第36話 6歳、魔女との邂逅 3
「...面白い」
「...?」
「...あ、ごめん。じゃ、君の質問に答えてあげる。まず、私は君の言う"化け物"じゃない」
「じゃあ貴女は、一体...」
「まだ答えは終わってないよ?」
「?」
「...私はこの"禁書庫"を管理している"魔女"、アルエンテ・レベレシオン。略名はアルテ。」
「...禁書庫?...魔女?」
思いもよらなかった返答にリーゼルは理解が追いつかなかった。
「順に説明する」
「あ、はい」
「...じゃあまず、魔女って分かる?」
"魔女"
さっきは唐突にそんなことを言われたから理解出来なかったが、多分、俺が知っているものと概念としては近いはずだ。
時に大釜で薬をかき混ぜる老婆、時に妖艶な美女として描かれる人達。
漫画やらアニメやらでよく登場するから、前世の人々は皆知っているだろう。
よく魔法や魔術と言った空想の産物と一緒に登場するよな。
...しかし、地球人が思い描いた"魔女"と、この人...アルテさんが言った"魔女"は同じなのだろうか?
もし、違ったら話が分からなくなるかもだし、ここはNOとしておこう。
リーゼルは首を横に振る。
「ん...」
...サッ
すると、アルテはどこからともなく大きな杖を取り出し...
...ダン!
杖で床を叩いた。
スッ...
...パラパラパラ
少しすると、どこからか一冊の本が飛んできてひとりでにページが捲られはじめる。
...パラッ
ページが止まると、本はそのままリーゼルの手の上に落ちる。
その本の開かれたページには、壁画のような絵と文章がかかれていた。
アルテの方を見ると、「読め」と言わんばかりにこちらを見ていた。
俺は本の文章へと目を落とす。
(ん〜...なるほど)
まぁ、要約すると...
魔女とは、魔力総量が常人の数十倍~数百倍ある女性のこと。
多くの魔女はあまりに膨大な魔力に身を飲まれ、のちに塵灰と化してしまうが、稀にそれを克服し力とする者もいる。
...とのこと。
うーむ...意味がわらない。
これはそういう設定なのか?
まさか、この人厨二病...?
...いや、まてよ?
もし、この魔女とか魔力が本当に存在するなら、今、俺がいるこの場所にも説明がつく...
(魔力がある=魔法が存在する=なんでもあり)
「...分かった?」
「はい、なんとなくは...。ですが、本当に存在するんですか?」
「それだけで信じろとは言わない。論より証拠...」
サッ
スウゥゥゥ...
するとアルテは、またもや杖を持ち、大きく掲げる。
だが、さっきとは違い異様な気配がした。
...ダン!
ザザッ!!!
「っ!?」
(...今、何が起きた?)
一瞬の出来事だった。
アルテが杖で床を叩いた次の瞬間、俺は...
"蔓"に全身が巻き付かれていた。
グググ...
(動け、ない...?)
...トン
ザザザ...
アルテがもう一度床を叩くと、蔓はリーゼルの身体を解放し、どこかへ消える。
「...はぁ、はぁ」
「どう?信じてくれた?」
「信じますけど...苦しかったです...」
「ん...」
「...それで、今のは一体?」
「...魔法」
「マホウ?」
魔法って、あの魔法のことか?
地球人なら誰でも一度は夢見たことがあるアレか?
異世界ものの定番である、あの魔法のことなのか?
...あれ?でも今、詠唱とか無かったような...
魔法って、なんかこう...かっこいい詠唱とかあると思ってたんだけど...
「あの、詠唱とかってないんですか?」
「詠唱...?詠唱があるのは魔術」
「マジュツ?」
え、なんか違うの?
同じものじゃないん?
「魔術は...」
アルテはそういうと、右手を前へ突き出す。
「..."植物系統"・"茨"」
シャッ!!
「!?」
"詠唱"が終わると床から急速に"何か"が生え、リーゼルの頬を掠める。
(...茨)
痛い...
「あ、ごめん」
サッ
スッ...
アルテが腕を横に払うと" 茨"が崩れて床に散らばる。
(今のが詠唱...?)
短すぎじゃね?
たった2節しか聞こえなかったんだけど...
簡単な魔術、みたいな感じなのかな?
「...私、魔術は得意じゃなくて...危うく殺しちゃうとこだった」
(殺されるところだったのか...危ないな...)
「...でも君、なんで詠唱のことを?」
「あ、えっと...お母様が聞かせてくれた昔話に出てきて...」
「ん、そう...」
やり過ごせたか...?
「...ま、とにかく、私は魔女だから」
「はい、それはよく分かりました...でも、そんな事、僕に教えてもいいんですか?」
「ん。そうじゃなきゃ君を家に入れてない」
「なら、僕に教えたわけは...?」
リーゼルがそう聞くと、アルテは小さく微笑む。
「...だって君、"魔女"だもん」
早く戦闘シーンを書きたい...




