第54話 7歳、異変 3
タッタッ...
(...どこだ?)
どこに入口が...
...ここは、ラーミス教の社務所内部。
エルゼが居ると思われる地下がある建物だ。
それで、さっき大男を壁に固定してから5分ほど経過するのだが...
未だに地下への道を見つけられずにいた。
机の下や棚の後ろ、階段やトイレまで調べた。
だが、どこにも地下へ通じるような階段や穴はなかった。
どういうことだ?
なぜ見つからない?
俺は何かを見落とした、のか?
...
...有り得なくはない。
もし、地図を見たあの時、まだエルゼが拘束されて居なかったら...
俺の移動中に、エルゼが別の場所に連れてかれていたら...
...俺は、地下への入口を知り得ない。
(クソッ...手に入れる情報をミスったか...)
あの時...もう少し建物について調べていれば...
「地下への入口...地下への...」
リーゼルはブツブツと呟きながら頭を回転させる。
...
...そうか。
あれを...あれをすれば...
敵を...エルゼを...
見つけられるはず...!
「...スゥゥ...」
リーゼルはしゃがみ、目を閉じる。
そして、大きく深く呼吸し、魔力を感じ始めた。
「...俺は、魔力...」
...ドクッ!
「ッ!!!?ゴホッ、ゴホッ...」
苦し...でも...
"見つけた"
「...はぁ、はぁ...」
身体は...暑くも寒くもない...
ハハッ...
今回は大丈夫そうだな...
でも、アルテさんに怒られちまうな...
だけど、いい情報が手に入った。
これで、エルゼを救出できる...!
...はず...
まぁとりあえず、入口だな...
タッ...
リーゼルは立ち上がり、入口へ向かった。
タッタッ...タ
(...誰も居ない...)
...ここは、社務所の向かい側...
孤児院のリビングにあたる部屋。
そこには、低い机やソファが置かれていた。
床には玩具が散乱し、ソファにはぬいぐるみが哀しげに座る。
机には数枚の粗悪な紙が広がり、ギターのような弦楽器が壁に寄りかかる。
机や壁にかけられた燭台に灯る火がそれらをぼーっと照らしていた。
スゥゥ...
リーゼルは机を指先でなぞる。
「...埃...」
放置されて少し経つみたいだな...
教会が管理しているにしては汚れてる...
ここで何があったんだ?
「...」
今は先を急ぐべきか...
...タッ
タッタッ...タ
ガタッ
リーゼルは孤児院のある一室のクローゼットを開ける。
すると、中の物を出し始める。
...ガサッ
「...あった」
リーゼルが最後の箱を出すと、それがあった場所の床にハッチがあった。
ギィィ...
「っ!?...」
リーゼルは思わず鼻を腕で塞ぐ。
なんだ?
この、鼻が曲がるような異臭は...
ほんとに、この先に居るんだよな...?
「はぁ...ふぅ...」
(...よし)
...タッ
こうして、リーゼルは地下への階段に歩み出した。
カッ...カッ...カッ...
(...暗いな...)
やっぱり明かりを持ってくるべきだったかな...
リーゼルは階段の壁を伝いながら、下へ下へと進んでいく。
...魔力で視ているから何とか進めるけど、暗いものは暗い。
魔力探知も不完全だし、視覚が不自由なのもなかなか辛いな...
カッ、カッ...カッ
(...よし、着いた...)
...やっぱり、酷い臭いだな...
「...ん?」
(...明かり?)
地下の廊下。
そこの扉の一つから、光が漏れていた。
...魔力探知にあった生命反応は、俺を除いて4つ。
それぞれ2-2で別の部屋に反応があった。
一つは地下2階のある一室。
もう一つは、この階の光が漏れているそこの部屋。
エルゼが居る確率は五分五分か...
もうちょっと、探知の精度が良かったらなぁ...
(...)
とりあえず、下は後回しだ。
先に"こっち"を調べよう...
...ッ
リーゼルはできるだけ音を立てないように、明かりが漏れる部屋へ近づく。
...サッ
「...ゴクッ」
扉まで僅か十数cm。
その扉は少し開いており、その隙間から光が漏れている。
「...ふぅ」
チラッ...
リーゼルは息を整え、隙間から中を覗く。
「!?」
(...居た!でも...)
部屋には、エルゼの姿があった。
エルゼは手足を鎖で繋がれ、項垂れている。
さらには髪は乱れ、服も破かれていた。
「酷い...」
なんて奴らだ...ラーミス教...
(...早く助けなきゃ...)
ギィィ...
...タッ
リーゼルは扉を大きく開き、中へ足を踏み入れる。
「...ン」
...シュッ!
しかしリーゼルが足を踏み入れた瞬間、扉の死角にいた男が"ナタ"を振り下ろした。
...キーン...




