第60話 7歳、後日 2
(...これ、生きてんのか...?)
俺は注意深く魔力を感じ取る。
すると、その"少女"からは膨大な魔力を感じた。
しかも、昔、爺さんが死んだ時に感じた魔力とは違う...
つまり、この身体はまだ生きている...?
...断定は出来ない。
だが、"生と死"の定義の仕方によっては"生きている"と言える状態なのだ。
植物状態みたいなものだろうか?
でも、そういう次元の話では無いような気がする。
多分この身体は、首を刎ても活動を続けられるだろう...
まさに、"生きる屍"だな。
「ん〜...」
だが、どうしたものか...
こんなもの持ち出す訳にはいかないけど、ここに残しておくのもなぁ...
もし、動き出したりしたらただのホラーだし...それで人を襲ったりしたら、街中パニックになるよな?
...
...念の為、殺しておくか。
たしか、魔力器官を破壊すれば、完全に活動を停止させれるはず...
魔力器官は心臓の反対側、体の中心からやや右の所にある。
だが、ただ刺せばいい訳ではない。
通常、魔力器官というのは触れることも見ることもできない。
だから、一般的には魔力器官の損傷による死亡なんてことは起きないのだ。
しかし、例外は存在する。
それは、"一定量以上の魔力による接触"だ
まぁ簡単に言えば、大量の魔力をぶつければ触れるし見れるってことだ。
シャッ...
リーゼルは磔にされた少女の体から、ナイフを一本抜きとる。
「スゥゥゥ...」
俺は深く呼吸し、そのナイフの刃の先端に意識を集中させる。
すると、ナイフの刃が鈍い赤に変色し、渦巻くような模様が浮かび上がった。
...シャッッ!!
リーゼルはナイフを少女の右胸部へ鋭く突き立てる。
チャッ...
少女の胸にナイフが突き刺さる。
傷からは血が流れ出ていた。
...ドクッ...!
「!?」
その瞬間、少女の身体がうねり、風船のように膨張する。
(...おい、嘘だろ...!?)
リーゼルは咄嗟にナイフを離し、廊下を引き返す。
だが、時すでに遅し。
ドバァァァ...!!!
限界まで膨張した身体は裂け、中から肉の塊が濁流のように押し寄せる。
その肉塊はリーゼルをも飲み込み、地下全体を満たす。
「...うグッ...」
(息が...)
マズい...意識が...
誰か...助け...
て...
《...開け、"禁書庫"...》
「ん...あぁ...」
(...声...?)
誰か、居るのか...?
なら助けてくれ...
"ここ"に居ると気分が悪い...
「...」
《...安心して。私は、君を見捨てない》
サッ...
"扉"から手が伸び、リーゼルの頬に触れる。
すると、リーゼルの体が"扉"と共に瞬く間に消えた。
...リーゼルが消えたその空間には、
まるで永遠のように、"聖堂"が続いていた。




