リタイアしないよう頑張ってください\(*⌒0⌒)♪

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