第34話 6歳、魔女との邂逅
「...」
(...開いた)
入っても...いいのか?
でも、一体誰が...?
リーゼルは周囲を見回す。
だが、周囲にそれらしい人影は見えない。
...ここから、去るべきか?
(...いや)
せっかく来たのに、引き返すのはもったいないか...
それに、屋敷の門を叩いたのは他でもない、俺自身だ。
それなのに引き返すというのは、失礼というものだろう。
リーゼルは大きく開いた屋敷の扉を見つめる。
サアァァァ...
扉の中は暗闇に包まれ、何も見えない。
外気はその闇に吸い込まれるように風となり、リーゼルの頬を掠める。
(ん?この感じ...どこかで...)
...
ま、いっか...
入ってみれば分かるだろう。
「...さて」
...ザッ
リーゼルは屋敷の中へと歩みを進めた。
...タッ、タッ、タッ
「...暗いな」
屋敷に入ってから数分...
俺は壁を伝いながら廊下?を進んでいる。
屋敷に入ったのはいいが...
この暗さではまともに歩くことすらままならない。
こんな状態で人が住めるとは到底思えない。
(...もしかして、誰も居ない?)
じゃあ、なんで扉が開いたんだ?
あの扉は風で開くほど軽くはない。
何らかの要因で偶然開いたにしても、タイミングが良すぎる。
やっぱり、誰かが開けたとしか...
「ん〜...」
タッタッタッ...
ガサッ!
「うわっ!?」
ドスッ!!
「痛っ...」
リーゼルが考え事をしながら歩いていると、足が何かに引っかかり顔から転ぶ。
「まったく...」
俺はぶつけた部分を撫でながら、引っかかった"それ"を拾い上げる。
「...これは」
パラパラ...
紙が擦れる音...
暗くてよく見えないが、これは本だ。
多分俺は今、本の表紙の厚紙をつまんで持ち上げているのだろう。
だけど、なんで本が...?
俺は廊下を歩いてたはずじゃ...
「...ん?」
(...明かり)
俺はふと、廊下?の先から光が壁や床を照らしているのに気づく。
(...誰か、居るのか?)
...タッ
リーゼルは本を持ち直し、明かりの方へ足を向ける。
ゴクッ...
なんだか緊張してきた...
この先には一体、何があるのだろうか?
金銀財宝?古代兵器?
...まぁ、そんな物あるわけないか。
じゃあ、家主がブチギレて襲いかかってくる、とか...?
...
それは無い、と思いたい...
まぁ、うだうだ考えても仕方ない。
この選択が吉と出るか凶と出るかは分からないが、先に進まなければそれも分からない。
人生は挑戦だ。
と、隣のクラスの田中君も言っていた気がするからな。
俺は田中君を信じて前に進むとしよう。
タッタッタッ...
こうして俺は、その光を踏んだ。
「...あ」
とある暗い部屋の真ん中。
ただ一人、スポットライトのように光に照らされ、床に座り込む者がいた。
その者は自身の身長程の長い髪を垂らし、分厚い本を持った可憐な"少女"であった。
ふと、少女は読んでいた本から視線を逸らし、小さく言葉を漏らす。
「お客様?珍しい...」
パタッ
少女が本を閉じる。
「...おもてなししなきゃ」




