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廻生のアリア  作者: jurabisu
第二章
49/107

第49話 7歳、新生活 4

「...んん...ん?」


俺の顔に日の光が当たる。


(...朝か...)


サッ...


「ん〜...はぁ...」


いつの間にか寝ていたのか...


それにしても、いい目覚めだ。


新しい生活の始まりを飾るにはよい朝だ。

まるで、これからの生活が充実したものになるなことを知らせてくれているようだな...


...タッ


ガチャッ...


リーゼルはベッドから降り、部屋を後にする。



タッタッタッ...


「ふぁ~...」


(えっと...洗面所は...)


ちなみにこの屋敷、めちゃくちゃ広い。

部屋の数もそれだけ多いから、場所を覚えるのは大変だ。


住んどけばそのうち自然と覚えるようになるのだろうが...少々時間がかかりそうだ。


「ここか...」


ガチャッ


タッタッ...


(...ん?)


風呂場に、誰か居る...?


洗面所(脱衣所)から繋がっている浴場から、人が水を被る音がする。


(ウェインさんって、朝風呂するのか...?)


バシャッ、バシャッ...


リーゼルは水瓶に溜まった水で顔を洗う。


壁にかかった金属製の鏡は、リーゼルの姿を綺麗に写し出す。

鏡に写ったリーゼルは昔より、遥かに勇ましく男らしく見えた。


...ぐぅ〜


(腹減ったな...)


食堂って...何処だ...?


...


まぁ、少し探せば見つかるか...


ササッ...


そんなことを考えていると、洗面所の奥の浴場へ続く暖簾が揺れた。


「あ、ウェインさ...ん...?」

「...ん?」


リーゼルは食堂の場所を聞こうと振り返ったが、そこに居たのはウェインではなかった。


(少女...?)


歳は俺と同じくらいか...


それにしては発育が良い...


タオルで隠しているが、よく分かる。


「っ...///」


ッー...


(おっと...マズイ...)


まじまじと見すぎたな...


タッ...


シュッ!


リーゼルは"未来"を見て、後ろに一歩下がる。


すると次の瞬間、少女から強烈なビンタが飛んできた。


...タッタッ


(すぐ謝った方がよさそうだ...)


俺は数歩下がり、深く頭を下げる。


「僕の不注意のせいで貴女を辱めてしまって...申し訳ございません...」

「...なんで避けたの...」

「え?」

「なんで避けたかって聞いてるの!」

「あ、いや...反射的に...」

「2回...」

「へ?」

「あんた、私に2回も恥をかかせたわね!」

「いや、あのっ...」

「許さないから...。...絶対に、許さないから!!」


タッタッタッ...


バタン!...


そう言い残すと、少女は部屋を後にする。


(一体、なんだったんだ?)


この屋敷にあんな娘がいるなんて、聞いてな......


「...あ」


いや、俺聞いてるな...


...まさか、あの娘が?


なら、マズイ...

だいぶマズイ。


(...)


ま、まぁ...


そんな訳ない、よな?





10分後...


バン!


食堂に、机を叩いた音が響く。


「パパ!?」

「ま、まぁ落ち着いて...」

「こいつ、私に恥をかかせたのよ!?そんな奴が私の側仕えで、しかも、一緒の家に住むとか...私、絶対嫌だから!!」


...気のせいじゃなかった。


それと、俺は彼女に相当嫌われているらしい。


はぁ...

やっちまったなぁ...


というか、俺悪くないよね?


俺、ウェインさんの娘が風呂場に居ること知らなかったし...


...まぁたしかに、肌を見てしまったのは申し訳ないと思ってるけど...

ビンタを避けただけで機嫌損ねるのは、納得いかない。


「この人達は、人々の感情によって村から追われた可哀想な人達なんだ...私達が受け止めなかったら、この人達はどうやって生きていけばいいんだい?」


(そうだそうだ〜)


「そこら辺の路地裏で、野垂れ死んどけばいいじゃない...」

「っ...」


少女が放ったその言葉で、ウェインの言葉が詰まる。


「ふん...」


ガタッ


少女が椅子から飛び降り、食堂の入口へ向かう。


「エルゼ...」

「...」


少女は無言で食堂を後にし、姿が見えなくなる。



...ダン!!


ウェインが机に拳を叩きつける。


「クソッ!私はなんて...なんて無力なんだ...」

「...あの...」

「...セリシア...あの子には、私一人の愛では足りないよ...」


ウェインは拳を強く握っていた。


「...ウェイン様。大丈夫ですか?」


そんなウェインに、リーニャが優しく話しかける。


「あ。...あぁ、すまない...」

「いえ...」

「はぁ...」


ウェインは大きくため息をつく。


「...ん?」

「あ」


ウェインと目が合った。


「あぁ...みっともない所を見せてしまったね...」

「あ、いえ...。そういえば、さっきの娘は...?」

「あぁ、あの子が私の一人娘、エルスノーゼ...略名を、エルゼというんだが...」


エルスノーゼ、か...


なんでだろう?

何処かで会ったことあるような気がする...


気のせいかな...?


「...誰に似たのか、気が強くてね...私じゃ、とてもじゃないが相手ができないんだ...」

「そうですか...」

「同い年なら、相手ができると思ったんだが...。逆に、君の気を悪くしてしまったね」

「いえ、そんなことは...。元はと言えば、僕の落ち度ですから...」

「そうか...。そう言って貰えると助かるよ...」


そうは言っているが、依然としてウェインさんの表情は暗い。


「...ウェイン様」

「ん?」

「今日はもう休まれては?顔色が優れないように見えますよ?」

「ん...あぁ、そうするよ...」


すると、ウェインはリーニャの肩を借りながら立ち上がる。


「...リーゼル」

「はい」

「私は、ウェイン様を自室に連れていくわ。あなたは、先に朝食を済ませといて」

「...分かりました」


タッ、タッ...




「...」


(俺だけになっちゃったな...)


...なんか、すごく申し訳ない気持ちだ。


俺のせいなんじゃないか?という考えが頭を駆け巡る。


こんな時、俺はどうするべきなんだろう...?


...


「...散歩でもするか...」



...新生活の始まりは、最悪だった。

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