第59話 7歳、後日
※お知らせ
タイトルのネタが尽きたので、今回はタイトル無しです。
今後もタイトルがない話がでてくるかもしれませんが、ミスではないので気にしないでください。
スゥゥ...
「...んん...」
(...朝か...)
冷たい風が窓の隙間から吹き込む。
サッ...
リーゼルは体を起こし、窓を見る。
起き上がったリーゼルは下着だった。
(...ここに来て、もう1ヶ月か...)
初日こそ色々あったが、あっという間に一月が経った。
時が流れるのは思ったよりも早いらしい。
昔、"あの部屋"に居たときよりもずっと...
「はぁ...」
タッ...
リーゼルはベッドから降り、下着のままクローゼットへ向かう。
すると、リーゼルはクローゼットを開き、中から黒を基調としたズボンと上着、白いシャツを取り出す。
サッ、サッ...
「...よし...」
リーゼルはそれを着こなすと、部屋の扉に手をかける。
ガチャッ...
(今日も今日とて、お仕事の始まりだ...)
こうして、リーゼルの1日が始まるのであった。
タッタッ...タ
コンコン...
リーゼルはとある扉の前で立ち止まり、その扉をノックする。
「お嬢様...」
「んん...」
部屋の中から唸り声のような声が聞こえる。
「はぁ...失礼します...」
「ん...」
ガチャッ...
リーゼルが扉を開ける。
中はリーゼルの部屋よりも広く、キングサイズくらいの大きなベッドが置かれていた。
そのベッドの上には人影が一つ。
タッタッタッ...
「お嬢様...起きてください...」
「んん...朝...?」
「そうですよ...」
リーゼルはベッドに寝ている人物に声をかける。
その人はだらしない格好をして、むにゃむにゃと寝ぼけていた。
「ほら、起きてください!」
ザッ
俺は寝ぼけているエルゼの上体を起こす。
「...触らないでよ...」
「なら、自分で起きれるようになってください」
「む...」
そう言うと、エルゼは抵抗しなくなる。
まさに魔法の言葉だな。
「ほら、着替えますよ?」
「ん...」
俺はエルゼの寝巻きを脱がし、服を着せる。
「はい、後ろ向いてください」
「んん...」
俺はエルゼに後ろを向かせると、櫛でその髪を梳かす。
エルゼの髪は肩より長く、艶がある。
梳かしていると、ふわっといい匂いがする。
まるでシルクの布を触っているような質感だ。
まぁ、触ったことないけど...
「...よし、終わりましたよ」
「...うん」
エルゼはベッドから降り、部屋を後にする。
そして俺は、エルゼの二、三歩ほど後ろをついて行く。
...領主邸・食堂―――
カチャ、カチャ...
食器同士が擦れる音がする。
ここに来てから数十回目の朝食。
色々あったが、だいぶ慣れてきた。
初めは、"そこ"に立っている執事のポールさんに食事マナーを叩き込まれて大変だった...
(食べる姿勢とか、フォークを引く回数とか...)
ちなみに、この世界では二又のフォークが主流だ。
...ぱくっ
(...ん...)
この、じゃがいも?美味いな...
なんだか懐かしい味だ。
昔、TVで見たのを真似して作ったじゃがバターみたいな味がする...
「...リーゼル君。ここでの暮らしには慣れたかな?」
「あ、はい!多少は...」
突然話しかけられてビックリした...
「それは良かった。新しい土地での暮らしはストレスが溜まるだろう?それに加えて、娘の世話まで...」
「いえいえ、そんなことは...」
「そう言ってもらえると助かるよ」
カチャッ、カチャッ...
ガチャン!
「ん...」
「あ、お嬢様!」
エルゼが朝食を食べ終わり、席を離れる。
俺はそれに気付き、一緒に離れる。
「...リーゼル君!」
「はい?」
「...後で私の部屋に来てくれ。例の一件についての報告がある」
「っ...はい」
例の一件...
それは、孤児院の地下での出来事だ。
あの後...
俺はエルゼをここに運び、ウェインさんに事情を話した。
その時、色々と調べると言っていたので、その報告だろう。
別に、"禁書庫" で調べればいいだけなのだが...
何故か今、アルテさんが俺を禁書庫に入れてくれないのだ。
そのため、ウェインさんに調べてもらっていた。
俺自身、何度か調べてみたのだが...
大した情報は得られなかった。
...得られた情報といえば、当時、俺が魔力探知で見つけた反応...
その内の一つの正体くらいだろうか?
...あの地下での出来事があった翌日―――
「...」
俺は、今日もラーミス教の孤児院に来ている。
ここに来たのは、諸事情(エルゼの体調不良)により調査を断念した、あの廊下の先を調べる為だ。
教会周辺は封鎖されていたが、抜け道を使って侵入した。
なんだか、スパイみたいでちょっと楽しい。
...まぁ、そんなことはどうでもいい。
今は早く地下を調査しないと、警察かなんかが来ちまう...
俺が"アレ"を殺したとはいえ、まだ怪物が居る可能性があるからな...
「えっと...この辺りだった気が...」
俺は孤児院の一室にあるクローゼットを開く。
そこの床を見ると、"閉じた"ハッチがあった。
「あった、あった...」
ギィィ...
「うっ...」
この悪臭は変わらねぇな...
...タッ
多少えずきながらも、リーゼルは地下への一歩を踏み出した。
カッ、カッ...カッ
「はぁ...」
着いた...
周囲に、吐き気を催すような異臭がする。
...孤児院の地下二階。
(地下一階には、特に何も無かったが...)
ゴクッ...
(この先には確実に、"何か"が居る...)
カッ...
リーゼルは、"肉"に囲まれた廊下を先へ進んでいく。
途中、いくつか部屋を調べてみたが、中は何処も血と肉で真っ赤に染っていて、悪臭が充満していた。
カッ、カッ...
...カッ
リーゼルの足が止まる。
止まったリーゼルの目の前には、扉があった。
その扉の隙間から微かに光が漏れる。
ギィィ...
リーゼルはゆっくりとその扉を開く。
「っ!?」
そこにあったのは...
四肢をもがれ大量の刃物が刺さり、磔にされた"少女"の姿だった。
フラファイア邸にはあまり労働者は居ません。
働いているのは、料理人1人と執事、メイドが2人です。
このように少ないのは、タブラに様々な情報が集められていることが関係しています。
しかし、リーゼルが来る1ヶ月ほど前にメイドが2人とも不祥事を起こし、クビになりました。
そのため現在は、リーゼルがエルゼの身の回りの世話。
リーニャが洗濯や掃除などを行っています。




