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廻生のアリア  作者: jurabisu
第二章
62/107

第62話 7歳、後日 4

タッタッ...タ


...コンコン


「...入ってくれ」

「失礼します」


ギィィ...


屋敷のある一室...


俺は、その扉を開く。


中には机と椅子...

それと、壁を覆うように本棚が置かれている。


その椅子には、40歳くらいの男が腰掛けていた。


「...」


俺は部屋に入ると、机を挟んで男の前に立つ。


「...お待たせしたでしょうか?」

「いや、思ったより早くて驚いているくらいだよ。...あの娘が逃げようとしたりしなかったかい?」

「いえ...まぁ文句はありましたけど、今はポールさんの元でレッスン中だと思います」

「そうか...」

「...それで、ウェイン様...報告とは...?」


この調子じゃ始まりそうになかったため、俺から話を切り出す。


「あぁ、そうだった。君を呼び出したのは他でもない、あの地下のことについてだ」

「...なにか分かったんですか?」

「...」


ウェインが黙る。


「...なぁリーゼル君」

「はい」

「...この街で、とても嫌な予感がしないかい?」


嫌な予感...?

何を言うかと思ったら...


...まぁ、しない訳ではない。


最近は気分も悪いしな...


「...たしかに、そうですね...」

「そうか...私だけじゃ、ないようだね...」

「...?」

「...あぁ、ちょっとした確認だよ。本題はここからだ」



「...今まで送り込んだ捜査官23名...その皆が行方不明になった」

「!?」


まさか...怪物が現れたのか?


「...リーゼル君。君は、あの地下から生還したんだろう?あの地下には、何があるんだい?」


地下...


なるほど。

あの地下全体が"迷宮"と化したのか。


地下二階だけだと思っていたが...


...だとしたら、地下への階段を下った人達が戻らないのも納得だ。


「...全部信用していただかなくてもいいのですが...」

「...何かあるのか?」

「...おそらくあの地下は今、異界に繋がっているのだと思います」

「異界?」

「はい」

「...にわかには信じがたいけど...。...今の状況を見るに、そう考えるしか無さそうだね。しかし、異界か...」


ウェインが考える素振りを見せる。


「...それで、それに対する策は無いかな?」

「...策と言うか、入らなければ特に害は無いと思います。もし"扉"を閉じるなら、攻略するしかないでしょうね...」



「そうか...。...それと、あともう一ついいかな?」

「はい...?」


スッ...


ウェインが俺に向かって指を差す。


「..."その方"を、紹介してもらっても?」


(その方...?)


ん?


サッ...


俺はウェインさんの指が俺の背後に向いている事に気づき、後ろを振り向く。


「!?...」


...え?


そこには一人、"少女"が佇んでいた。


「アルテ...さん?」


少女は俺に微笑みかける。


「...じゃない...。誰ですか?貴女は...」


似てるけど、違う。


瓜二つだけど髪も短いし。


何より...


魔力の"色"が違う...


「スゥゥゥ...」


俺は携帯していたナイフに手を伸ばし、構える。


「...リーゼル君、落ち着いてくれ。彼女に敵意は無いようだ」


ウェインさんが俺の肩に手を置く。


「...分かりました」


俺はナイフから手を離す。


「...感謝する」


その少女が初めて口を開いた。


(声も似てるけど、話し方が違うな...)


「...それで?貴女のお名前をお伺いしても?」

「...セレネ」

「...ではセレネさん、もう一つ質問をしてもよろしいかな?」

「ん」


少女は小さく頷く。


「...貴女の目的は?」


スッ...


ウェインが聞くと、セレネは俺を指さす。


「...伝言」

「僕に、ですか?」

「ん」


サッ...


すると、セレネは急に俺との距離を詰め、耳元に顔を近づける。




「「備えよ」」




スゥゥ...


次の瞬間、風が俺の頬を掠め、少女の姿が消える。


『...』


僅かな沈黙。


「...あ」


少し経ち、俺は自分が何かを持っていることに気づく。


(...本...?)


俺の両手はいつの間にか、分厚い本を持っていた。


その表紙には、"魔導基礎"と書かれている。



(...)



...なるほど。

そういうことか。


どうやら俺は、"真実"を伝えなきゃいけないみたいだな...


「...今のは...彼女は一体...」


ウェインさんがボソボソと呟く。


「...ウェイン様」

「ん?あぁ、なにかな?」

「...ウェイン様は、"魔法"って信じますか?」

「?突然何を...」


サァァァ...


「っ...。あぁ。今まさに、信じたところだよ」


ウェインの視線の先には、蔓のようなものが巻き付いて蠢くリーゼルの腕があった。

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