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廻生のアリア  作者: jurabisu
第一章
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第4話 0歳、異世界 2

「うー」

(あーもう夜か...)


でも寝たくないなぁ...

眠気もないし起きとくか...


俺はベビーベッドの上で右へ左へ寝返りを打つ。


時折柵の奥に見える窓の向こう側は暗かった。

しかし、少し欠けた月が降る雪を照らし、まるで星が振っているかのように見えた。


(雪か...)


降るのを見るのはいつぶりだ...?

たしか、5歳の時が最後だったか...

あんまり見る機会が無かったから、雪を見るとはしゃぎたくなるな。


まぁ、こんな身体じゃ外すら出れないがな。

それにしても懐かしい...


「あら、リーゼル起きてたの?」

「あー」

「寝れないの?」

「あうー」

「そう...じゃあ、私が眠くなるお話をしてあげるわ」


(眠くなる話?子守唄とかじゃないのか?)


俺はリーニャに抱えられる。

リーニャの腕の中は暖かかった。


「...昔々のずーっと昔、八つの大地と四つの海の向こう側の楽園に一人の天使が生まれ落ちました」


こうして"眠くなるお話"が始まった。


...生まれ落ちたのは楽園の77番目の天使。

他の仲間達は彼を"ゼゼ"と呼びました。

ゼゼは語神ラウダニスと思考の女神フラティネの間に生まれ、両神の愛を受けて成長しました。


ラウダニスからは言語を。

フラティネからは思考を、それぞれ受け継いだゼゼは、知識を求めるようになりました。


それから時は流れ、ゼゼは神に成りました。

神に成ったゼゼは、主より"アドラヌス"という名をもらいました。

神と成ったゼゼが司ったのは、"知識"。

神と成ったことによりそれまでの知識欲は更に強くなり、ありとあらゆるものを知り、理解しようとしました。


そんな時、ラウダニスとフラティネの間に新たな天使が生まれます。

その天使は楽園の112番目の天使...

楽園の仲間達は彼女を"トトラ"と呼びました。


ゼゼは妹であるトトラをとても可愛がりました。

そしてゼゼは、"愛"の断片を知ったのです。


しかし、そんな日々は長くは続きませんでした。


楽園の奥地に根を張る巨樹の実...

"生命の実"をトトラが食べたのです。

生命の実はトトラに命を与え、翼を溶かします。

その実は、楽園で禁忌とされる"堕落の実"でもあったのです。

主は堕落したトトラに激怒し、楽園から追放しました。


ゼゼは失望しました。

なぜ事前に止められなかったのか。

なぜ知識の神である自分が知らなかったのか。

なぜ自分じゃなかったのか。


ゼゼはトトラを楽園に戻すため、あらゆる知識を貪りました。

でも、何も得られませんでした。


廃人となったゼゼは巨樹の元に向かい、トトラと同じく生命の実を食べました。

そして、楽園から追放されたのです。


地に墜ちたゼゼはトトラを探すため、地上を彷徨うのでした...


(...ん?終わり?)


リーニャの声が聞こえなくなる。


「うー」

「スゥ...スゥ...」


(あっ、寝てる...)


マジかよ...

絶対これからが本編じゃん。

眠くなるどころか、気になりすぎて眠れないんだが...


はぁ...

でも、いい事を知った。

話の初めの"八つの大地と四つの海"は、実際のこの世界のことを指しているはず...

つまり、この世界は主に八つの大陸と四つの大洋で構成されているということだ。


やっとこの世界のことを知れた気がする。

...それにしても、この話は神話なのか?

この世界にも、神っていう概念があるんだな...

そこは、地球の人間と近いものを感じる。


どんな世界であっても、信仰っていうのは人々の心の支えになるのかもしれないな...

でも、リーニャって神を信仰してたか?


(とりあえず寝るか...)


色々考えたせいか眠気が襲ってくる。

他のことは、明日考えよう。

赤ん坊の体なんだ。

どうせ明日だって暇だろう...


俺は、リーニャの腕の中で眠った。

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