表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
廻生のアリア  作者: jurabisu
第一章
42/107

第42話 7歳、不穏 3

ザッ、ザッ...


「これは...驚きじゃのぉ...」


ロブノは身をかがめ、地面を見つめながら呟く。


ロブノがなぞった地面の辺りには、まだ新しい血の跡がある。

また、周囲を見回すと、岩や地面に傷や穴があり、木々が倒れていた。


その痕からは、ここで激しい戦いがあったことが見て取れる。


(...ん?これは...)


俺は草むらの奥に何かを見つける。


「師匠、これ...」

「ん?...おぉ、これは...」


"それ"は、何かが引き摺られた痕だった。

よく見れば、痕は草むらの奥まで続いている。

所々に血痕も見えた。


「...気ぃ引き締めろ」

「...っ」

「居るぞ。この先...」


言われなくても、とっくに引き締まってる...


スウゥゥゥ...


この、自然のものでは無い、異様で不気味な"気"の流れ...


この先にいるのは熊とか虎とかの猛獣の類いではない。


だが、なんだ?

この感じ...どこかで...


「...」


(...そうだ。俺はしってる)


1年前、アルテさんと初めて会った時。


3年前、化け物を見たあの時。


転生してまだ間もない頃、リーニャの占いを見た時も...


俺が感じたそれらの異様な気配達は、全て魔力の流れだったんだ。


...ん?待てよ...


だとしたら、今回の敵って....


「...リーゼル」

「あ、はい」

「...逃げぃ」

「え?」


前を歩いていた爺さんからそう言われ、少し理解が遅れてしまった。

だが、周囲を見回してすぐに理解した。


「...っ!?」


...考えていて気づかなかった。


今、俺が居るこの場所は...


「早ぅ!!」


"アクマ"の縄張りだった。





「ハァ...ハァ...」


ザッザッザッ...


(クソッ...なんだよ、アレ...)


...ロブノ爺さんに「逃げぃ」と言われてから1分くらい。

俺は時折後ろを振り向きながら、森の中を全力疾走していた。


今は"アレ"を爺さんが足止めしてくれているけど...


「...」


多分、"アレ"は剣で相手できるようなものじゃない。


リーゼルは、先程見た光景を思い返す。



...串刺しにされた少年...



「うッ...」


今思い返しても吐き気がする。


俺が見たのは現実だったのか...

思わず疑ってしまうような光景だった。


少年を串刺しにしていたあの金属のようなもの...

恐らく"ソレ"が今回の標的だ。

不自然な魔力が流れ出ていたから間違いない。


....だけど、"アレ"って生物と言えるのか?


俺が魔力を知覚できなければ、ただの金属の塊にしか見えなかっただろう。


...というより、何度見ても金属の塊にしか見えない。


そんな、よく分からない生物....

果たして剣で殺せるようなものなのだろうか?


爺さんなら、"アレ"を殺せるか?


「...」


ザッザッ...ザ


(...なんで俺、逃げてんだよ)


「爺さんなら...」ってなんだよ。


せっかく、爺さんに稽古つけてもらったのに...

初陣で敵を前に逃走して...


だっせぇな...


「くっ...」


(まだ、間に合うよな...?)


...サッ


リーゼルは後ろを振り向く。


「...師匠、今行き...」


リーゼルは決心したが、放った言葉を言い終えることはなかった。


(...え?)



「...すま、ん、リー、ゼル...しくじっ、た...」

「師匠...?」


"ソレ"を見た瞬間、全身の毛が立ったのが分かった。


片脚がもがれ、腹を"棘"が貫通した爺さんの姿...

項垂れた爺さんからは段々と"気"が薄れている。



..."気"...魔力が無くなると、どうなるのか。


知らないけど、だいたいの見当はつく。


昔、アルテさんが魔力を"生命力"と例えた。

もし、魔力の量が生命に直結するのなら...

魔力が減少することは...


"死"を意味する。



(爺さんが...死ぬ...)


助けなきゃ...


スッ...


リーゼルは右手をロブノへ近づける。


(...待て)


リーゼルは近づけた右手を寸前で引っ込める。



(...なんで)


ここに爺さんが居るんだ?

俺は真っ直ぐ走ってきたはずだ。

それに、ここは最初に"ソレ"を見た場所しゃない。


じゃあ、"コレ"は移動してきたのか...?


わざわざ爺さんを連れてきてまで?


...


...そうか。

これは"罠"だ。


相手を確実に仕留めるための罠。



(...来る)


サッ...


リーゼルは脱力し、一歩後ろに下がる。


...シュッ!!!


すると次の瞬間、地面から"棘"が飛び出した。


(お前は、俺が...)


シャッ...


リーゼルはほぼ無意識下で腰の剣を抜き、天に掲げた。


「...ここで止める...」


シュッ!


キィィィン!!!...


「っ!?」


剣が折れた...!?


(まずいな...)


タッ!


リーゼルは大きく後ろに下がる。


「ふぅぅ...」


リーゼルは冷静だった。

それも、今までにないくらいに。



シャッ...


リーゼルは隠していたナイフを抜き、構える。


それを見た"アクマ"はロブノを放り投げ、全身を顕にする。


"ソレ"は形が定まらない、棘の生えたスライムのような...




"化け物"だった...

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ