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廻生のアリア  作者: jurabisu
第二章
46/107

第46話 7歳、新生活

フォァァ...


綿雪が降る、晩秋のとある草原。


ガタガタ...


薄く雪が積もった草原に、二本の車輪の跡が伸びる。

その跡の先には、一台の馬車があった。


「はぁー...」


リーゼルが白い息を吐く。


(今年の冬も、厳しい寒さなりそうだな...)


だが例年と違うのは、過ごすのが住み慣れた家じゃないことだろう。


まさか、村を出ることになるなんて...


「はぁ〜...」


思わずため息が出てしまう。


新天地での生活...新しい日常...

上手くいくとは思えない。


将来への希望が持てないと言うか、なんと言うか...


(なんで、こんな事になったかなぁ...)


...ん、そういえば...この馬車は何処へ向かっているんだ?


急いで出てきたから詳しいことを聞いてないな。

リーニャが、アルタ村よりは発展している、とは言ってたけど...


「...お母様」

「ん、なに?」

「この馬車は、何処に向かっているのですか...?」

「あ、まだ伝えてなかったわね...」


こうして、リーニャが話し始めた。



...俺たちの新しい家があるのは、"タブラ"と呼ばれる都市だそうだ。


そのタブラはフォーノード王国の中枢都市の一つに数えられるほどの重要な都市であり、"フォーノードの頭脳"とも言われている程、情報が集まるらしい。


そのように言われている要因は、タブラには国立の大図書館が置かれていることが大きいだろう。

なんでも、城と見間違う程に大きく立派な図書館だそうだ。


それで、何故そんな場所に引っ越すのか、だが...


どうやら、リーニャは前々から街に住まないか、とタブラの領主に誘われていたらしい。

しかも、専属の占い師として雇ってくれて、家まで用意してくれるという超好条件。


俺なら即行で条件を呑むところだが、リーニャが誘われたのが俺を出産した時と重なった為、見送っていたそうだ。


元々、俺が成人(16歳)になったら街に引っ越す予定だったそうだが...

まぁ、こんな状況になっちゃったから早々に引っ越すことにしたという。


「...あっ、そうそう。タブラはね、学校があるらしいのよ」

「そう、なんですか?」

「ええ。それで、なんだけどね...」

「?」


「...行ってみる?学校...」


学校、か...

前世で不登校になるくらいには嫌な場所だ。

そこに行きたいか?と言われて、行きたいとは思わない。


まぁ、それは前世での話。


この世界には、まだまだ俺の知らないことで溢れている。

学校は、それらを知るには良い環境だろう。


正直、色々と心配はあるが...


「...はい!行ってみたいです!」


行かせてもらえるなら、行くしかないだろう。


「そう...良かった...」

「?」

「あ、いや、なんでもないわ!」


(...ん?今たしかに"良かった"って...)


俺が拒否したら、なにか問題があったのだろうか?


まぁいつも通り、大したことないとは思うが...


「ふぅん...」

「...」


(...寒...)


リーゼルは近くの毛布に包まり、静かに目を閉じる。



...まぁなんにせよ、これから新しい生活が始まるのは紛れもない事実だ。


きっと、新天地でも俺の常識を超えるような事が起こるだろう。


それに、"化け物"が現れないとは限らない。


だから、新天地で何が起きても冷静に対応できるようにしよう。


常に心の平静を保ち、何事にも動じない...


そんな人間になれるよう、心身を鍛えなきゃな。



「...zzZ」


雪が止んだ、一面純白の銀世界。


馬車は、雪に車輪の跡を残し、真っ直ぐと進んでいた。

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