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廻生のアリア  作者: jurabisu
第一章
38/107

第38話 6歳、魔女との邂逅 5

「...リーゼル。君は生きたい?」

「...はい」

「じゃ、私が色々教えてあげる」

「本当ですか!?」

「ん...でも、タダでは教えないよ?」

「え」

「...条件がある」


今の...普通に教えてくれる流れじゃ...

それに、条件ってなんだ?


「なんですか...?」

「私に、君のこと教えて欲しいの」

「......」


予想外の条件に思わず口が開いてしまった。


アルテさん、今なんて言った?

"君のこと教えて欲しい"?

君って俺のことだよな...?

聞き間違いか?


「えっと...もう一回お聞きしても?」

「ん...私にリーゼル、君のことを教えて欲しいの」


どうやら聞き間違いではないらしい。


でも、なんでわざわざ俺に聞くんだ?

この空間にある本には個人情報も載ってるはずだが...


「...本で調べればいいのでは...?」

「...無かった」

「?」

「君の本が...無かったの」

「でも、ここには"ありとあらゆる情報"が...」

「"保管"されてる。ただそれだけ」

「?...どういうことですか?」

「私の能力は情報の"保管"...閲覧じゃない。ここは万物の記憶が本として記録されている。だから、どこかにあるのかもしれないけど...今の私じゃ、読めない」


なるほどな...

ここはただの書庫。

この場所にはありとあらゆる情報が文字として眠っているけど、その全てをアルテが読めるわけではない。


おそらく、アルテが読めない本と言うのは" 禁書"とされるようなこの世界の根幹に関わるような本なのだろう。

(アルテがこの場所を禁書庫と呼んでいるから)


だけど、なんで俺の情報が...?

転生者だからかな...?


「まぁ、僕のことでいいなら...。でも、それだけでいいんですか?」

「...私は新しく知ることが好きなの。それがどんなに些細なことでも、知れるだけで嬉しい」

「そういうものですかね...」

「...とにかく、約束は守ってもらう」

「分かってます」

「じゃ...」


そう言うと、アルテはリーゼルに手の甲を差し出す。


「ん...」

「えっと...なんですか?」

「魔女の契約。私の手に口づけして。術式はもう施してる」


口づけ...

つまり、キスしろってか?

なんか照れるな...


「これは、ちょっと...」

「?...もしかして、血の契約の方がよかった?」


血!?

痛いやつか?

それは遠慮したいな...


「あ、いや、なんでもないです...」

「ん、じゃあ早くして」


少し恥ずかしいが...

血を使うよりはマシか...


サッ...


...チュッ


「...これで契約は完了。もう離れていいよ」

「あ、ごめんなさい」


(契約って、これだけでいいのか...)


リーゼルは慌ててアルテから離れる。


「...それで、いつ教えてくださるんですか?」

「次に君が門を叩いた時」

「次、ですか?」

「ん...今日はもう日も暮れてる。次、君が来た時に教えるから、今日は帰って」

「あ、そうですか。...今日はありがとうございました!」

「ん。またね」

「はい、また明日にでも...」


リーゼルはアルテに深々と礼をすると、後ろを向いて走り去る。



タッタッタッ...


(アルテさん、いい人だったな...)


それにしても...

今日の出来事は本当に現実だったのだろうか?

今、思い出しても夢を見ていたような気分だ。


"魔力"か...


まさかそんなものが存在するしてるなんて、思いもよらなかった。

前世で夢にまで見た"魔法"が使える。

そう考えると、ワクワクしてくる。


でも、魔法を教わる理由が"生きるため"だと思うと、なんだか...なんだろうな。

変な感じって言うのかな?

とにかく、違和感のようなものを覚える。


前世での魔法のイメージと多少違うから、「思ってたのと違う」と、なってしまう。


...まぁそれを含めて"異世界"なんだろう。


タッタッ...ザッ


「...ん?」


...あれ?

ここは...俺ん家?

さっきまで禁書庫に居たはずじゃ...?


禁書庫の"廊下"を歩いていたと思えば、俺はいつの間にか家の前に立っていた。


太陽はもう沈みかけ、空が少し赤く染まっている。


...ガチャッ


リーゼルは家の扉に手をかける。


「...あ、リーゼルおかえり〜」

「ただいま、お母様」

「今日は随分遅かったわね」

「少し遠回りを...」


...家の中は、焼き魚のいい匂いがした。




「...」


リーゼルが去ってすぐの禁書庫...


アルテはリーゼルにキスさせた手の甲を、ジッと見つめていた。


サッ


...チュッ




「...未知の味♡」

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